映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(2018年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』は、
29歳で亡くなった俳優と彼と交流のあった11歳の少年の物語です。家族との軋轢や同性愛ゆえの苦悩といったグザヴィエ・ドラン監督の思いが込められた作品です。ラストシーンは名作映画へのオマージュも。
キャスト
・キット・ハリントン(ジョン・F・ドノヴァン)
29歳で亡くなった人気俳優
・ジェイコブ・トレンブレイ(ルパート・ターナー)
11歳の少年 イギリス在住の無名の子役
・ベン・シュネッツァー
成長したルパート 若手俳優
・ナタリー・ポートマン(サム・ターナー)
ルパートの母 元女優
・スーザン・サランドン(グレース・ドノヴァン)
ジョンの母
・ジャレッド・キーソー(ジェームズ・ドノヴァン)
ジョンの兄
・キャシー・ベイツ(バーバラ・ハガーメイカー)
ジョンのマネージャー
・タンディ・ニュートン(オードリー)
青年ルパートの取材をする記者
映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』の見どころと感想
アメリカの人気俳優、ジョン・F・ドノヴァンが亡くなってから10年。生前ジョンと交流のあった少年ルパートは21歳に。ルパートはジョンと手紙のやりとりをしていた当時を振り返る本を書いており、その本について取材を受けています。
ジョンとルパートの関係とは、ジョンはなぜ死を選んだのか。ルパートの回想を通して見えてくるジョンの本当の姿とはー。
評)どんだけ映画好きなのよ! 映画好きな自分好きなのよ! グザヴィエ・ドラン!
『わたしはロランス』(2012年)『たかが世界の終わり』(2016年)で全ワタシの度肝を抜いたグザヴィエ・ドラン監督。が、これは非常に残念な仕上がりの映画です。
ドラン自身が8歳の頃に映画『タイタニック』に出演したレオナルド・ディカプリオに憧れてファンレターを書いたらしく、その思い出に着想を得て作られたという個人的な思い(だけ)がたっぷり詰まった作品。なので、その”思い入れ”についていけないとかなりキツイのです。
家族との軋轢、セクシュアリティの問題など、ドラン監督が他の映画でも描いてきたテーマではあるものの、それらが付け足しに思えてしまうほどまとまりがない。致命的なのはジョン・F・ドノヴァンという俳優がそれほどのモノにも見えないこと。キット・ハリントンが悪いんじゃない、と思いたい。
肝心のジョンの苦悩や死の原因はモヤッとしているし(それはそれでいいですが)、大人になったルパートはパッとしないし、その母のナタリー・ポートマンの無駄な存在感はナンだったの? 家出したルパートと雨の中で再会するという最高にベタなシーンに涙してしまったじゃないっ。
ってな、見ている側の「どうしたものか……」を体現するかのように、青年ルパートの話を興味なさそうに聴いている記者の存在は面白い。
が、ルパートったらその目の前で彼氏のバイクの後ろに乗って、映画『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)のキアヌとリバーを彷彿させやがるのっ! もうどんだけ映画好きなのよ! 映画好きな自分好きなのよ! グザヴィエ・ドラン! と盛大にツッコミたくなる映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』です。ぜひ。
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