映画『ベルファスト』(2021年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『ベルファスト』は、
1969年紛争下のベルファストを舞台としたケネス・ブラナー監督の自伝的映画です。
帰属をめぐって長い紛争状態にあった故郷ベルファスト。その故郷への愛と賛辞を映像美に込めた傑作です。
* 北アイルランド紛争とは
1920年にイギリスのアイルランド統治法によってアイルランドから分離された北アイルランドをめぐる紛争。
プロテスタントとカトリックの宗教対立は1960年代に入るとIRA(アイルランド共和国軍)によるテロや武力紛争に発展。1998年に和平が成立した。
キャスト
・ジュード・ヒル(バディ)
ベルファストで暮らす9歳の少年
・カトリーナ・バルフ(マー)
バディの母 バディとその兄ウィルを育てる二児の母
・ジェイミー・ドーナン(パー)
バディの父 ロンドンへ出稼ぎに出る大工
・ジュディ・デンチ(グラニー)
バディの祖母
・キアラン・ハインズ(ポップ)
バディの祖父
映画『ベルファスト』の見どころと感想
1969年、北アイルランドのベルファスト。ロンドンに出稼ぎに出る父、母と兄、祖父母という家族の中で少年バディはのびのびと成長していました。
同級生のキャサリンに恋心を抱いたり、家族で映画を楽しんだり。しかし、そんな穏やかな暮らしも紛争に巻き込まれていきます。
プロテスタント系の武装集団によるカトリック系住民への襲撃事件が発生。家族の安全のために他国への移住を決断する父パー。しかし、母マーは住み慣れたベルファストを離れることができずー。
評)圧倒的な美しいカット そこに込めた故郷への思い
ケネス・ブラナーの自伝ね……と、まったく見る気のしなかったこの映画。
「演劇、芝居、映画、すべてわかってるしー」 という圧というか、あのオーソン・ウェルズにも似たイヤミな感じがね……。
ですが、見て良かった!全てのカットが美しい。
その美しさこそが、悲惨な過去を持つ故郷ベルファストへのケネス・ブラナーの愛なのでしょう。
いろいろあった自分の故郷がこんなふうに描かれたらー、と思うとベルファストに行ったことのない私でも熱いものがこみあげてきました。語り過ぎないストーリーとのバランスも完璧。しかも1時間38分という短尺。これぞ映画!これが映画の力です。やっぱりこの人は天才です。桁違いの感性で凡人をノックアウトする。そういうとこがイヤなんですが。
そんなケネス・ブラナーがこれほどまでに美しく描きたかった故郷とそこで過ごした日々。その背景をふまえて、ぜひご堪能ください。