映画『女は二度決断する』(2017年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『女は二度決断する』は、
ネオナチによる爆弾テロで家族を失い絶望する女性の、ある決断を描くサスペンスです。
これ以上ない悲しみと絶望に堕ちていく主人公をダイアン・クルーガーが熱演し、パルム・ドール(カンヌ映画祭)ほかを受賞した映画です。
キャスト
・ダイアン・クルーガー(カティヤ)
爆弾テロで夫と息子を失うドイツ人女性
・デニス・モシットー(ダニーロ)
カティヤの弁護士
・ヌーマン・アジャル(ヌーリ)
カティヤの夫 クルド系トルコ人 テロの犠牲となる
・ヨハネス・クリシュ(ハーバーベック)
爆破テロの容疑者の弁護士
・ウルリッヒ・トゥクル(ユルゲン・メラー)
爆破テロの容疑者の父親
映画『女は二度決断する』の見どころと感想
ハンブルクに暮らすドイツ人のカティヤ。夫ヌーリはトルコ移民の移民。ヌーリには麻薬取引の前科があるものの現在は旅行代理店を経営し、2人の間には6歳になる息子ロッコがいます。
ある日カティヤはロッコを夫の事務所に預けてエステへ。が、その間に何者かによって事務所は爆破。夫と息子は巻き添えとなり遺体で発見されます。
絶望するカティヤ。が、ふと事件の直前に事務所の前に自転車を止めた若い女性のことを思い出します。報告するカティヤに対し警察は、事件にはトルコ人であるヌーリが関与しているのではないか、と。さらに絶望するカティヤは弁護士に相談します。
その後、ある若い夫婦が容疑者として逮捕され裁判になります。しかし爆弾製造の決定的証拠はなく、犯行時刻のアリバイの証言まで飛び出します。一方カティヤの証言はコカインの使用歴を理由に信憑性を疑われ、裁判は夫婦を無罪と確定します。
そしてカティヤはある決断を下しー。
評)復讐以上のどうしようもない「清算」
復讐と呼ぶにはあまりにも悲しく救いがない。
愛する家族を失ったカティヤの周囲は非情とも思えるほど。複雑な移民問題を理由に公正でない警察捜査や裁判。亡夫のトルコ人家族からも非難され絶望するカティヤは絶っていたコカインに手を出し、サムライのタトゥーを刻み、復讐のための爆弾を製造します。ま、できるのがスゴイんですけどね。
普通の市民のはずのカティヤがだんだん悪人に見えてくる。それに対し犯人夫婦はネオナチというわりには普通にも見える。このあたりの描き方が作為的です。
善悪が歪んだなかでの決断は復讐なのか。復讐以上にどうしようもない清算のように思えてなりません。主人公に感情移入はしづらい。が、他の決断はなかったのかー、と思わずにはいられない1本です。
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