映画『地球は女で回ってる』(1997年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『地球は女で回ってる』は、
ニューヨークの小説家と彼をめぐる女性たちの物語です。ウディ・アレン自身を投影した主人公のあきれるほどの自己愛と、自己愛が作り出す虚構の世界ー、そして妙に清々しいラストが印象的な作品です。
キャスト
・ウディ・アレン(ハリー・ブロック)
小説家
・カースティ・アレイ(ジョーン)
ハリーの2番目の元妻 精神分析医
・エイミー・アヴィング(ジェーン)
ハリーの3番目の元妻
・ジュディ・デイヴィス(ルーシー)
ジェーンの妹 ハリーと不倫関係
・エリザベス・シュー(フェイ)
ハリーの元恋人
映画『地球は女で回ってる』の見どころと感想
ニューヨークに住む小説家のハリー。私生活をネタに書いた小説がベストセラーになったが、それがもとで結婚生活は崩壊。さらに最近はスランプに陥っています。精神分析医である2番目の妻の出産後に妻の患者に手を出したり、3番目の妻の妹とダブル不倫したりー。
これらを赤裸々に小説に書いたため元妻たちは大激怒。さらに別れた恋人が結婚するという話に心を乱されるハリー。
そんなハリーのもとに、出身大学から栄誉賞を贈りたいとの知らせが届きます。友人と娼婦、そして元妻のもとから誘拐した息子とともにハリーは大学に向かいますがー。
評)自己愛の行きつく先が意外なほどの清々しい
この映画は、ハリーの「現実世界」と、ハリーが書いた「小説の世界」が交差しながら描かれています。(一人だけピントがボケてしまう俳優役のロビン・ウィリアムス。ホントにずっとピンボケです!)
ハリーのクズっぷりはかなりのもので、他のウディ・アレン作品では多少なりともある「愛すべきポイント」すら見当たらないのです。ここまでして自分を晒さなければならないハリーと、ウディ・アレンの自意識は理解しがたいのもがあります。が、そんなハリーが行きついた先が、意外なほどに清々しいのです。
『真実はひとつでも人生は人によって受け止め方が違う。安らぎは書くことだけ。小説だけが彼の人生を救うのだ』
「小説」を「映画」や「脚本」に置き換えると、ウディ・アレンそのものなんだな、と。
邦題は意味がよくわかりませんが、原題の 『DECONSTRUCTING HARRY』を直訳すると「ハリーを解体する」「ハリーを分析する」となります。ハリーは自分自身を解体することで自分し救済し、ウディ・アレンもまたこの映画で自身を救済しているのでしょう。
好みは別れると思いますが、かなりこれぞ「ウディ・アレンの世界」といえる1本です。
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