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映画『ザ・マスター』(2012年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画タイトル:ザ・マスター
原題:The Master
製作年:2012年 アメリカ
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
映画『ザ・マスター』は、
第二次世界大戦より帰還後アルコールで精神を病んだ男と新興宗教家との人間関係を描く。救済とも支配ともとれる関係をどう理解すればいいのか。
ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンの共演は見応えあり。
キャスト
・ホアキン・フェニックス(フレディ・クエル)
第二次世界大戦の帰還兵 アルコール依存症
・フィリップ・シーモア・ホフマン(ランカスター・ドッド)
新興宗教団体「ザ・コーズ」代表
・エイミー・アダムス(ペギー・ドッド)
ランカスターの妻
・アンビル・チルダーズ(エリザベス・ドッド)
ランカスターの娘
・ジェシー・プレモンス(ヴァル・ドッド)
ランカスターの息子
映画『ザ・マスター』の見どころと感想
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第二次世界大戦後のアメリカ合衆国。太平洋戦線に従軍していたフレディは戦後心を病んでアルコール浸りに。泥酔状態で乗り込んだ客船で船長のランカスター・ドットと出会います。ランカスターは「ザ・コーズ」という新興宗教団体の代表としてカリスマ的な存在でした。
次第にランカスターに傾倒していくフレディ。が、ランカスターの妻ペギーはフレディの粗暴さや奇行に危険なものを感じ遠ざけようとします。
そんなある日、ある財団の資金の不正流用によりランカスターは逮捕。警官に暴力をふるったフレディも拘留されます。留置場で激しく罵りあいながら、ランカスターはどうしてもフレディを見捨てることができない思いを募らせていきます。
その後、大きくなる教団の中で自分の居場所を見失っていくフレディはー。
評)支配と救済の関係が表に裏にとひっくり返りながらピタリとはまるパズルのような2人
新興宗教団体が一人の粗暴な人間を利用する話かー、と思いきやそうではない。宗教やセミナーの胡散臭さを暴こうという話でもありません。あくまでも人間と人間の信頼を軸においた映画です。
が、そうとは思わせない(?)2人のキャラがスゴイ。粗暴で傷ついた帰還兵のフレディは「ザ・コーズ」のプロセシングで立ち直りそうで立ち直らない。そこがかえって「まともだな」と思わせる。
一方のランカスターは、カリスマながら妻ペギーの顔色をうかがう一面も。なぜフレディに固執するのかもよくわからない「危うさ」がある。支配と救済の関係が表に裏にとひっくり返りながら、なぜかピタリとハマってしまうパズルのような2人。
それを苦々しく思う妻と、引き気味に見ているランカスターの子どもたちの存在も意味深です。
とにかく主演の2人ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンに圧倒される作品です。
実は一番怖いんじゃね、と思わせる妻のエイミー・アダムスも素晴らしい。そしてホフマン似を軽く弄られる息子ジェシー・プレモンスと、クセ強めの娘アンビル・チルダーズにも注目の1本です。