映画『僕の大切な人と、そのクソガキ』(2010年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『僕の大切な人と、そのクソガキ』は、
バツイチの男性が運命の女性と出会うが、彼女には21歳のクソガキがー、というロマコメです。
ちょっと社会からハミ出してしまう人々を、妙にズームを多用するクセ強カメラワークで温かく描くデュプラス兄弟らしい1本です。
キャスト
・ジョン・C・ライリー(ジョン)
バツイチ
・ジョナ・ヒル(サイラス)
モリーの息子 21歳マザコン
・マリサ・トメイ(モリー)
サイラスの母 シングル
・キャサリン・キーナー(ジェイミー)
ジョンの元妻
・マット・ウォルシュ(ティム)
ジェイミーの婚約者
映画『僕の大切な人と、そのクソガキ』の見どころと感想
離婚してされない日々を送るジョンはあるパーティで理想の女性モリーと出会います。
モリーに誘われ自宅を訪れますが、そこには21歳になる息子サイラスがー。サイラスはジョンに歓迎の姿勢を見せますが、モリーとの普通ではない親子の絆に引っかかりを覚えるジョン。
そして訪宅中にジョンの靴がなくなったことをきっかけにジョンとサイラスの関係がー。
評)デュプラス兄弟が描く「あえて完成しない形」
ジョン・C・ライリー、ジョナ・ヒル、マリサ・トメイというコメディ巧者のキャスティングで描くこの映画。が、その題材はけっこうしんどいもの。
モリーはバツイチで結婚生活にいい思い出はありません。その傷が子離れを困難にし、結果サイラスは極度のマザコンで社会不適合に。このデリケートな親子に割って入るのが自身もバツイチ傷心中のジョンです。
このジョンとモリーとの出会いのシーンが秀逸です。前妻がセッティングしたパーティでしょぼくれていたジョン。が、突如流れてくる曲ヒューマン・リーグの「Don't You Want Me(”愛の残り火”というクソダッサイ邦題の80年代テクノポップ)」に「この曲、大好きなんだよー 」と一人ノリノリで踊り始め、そこにモリーが加わるというシーン。この曲のチョイスの微妙さが世間とズレかかっているジョンの現状を物語っています。
一方のクソガキ、サイラスのキャラもイイ。PCがお友達のオタク系くせ者。そんなジョンとサイラスの微妙な心理戦が見ものです。
そして気になるのがカメラワーク。ズームをこれみよがしに多用し、ブレブレでドキュメンタリー風もしくはホームビデオ風といった趣。
これが、ジョンとモリー、サイラスのあえて「完成しない形」を物語っているかのようです。
もう1点。ジョンの前妻のジェイミーの存在もイイ。ジョンの再スタートを支えつつ自分も新しい恋に。出過ぎることなくサラリとそれをやってのけるジェイミーにキャサリン・キーナーは適役です。
こんな面々による笑って泣けるヒューマンコメディ『僕の大切な人と、そのクソガキ』をぜひ。