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今谷明『封建制の文明史観』

【今谷先生ファンでも読み切るのが大変。】

蒙古襲来、日清日露戦争、敗戦。歴史の節々に封建制の評価がどう変化してきたかという本なのだが、、。まだ草稿の段階でこれ以上まとめきれなかった感じが強く、読み進めるのに忍耐力が要される。あとがきにもある通り苦手なことにあえて挑んだという苦しさが行間から伝わってくる。

マッカラン委員会に協力し、オーウェンラティモアやハーバートノーマンに不利な証言をしたという事で学会からハブられた、ウィットフォーゲルについては知らなかったのでこの点は収穫だったか。そのウィットフォーゲルは日本では輪をかけてタブー視されており、湯浅赳男氏は学会でウィットフォーゲルに関する報告をしただけでよそよそしく接され、1984年にマルクス主義批判をしてほとんど友人を失ったとある。

え?1984年の段階でマルクス主義批判がまだ許されていなかったのかと驚愕する。しかしよく考えてみるとまだソ連崩壊前だ。崩壊後も殉ずる事無く、転向してせっせと強者に媚びていくのが学会での大多数だという話は知っていたがまだまだ自分の認識は甘かった。稲垣武『悪魔祓いの戦後史』もそろそろ読まなければ。

手持ち無沙汰でたまたま入った古本屋でまだ読んでない今谷先生の本があったので特によく考えずに購入、正直選書ミスだった点は否めない。生まれ育った本屋のブックカバーの言葉を思い出す。

人生は短い、この本を読めばあの本は読めないのである。読む価値がある本は買う価値がある。-ラスキン

好きな著者でも当たり外れは当然ある。積読が溜まっている状態だし、本を買う前に今すぐ読む必要があるかよく考えなければと改めて実感する。

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