映画『ダウト ~あるカトリック学校で~』(2008年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『ダウト ~あるカトリック学校で~』は、
厳格なカトリック学校を舞台に、少年に対する性的虐待の疑いを掛けられた神父と、それを追いつめていく厳格な女性校長を描くサスペンス。信念とは何かー。
メリル・ストリープほか実力派俳優の演技が見ものの映画です。
キャスト
・メリル・ストリープ(シスター・アロイシアス)
カトリック学校の厳格すぎる校長
・フィリップ・シーモア・ホフマン(フリン神父)
進歩的で生徒に慕われる神父
・エイミー・アダムス(シスター・ジェイムズ)
若い教師
・ヴィオラ・デイヴィス(ミラー夫人)
フリン神父に性的虐待を受けいていると疑われる少年ミラーの母
映画『ダウト ~あるカトリック学校で~』の見どころと感想
1964年ニューヨーク。カトリック学校の校長アロイシアスは体罰をもいとわない厳格な指導で生徒たちに畏れられる存在。一方の神父フリンは自由で進歩的な考えを持つことから生徒らの人気を集めています。アロイシアスは日頃からそのフリン神父の言動を問題視していました。
ある日、若い教師ジェイムズのクラスの生徒ミラーがフリン神父に呼び出されます。戻ってきたミラー少年の様子がなにやらおかしい、それにフリン神父はロッカーのところで......、そう思ったジェイムズはアロイシアスに相談。アロイシアスはフリン神父が生徒に性的虐待をしているという疑いを持ちます。
が、疑惑の追及に躍起になるアロイシアスに対し「やはり誤解では......」という思いが拭えないジェイムズ。直接フリン神父にミラー少年との関係を尋ね、疑いを解きます。
しかしアロイシアスはこれに納得しません。ミラー少年の母を呼び出し疑惑について告げます。がミラー夫人は「息子のために、事を荒立てたくない。フリン神父には感謝しかない」との思いを吐き、涙ながらにミラーについてある告白をします。
このことを知ったフリン神父は校長室に乗り込み、確たる証拠もないのになぜ疑うのかー、とアロイシアスに詰め寄ります。アロイシアスはフリン神父について知る”あること”を楯に糾弾。やがてフリン神父は惜しまれつつ学校を去っていきます。
それからしばらくし、冬がやってきます。家庭の事情で休職していたジェイムズが戻ってき、アロイシアスにフリン神父の辞職の経緯を尋ねます。そこでアロイシアスが告白したこととはー。
評)真相を超える信仰 メリルVSホフマンのラストの直接対決は圧巻
真相はどうだったのかー、という視点で見るべき映画ではないのかな、というのが正直な感想です。
アロイシアスが執拗に「罪」を追い詰めた背景には「神の意に沿う行為を為すためには、神より遠ざかる手段をとることも辞さない」という信仰があり、ラストの告白にも信仰的観念が色濃く映し出されています。
信仰心のうっすい私にとっては、人気者へのえげつない妬みにしか思えないアロイシアスの行動ですが、校長といえども立場は男性である神父のほうが圧倒的に上。そのあたりの悔しさもわかるだけに、信念ってナンだろうと思えてしかたがないのです。
まあ、とにかくメリルVSホフマンの対決が見ものです。終盤の直接対決のくだりはゾクゾクというよりもゾッとします。
その板挟みになるのがエイミー・アダムス。純粋な若きシスターをこれ以上なく清く無垢に演じています。そしてもう一人、アロイシアスに強烈な一撃を与えるミラー夫人のヴィオラ・デイヴィスの名演も光る。
信仰心があれば、もっとグッとくるのかもしれない映画『ダウト~あるカトリック学校で~』 なくても充分楽しめます。ぜひ。
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