脂肪を溜め込む「白色脂肪細胞」
こんにちは!ノルン鍼灸院・管理栄養士,登録販売者のななむらです!
私たちの身体の中には大きく分けて2種類の脂肪細胞があります。
1つは、脂肪を溜め込んで肥満の原因となる「白色脂肪細胞」。
もう1つは、脂肪を燃焼させてくれる「褐色脂肪細胞」。
今回は、ダイエットの敵ともなりえる白色脂肪細胞について、性質や働きを紹介していきたいと思います。
▼白色脂肪細胞の役割▼
白色脂肪細胞は皮下組織や内臓など全身に分布していて、身体の中で使いきれなかった余分なエネルギーを脂肪として蓄積します。
つまり身体の中の脂肪は、白色脂肪細胞という細胞に蓄えられた中性脂肪なのです。
脂肪を溜め込む、と聞くと身体に悪影響を及ぼすイメージがありますが、実際には生命活動に必要なエネルギーを溜め込んだり、ホルモン分泌などを行う重要な細胞でもあるのです。
ではなぜ、「脂肪=身体に悪影響」というイメージなのでしょうか。
それは脂肪を溜め込みすぎることで脂肪が肥大化し、肥満の原因となってしまうからです。
本来なら、飢餓状態などで生命が危険にさらされたときに必要なエネルギーを、溜め込んでおく重要な役割を果たしています。
しかし、何でも好きなものが食べられる現代の日本では、エネルギーの過剰摂取により使いきれなかったエネルギーが、どんどん脂肪として蓄積され続けて肥満に繋がってしまうのです。
▼身体の脂肪はほとんどが白色脂肪細胞▼
白色脂肪細胞は、全身に広く分布しています。
身体の中の脂肪細胞はほとんどが白色脂肪細胞なのです。
その数は思春期にかけて増えていき、20歳前後では約400億個になるといわれています。
また、少し前まで白色脂肪細胞は、乳幼児期や思春期などの限られた時期にしか増えないと考えられていました。
しかし最近の研究によって、思春期以降も、身体の中に存在する白色脂肪細胞が取り込んだ脂肪でいっぱいになると、細胞の数を増やしてさらに脂肪を取り込むということが分かってきました。
そのため、肥満者の白色脂肪細胞の数は、約800億個にもなるといわれています。
▼肥大化した白色脂肪細胞による悪影響▼
白色脂肪細胞はエネルギーを溜め込みますが、エネルギーが過剰になると、どんどん肥大化して悪影響を及ぼします。
白色脂肪細胞の本来の役割は、先ほどお話ししたように生命活動に必要なエネルギーを必要な時に供給できるよう溜め込んでおくことです。
その他にも、白色脂肪細胞には様々な役割があることが最近の研究で分かってきました。
白色脂肪細胞によって蓄えられた脂肪は、体温維持や内臓の位置を保つ働きもあります。
痩せている人に胃下垂が多いのは、白色脂肪細胞が少なく、この働きが機能していないということも考えられます。
また、女性ホルモンであるエストロゲンを作用できる状態に変換させます。
脂肪を取り込んでいない白色脂肪細胞はこの働きができない為、痩せすぎると女性ホルモンの分泌減少に繋がり、生理不順などさまざまな問題を引き起こします。
そして最近注目されているのが、白色脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインとアディポネクチンという生理活性物質です。
アディポサイトカインは糖や脂質の代謝を助け、アディポネクチンは炎症を抑える作用があり、糖尿病や動脈硬化を予防する働きがあるといわれています。
このように、実は白色脂肪細胞も身体を健康に保つ働きをしてくれているのです!
しかし、肥満によって白色脂肪細胞が肥大化し、数がどんどん増えていくと、アディポサイトカインの分泌異常が起こり、悪い働きをするアディポサイトカインが多く分泌されるようになってしまいます。
その中でも特に悪影響を及ぼすといわれているのは以下の3つの悪玉因子です。
TNF-α:インスリンの働きを悪くし、糖尿病の発症リスクを高める
MCP-1:動脈硬化の発症や悪化に関与していると考えられている
PAI-1:血液を固まりやすくし、血栓ができやすくなる
また、アンジオテンシンⅡという物質を過剰分泌させ、高血圧のリスクを高めてしまうとも考えられています。
本来アンジオテンシンⅡは、全身の細胞に酸素を運ぶために血流を良くする働きがありますが、白色脂肪細胞が肥大化し数が増えるとアンジオテンシンⅡの分泌も過剰となり、全身の血圧にも影響が出てしまうのです。
これらの悪影響は、皮下脂肪よりも特に内臓脂肪で大きくなります。
それは、身体の内側にある内臓脂肪から分泌された悪玉因子は、すぐに肝臓へと流れ込み、肝臓の代謝機能に強い影響を及ぼすと考えられているからです。
つまり、内臓脂肪型の肥満は、生活習慣病につながりやすいので特に注意が必要となります。
▼白色脂肪細胞を増やし過ぎないために▼
① 体脂肪率を適正に保つ
体脂肪率は、白色脂肪細胞の増えすぎや減り過ぎを知る指標になります。
年齢によっても多少異なりますが、男性は15~20%、女性は20~25%くらいが目安です。
② 有酸素運動を行う
酸素を取り入れながら行う有酸素運動は、脂肪燃焼に効果があります。
ウォーキングやサイクリングなどを20~30分以上継続して行うのがおすすめです。
ただ、10分くらいずつの運動でも効果が出ないわけではありません。
少しでも時間が空いたら身体を動かす習慣をつけることが大切です。
この他にも、唐辛子の辛み成分であるカプサイシンが白色脂肪細胞やその脂肪組織に有益な影響を与えると考えられています。
カプサイシンを摂ることで肥満状態の脂肪組織の炎症を抑制し、糖尿病や動脈硬化などの肥満に関連する症状の改善が期待できます。
ただし、カプサイシンだけをとれば必ず効果がある、この食品だけ食べれば大丈夫、というわけではないので、日々の食事では特定の食品に偏らず、バランスの良い食事を摂るようにしましょう。
白色脂肪細胞は減らしすぎても増えすぎても身体に悪影響をもたらします。
基本は、特定の食品に依存せず、エネルギーや栄養のバランスを考えた食事をとり、適度な運動を心がけ、白色脂肪細胞の良い部分をいかせるような身体作りをしていきましょう。
ダイエットプログラムのご相談や管理栄養士による食事指導などは
ノルン鍼灸院までご相談ください!
芸能人や日本代表のアスリートを鍼灸・栄養指導の両方からサポートし続けています。
参考文献:
コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E7%99%BD%E8%89%B2%E8%84%82%E8%82%AA%E7%B4%B0%E8%83%9E-600259
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?