映画『カイロの紫のバラ』(1985年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『カイロの紫のバラ』は、
1930年代、大恐慌時代のニュージャージー州が舞台。映画館に通いつめるウエイトレスの女性と、映画『カイロの紫のバラ』から飛び出してきた役者とのラブロマンスです。
ウディ・アレン監督作品で、当時の恋人ミア・ファロー主演の大人せつない映画です。
キャスト
・ミア・ファロー(セシリア)
無職の夫との生活にうんざりしているウエイトレスの女性 映画館での映画鑑賞だけが唯一の癒し
・ジェフ・ダニエルズ(トム・バクスター/ギル・シェパード)
映画『カイロの紫のバラ』の若き探検家のトム・バクスター
それを演じる売り出し中の若手俳優ギル・シェパード
・ダニー・アイエロ(モンク)
セシリアの夫 失業中にもかかわらず遊んでばかりのダメ夫
映画『カイロの紫のバラ』の見どころと感想
働かないで遊んでばかりの夫との生活にウンザリしているセシリアの唯一の楽しみは映画鑑賞。街の映画館に通いつめの毎日。
上映中の映画『カイロの紫のバラ』と出演中の俳優ギル・シェパードに夢中で、ウエイトレスの仕事中も映画の話ばかりで身が入らず、失敗続きの末、ついに解雇されてしまいます。
何度目かの『カイロの紫のバラ』を見に行ったある日、映画の中から探検家のトムがセシリアに話しかけてきます。トムは何度も映画を観に来ているセシリアが気になっており、話をしたいとスクリーンから飛び出してきます。
スクリーンと飛び出したトムは、セシリアを連れて逃走。スクリーンに残されたほかの役者は「話が進まないじゃないか!」と怒り出し、警察やマスコミを巻き込んで大騒ぎに。
セシリアを連れて今は営業していない遊園地に逃げ込んだトムは、セシリアのことがずっと好きだったと告白。セシリアは戸惑いながらもトムに惹かれていきます。
そこにトムをスクリーンに戻すために探しに来た、トムを演じる役者ギルが登場。
「お前は実在しないんだ。スクリーンに戻れ!」というギルの説得にも頑として応じないトム。そんなトムに手を焼きセシリアを頼るうちに、ギルもまたセシリアに惹かれていき―。
実在しないトムと憧れのギルとの三角関係になってしまうセシリア。
セシリアの出した結論は―。
評)ロマンスだけでは終わらせない ”虚構”を受け入れる大人せつない映画
日本映画『今夜、ロマンス劇場で』(2018年・綾瀬はるか主演/竹内英樹監督)にも使われている「スクリーンの中から映画の登場人物があらわれー」という手法です。
「ここからは、もうロマンスしかないっしょ」となりますが、そこはウディ・アレン。ロマンスだけでは終わらせません。
20数年前にこの映画を見たときは「結局、現実社会の中で生きるしかない、本当の幸せは現実の中にある」という印象だったのですが、最近になって見なおしてみると全然違っててビックリ。
「現実は現実、虚構は虚構」
現実と虚構や憧れは、ちゃんと別モノである。そのことをすんなりと受け入れてしまえる「大人の切なさ」を感じました。
「それはそれってことでー」
ラストシーンのセシリアはこう思ってるんじゃないかな、ってどうですかね? 監督。