吉野・宮滝歴史散歩
奈良県吉野町にある宮滝は飛鳥時代から奈良時代にかけて吉野宮と呼ばれる離宮があった場所。斉明天皇によって造営されて、以降、天武天皇、持統天皇、文武天皇、元正天皇、聖武天皇がこの地を訪れました。万葉集の歌でもこの地が詠まれています。
吉野町の中竜門地区にある三茶屋で、地域の人たちに混じってクリスマスイルミネーションの飾り付けのお手伝いをさせていただき、翌日に宮滝を散策してきました。
まず、上市から吉野町のコミュニティバス「スマイルバス」のBコースに乗って、「宮滝」のバス停で下車。まず櫻木神社を目指して歩きました。吉野川に架かる「柴橋」を渡って、神社へ。道沿いには「象(きさ)の小川」のせせらぎが流れる道を歩きながら神社へ向かいました。
途中、源頼朝の追手から逃れていた源義経が疲れから橋の上でうたた寝をしたという言い伝えがある「うたた寝橋跡」を通過しました。
小川に沿って両脇に森林に囲まれた坂道を進んで神社に到着。櫻木神社は大穴牟知命と少彦名命を祀っている神社。壬申の乱の前に後に天武天皇となる大海人皇子が大友皇子の追手から逃れる時にこの地にあった桜の木に隠れて難を逃れたという言い伝えがあります。こうした経緯から天武天皇も神社に祀られています。この神社の見どころは樹齢700年〜800年といわれる御神木。天高くそびえる杉の木は荘厳で神秘的な雰囲気を醸し出しています。
神社の前で昨年度(2020年度)まで母校の奈良大学教授で現在は名誉教授の万葉研究の第一人者、上野誠先生が手がけた碑を発見。「神話伝承論」の講義が懐かしくなりました。
神社を訪ねた後、来た道を戻って、吉野川沿いにある宮滝展望台へ。展望台の真向かいには大きな岩に松の木が生い茂る「中岩の松」が見えます。左右に吉野川の流れによって形成された巨岩・奇岩が織りなす景観美を眺めることができて、まさに「天然の日本庭園」といった趣がありました。
そしていよいよ宮滝遺跡へ。現在は遺構は埋め戻されていて、更地になっている状態ですが、発掘調査の成果を踏まえて、今後、遺跡の保存・活用計画を進めていくとのことです。周囲の美しい景観を眺めながら万葉の時代に想いを馳せました柘枝姫の天女伝説のある川縁まで降りてみました。
散策の途中、宮滝の地で長年、醤油と味噌を製造している梅谷醸造元を訪ねて醤油を購入、宮滝遺跡内にある金、土、日曜日限定で営業しているカフェ弓弦葉でミックスサンドとコーヒーでひと休み。それぞれで宮滝遺跡に対する熱い想いも聞かせていただきました。梅谷醸造元では宮滝の地図をいただき、弓弦葉では上野先生の話で盛り上がりました。
前日のクリスマスイルミネーションの飾り付けのお手伝いではたこ焼きや飲み物、団子などもふるまっていただいて、吉野の人たちの温かさと人と人との触れ合いの素晴らしさを感じることができて、この日は万葉人の心を惹きつけた吉野の魅力に触れることができた週末のひと時でした。最後に前日にお手伝いさせていただいた中竜門地区の三茶屋のクリスマスイルミネーション。なかなかファンタスティックな感じになってます。