映画『ザ・ライト エクソシストの真実』(2011年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『ザ・ライト エクソシストの真実』は、
信仰に迷う神学生が悪罵払い(エクソシスト)の実地体験でー、という実話をもとにしたホラーストーリーです。オカルト映画の金字塔『エクソシスト』をベースに、「信仰とは何か」を問います。露骨な恐怖シーンは控えめとはいえー。
キャスト
・アンソニー・ホプキンス(ルーカス・トレヴァント神父)
伝説の悪魔祓い師
・コリン・オドナヒュー(マイケル・コヴァック)
神学生 自身の信仰心に迷いを抱いている
・アリシー・ブラガ(アンジェリーナ)
マイケルと同じ悪魔祓い講座に参加するジャーナリスト
・キアラン・ハインズ(ザビエル神父)
マイケルにルーカス神父を紹介するヴァチカンの神父
・トビー・ジョーンズ(マシュー神父)
マイケルの恩師
・ルトガー・ハウアー(イシュトヴァン・コヴァック)
マイケルの父 葬儀屋
映画『ザ・ライト エクソシストの真実』の見どころと感想
葬儀屋の息子で神学校に通うマイケル。卒業を控えていますが自身の信仰心への迷いが拭えず神父になることを辞退しようと考えています。
そんな折、恩師マーシュ神父にエクソシスト(悪魔祓い師)養成講座の受講を勧められヴァチカンへ。そこで伝説のエクソシスト、ルーカス神父が実際に悪魔祓いを行っている場に立ち会います。
しかし悪魔に憑りつかれているという若い妊婦ロザリオへの儀式は簡単に終了。悪魔の存在を信じられないマイケルのもとにロザリオが自殺未遂を図ったという知らせが届きます。病院へ向かい再び悪魔祓いを行うルーカスとマイケルですが、ロザリオは出産の術中に胎児とともに亡くなってしまいます。
そんなマイケルのもとに父が倒れたとの知らせがー。すぐに帰れないマイケルは電話で父と会話をしますが、のちにそのときすでに父は亡くなっていたとわかります。
失意のままルーカスを訪ねるマイケル。が、そのときルーカスは悪魔に憑りつかれておりー。
評)信仰とは何か、オカルト映画の奥深さを知る
無神論者にとっては正直「何やってんっスか?」という話。神や悪魔の存在が自分にとってリアリティのあるものではなく、序盤にちょっとだけ触れられる精神疾患との混同の指摘のほうが興味深いー。
なんてことは言ってられないんですよ、このマイケルは。
葬儀屋の息子として「死化粧」を施す仕事をしていたマイケル(しかも父はルトガー・ハウワーよ、すでに怖いよ)にとって、信仰心が揺らいでいること自体、大きな危機なのでしょう。
で、これは実話に基づく話。ラストにマイケルとルーカスのモデルになった神父が今もエクソシストとして活躍(?)しているというクレジットが流れます。
なので、”さもオカルト”な演出は控えめ。伝説のエクソシスト、ルーカス神父も「首がぐるっと回ったり、緑のゲロ吐いたりすると思った?」なんてカマしてくるし、ホントにそれ、なんか効果あるんっスか? と言いたくなるようなあっさりとした儀式なのです。
そうやって非オカルト色を漂わせておいて、そこはアンソニー・ホプキンス!ちゃんと怖いところを見せてくれます。
ホプキンス演じるルーカス神父は後半、悪魔に憑りつかれます。神と悪魔の間でー、いや、神も悪魔も自由に演じ分けるホプキンスがなにより怖いよ、それから、カエルがめちゃくちゃ出てくるから苦手な人はご注意を、という映画『ザ・ライト エクソシストの真実』です。ぜひ。
で”元ネタ”と言いますか、これ系の本家、映画『エクソシスト』(1973年/ウィリアム・フリードキン監督)についても少々。
言わずと知れたオカルトホラーの傑作で、その後様々な派生映画が作られています。私は子ども時代にTVでの放映を見たと思うのですが、とにかく怖いという記憶。この歳まで再観できずにいました。が、これを機に見直してみたところー。
思ったよりホラー感は控えめで「信仰心」というものを真正面から描いているのが意外でした。
こちらの主人公は精神科医でもあるデミアン・カラス神父。神父でありながら自分の信仰に自信が持てずー、という設定。映画『ザ・ライト エクソシストの真実』はこの設定を借りているのですね。
で、このカラス神父が悪魔祓いを担当するのが女優の一人娘のリーガン。ベッドが激しく揺れ、首がぐるっと回って、緑のゲロを吐きまくるというおなじみのアレです(ちなみに階段をブリッジで降りてくるシーンはディレクターズカットに収録)。
自身の信仰心に危うさを感じながらも、そこを乗り越えていく宗教的な戦いの映画です。
キリスト教の”超越神ー<世界>の(ありとあらゆる全体)を創造した<世界>の外にいる神ー(引用:『日本の難点』宮台真司)という宗教性を理解できない限り、ホントの怖さ、恐れを知らない人間の愚かさを知ることはできないのかもしれません。これがオカルトの奥深さなのでしょう。
是非、本家『エクソシスト』もあわせてどうぞ。
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