映画『人生はビギナーズ』(2010年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『人生はビギナーズ』は、
年老いた父から「自分はゲイである」とカミングアウトされた息子が、期せずして自分の人生を見つめ直していくヒューマンドラマです。父ハルの飄々と余生を生きる姿に対し、ナイーブな息子オリヴァー。
『サムサッカー』のマイク・ミルズ監督が自身の体験を基に描く心温まるストーリーです。
キャスト
・ユアン・マクレガー(オリヴァー・フィールズ)
アートディレクター 38歳
・クリストファー・プラマー(ハル・フィールズ)
オリヴァーの父
・メラニー・ロラン(アナ)
オリヴァーがパーティで出会うフランス人女性 女優
・コスモ(アーサー)
ハルの飼い犬 ジャック・ラッセル・テリア
・ゴラン・ヴィシュニック(アンディ)
ハルの恋人
映画『人生はビギナーズ』の見どころと感想
38歳独身のオリヴァーは、母ジョージアが亡くなってしばらく経ったある日、父ハルから「自分はゲイである」とカミングアウトされます。
若い恋人やゲイの友だちを作り楽しそうに過ごす父ハル。そんなハルに戸惑いを感じるオリヴァーですが、その後ハルは末期癌と診断。オリヴァーは最期の時間をハルとともに過ごします。
そしてハルの死後、オリヴァーはハルが残した愛犬アーサーと暮らし始めます。
そんなある日、友だちに誘われていったパーティでフランス人のアナと出会います。女優として各地を転々とする自由なアナに父ハルを重ねてみるようになるオリヴァー。が、アナもまた精神的に病んだ父に苦しめられていました。
似た者同士、理解しあう2人。が、ゲイであるとわかって結婚生活を続けていた両親への複雑な思いから、人を愛することに前向きになれないオリヴァーはアナに別れを切り出しー。
評)老父と愛犬が気づかせてくれる「人を愛する勇気」
38歳にもなって何イジイジしてんのよっ! と言いたくなってもおかしくないストーリーですが、まあこれは不思議なくらいに穏やかな気持ちになれる映画です。
75歳でゲイとカミングアウトし自由に生きていこうとする父ハルの姿がストーリーの随所に光をもたらします。そしてそのハルが残した愛犬アーサーもそう。アーサーが見せる穏やかでオープンな愛情はこの映画の真髄といってもいいでしょう。
両親の過去とハルがゲイとして生きた時間。そこにあった「人を愛する勇気」に触れ、こじらせが過ぎるオリヴァーは一歩踏み出していく。そんな清々しさに包まれた1本です。
この映画でアカデミー賞助演男優賞ほか各映画賞を受賞したクリストファー・プラマーは2021年2月、91歳で死去。70年に及ぶ役者人生で本作のほかにも多くの映画に出演しています。
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