映画『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』(2011年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』は、
映画『サイン』の影響で"啓示"にハマる弟とそれぞれに問題を抱える兄、母ら家族を描くヒューマンコメディです。
ダメな人々の”そのまま”を愛情をもって映し出すデュプラス兄弟作品。ほどよい温かさに包まれる1本です。
キャスト
・ジェイソン・シーゲル(ジェフ)
30歳 実家暮らしのニート
・エド・ヘルムズ(パッド)
ジェフの兄
・スーザン・サランドン(シャロン)
ジェフの母
・ジュディ・グリア(リンダ)
パッドの妻
映画『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』の見どころと感想
30歳、母とともに暮らす引きこもりのジェフは映画『サイン』(2002年/M・ナイト・シャマラン監督)に感化され、人生には”啓示”があると考えるようになります。
ある日、かかってきた間違い電話が連呼する「ケヴィン」という名が、何らかの啓示であると信じこむジェフ。
一方ジェフの兄パッドは相談もなく高級車を購入したことから妻リンダと喧嘩状態。
母シャロンは職場で密かにアプローチしてくる存在に気づきー。
評)信じたいものを信じること ”も” 幸せかもしれない。
前年の『僕の大切な人と、そのクソガキ』(2010年)のニート、サイラス(ジョナ・ヒル演)に比べるマイルドな引きこもり具合のジェフ。そのジェフに家の棚の修理を頼む母の「何か自分でやらせないとー」という心配もとてもリアルです。
そんなジェフが”啓示”に目覚め、どこにでもいる「ケヴィン」というありふれた名を追っかけ始めたことから変化が起き始めます。
その変化はジェフにとどまらず、自分勝手な兄パッド、夫を亡くし心に穴が開いたような母シャロンにも及んでいきます。
“啓示”にハマる、というと一歩間違えばアブナイ洗脳方向に進んで行きそうなんですが、この映画はそんな弄りはしません。「信じたいものを信じること」”も” 幸せなことなんじゃないかな、と思えてくるのです。
そしてある登場人物の「”そのまま”を受け入れてもらいたいと思わない? 」 の問い。
どうしようもなくダメダメな状態のときに、むやみに正否、善悪、損得といった判断を押し付けない、”そのまま”を受け止めるってイイよな、と思えてきます。
ジェイソン・シーゲル、エド・ヘルムズといったコメディ巧者に演技派スーザン・サランドン。無駄も隙も無い83分の短尺もヨシ。
『クソガキ』同様、いちいちグッと寄るカメラワークのクドさにも「関心」という見守られ感を感じる映画『ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡』 ぜひ。