創建1300年・多賀城跡を巡る
日本考古学協会の賛助会員向けの見学会で宮城県の多賀城跡に行ってきました。
多賀城は奈良時代の神亀元年(724年)に大野東人によって創建され、11世紀中頃まで約300年以上にわたり、古代東北地方の政治・文化・軍事の中心地として機能しました。
2024年の今年は創建1300年ということで、様々なイベントも開催されています。そんな多賀城を日本考古学協会の先生の案内で見学してきました。
国府多賀城に集合して、まず向かったのが館前遺跡。多賀城に赴任した国司の邸宅跡と考えられる遺跡です。6棟の掘立柱建物跡が発見されており、四面に廂をもつ建物を中心に整然と配置されていたとされています。
多賀城の外郭跡を通って、現在、復元工事が進められている南門跡へと向かいました。多賀城の外郭は地盤がしっかりしている丘陵部は土を突き固めて積み上げた築地塀、地盤が軟弱な湿地帯は材木塀が使用されていたとのこと。例外的に南側は湿地帯であったが、基礎工事を行なって、築地塀を築いていたとのことでした。
南門は多賀城の中心となる門。現在、復元整備が行われています。普段は門の周辺には立ち入ることができないのですが、この日は特別に立ち入ることができて、間近で見学することができました。両側につく築地塀の復元も一緒に行われています。
南門の側にあるのが「多賀城碑」。神亀元年(724)の多賀城創建や京からの距離、多賀城の創建年代など、貴重な情報を記しています。2024年に国宝に指定されました。群馬県高崎市の多胡碑、栃木県大田原市の那須国造碑と共に「日本三古碑」の一つとされています。石碑は江戸時代に発見されたとのこと。倒れていたため、文字が風化することなく、鮮明な状態を保っています。
南門と政庁を結ぶ南大路は多賀城のメインストリート。南門跡から政庁を見上げることができます。
当時の排水施設の跡の説明などを聞きながら、政庁跡へと向かいました。政庁跡では多賀城創建1300年を記念して開催されるイベント「TAGAJO YOGOTO」で行われるイベントの一つ、日本を代表するデジタルクリエイターによる3Dホログラム技術で多賀城正殿を再現する「HOLO REVIVE」の準備が行われていました。
その後、実際に多賀城内で行政や軍事の重要な実務を担当した役所があったとされている城前官衙跡を見学して、東北歴史博物館に向かいました。
博物館で昼食を食べた後、現在開催されている特別展「多賀城1300年」を見学。国宝20点、重要文化財約300点を含む、約700点の貴重な資料が一堂に会していて、多賀城の役割と発展を、古代の都や東北の動向、関わった人々と関連させながら展示されていました。
見学会終了後は仙台へ戻って、参加者と先生を交えて交流会を行い、東京に戻りました。
多賀城は改修や、伊治公呰麻呂の反乱による焼失、大地震による倒壊などを受けて、第1期〜第4期に分かれて変遷をしています。東北経営の拠点として重要な役割を果たした遺構の歴史的価値に触れる1日でした。