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インド映画【容疑者X】を観た
結論
もう少し丁寧に作ればよかったのに。
この映画は東野圭吾氏の直木賞受賞作品である「容疑者Xの献身」を
原作としたインド映画である。
東野圭吾氏の作品は、日本はもとより海外でも大変人気があるらしい。
韓国ではいくつもの作品が映画化されているが、この作品も「容疑者X」(”の献身”はない)というタイトルで映画化された。
「容疑者Xの献身」という話は、
冴えない数学教師の隣人が元夫を殺害した。男性は隣人の犯した殺人を隣人が逮捕されないように奇抜な方法を考えだした。それを実行していき、ついには男性が自首をし逮捕されることになる。しかしそれには男性の深い考えがあった。
と、ざっくりいうとこんな話。(ざっくりしすぎ。)
「容疑者Xの献身」には湯川学という人物が登場し、事件を解決する。
湯川学はテレビシリーズにもなった「ガリレオ」の主人公の物理学者で、
警察からの協力申請に応じ、天才的思考で事件を解決する。
ありふれた設定だけど、やはり東野圭吾だけあり、なかなか面白い。
そんな原作なのだが、「容疑者X」(韓国制作)には”物理学者”が登場が
しない。ここが原作を大きく違うところだといわれている。しかし湯川学はガリレオシリーズに登場する人物であり、韓国でガリレオシリーズが制作されていない以上、別に湯川にこだわる必要はなく、「原作と大きく違う!」というようなことでもない(と思う)。原作と大きく違うのは、その結末だ。その結末はどちらがいいかは個人の好みだと思うが、私は韓国版の方が好き。
話を戻そう。インド映画の「容疑者X」だ。
インド版「容疑者X」にも物理学者は登場しない。本作品では、殺される元夫は賄賂を受けっとっている悪徳警察官という設定になっている。そしてその悪徳警官を調べるために刑事がにムンバイからやってくる。その刑事が”物理学者”のような立ち位置になっていた。容疑者である妻を調べる過程で隣人の男の存在を知る。それが大学の友達だった、という流れ。高校と大学の違いはあるといえど、この辺りは韓国版とそっくりだ。
執拗に元妻を疑うあたりは、韓国もインドも同じなのだが、インド版はそこに妄想が加わり
ちょっとエロいこと考えてるんちゃう?
ってなっている。
いらんだろ、その妄想。
警察の存在に怯え、隣人の言うとおりに接するものの、
伏目がちになるオリジナルや韓国版の元妻たちに比べ、インドの元妻は
やたら堂々としていて、しかも意地悪までしてしまう。
お国柄なの?
しかしそんなのはいいとして、最大の謎、というか雑な部分は、
元夫の遺体はどうしたんだ
ってこと。
【ネタバレ】
10年以上前の映画だから今更だけど、念のためここから先はネタバレ域です。自己責任でどうぞ。
この作品の最大の見せ場は、犯行の行われた日、つまり殺害日を操作したところにある。実際の犯行は*8日だったにもかかわらず、9日のアリバイを数学者は作り、隣人にもそれを実行させた。(*原作、各映画で日にちは違う)なぜそんなことをさせるのか、数学者はただ「僕の言うとおりにしてくれればそれで大丈夫」としか言わない。だから隣人は何もわからない。数学者は考えた。8日のままだと容疑者は元妻とその共犯者(娘(韓国版は姪))になるのは確定的だ。しかし9日だったら?容疑者は別の人物(X)となり、隣人は逮捕されることはない。そのためにはもう一つ殺人をしなくてはいけない。隣人は元夫と同じ背格好の浮浪者を見つけ、その男に元夫の衣服を身に付けさせ、最後に泊まった旅館に連れておき、そこで証拠を残させ、食事をさせ、そして人気のないところへ連れて行き、隣人が元夫を殺害した同じ形の電気コードで首を絞め殺害をし、顔を潰し、指紋を焼き、そして衣服を半分焼き、IDが残るようにした。これで警察が検視をすれば死亡推定日は9日となり、その日に犯行不可能なアリバイを隣人たちに実行させればいい。さらに、隣人にわざと”恩着せ”と思わせる行動をすることで数学者を”恩人”から”気味が悪い人”に思考を変えさせ、隣人を”騙し”自分のこと、あの日のことを忘れさせ、幸せになってほしい”それが数学者が隣人にできる最大の恩返しだったのだ。
人生に絶望し死を選んだ数学者にとって隣人は、その存在そのものが命の恩人だったのだ。だから今度は自分が彼女を救う。どんな犠牲を払ってでも。
ここらは、日本版も韓国版ももちろんインド版も同じ。
ここで気になるのが、本当の元夫の遺体はどうしたのってこと。
公に発見されたのは、元夫に見せかけた別人。
インド版はそこに全く触れていなかった。
アリバイを崩さないためには、絶対に元夫の死体が見つかってはいけない。
だから私はすごく気になっていたのだ。
日本オリジナルは最後のエンディングで明らかになるし、
韓国版は最初から伏線があった。
でもインド版は?私見逃した?
元夫の死体のことを重要視していないような気がして、
この結論に達したのです。
もっと丁寧に作りなさい。
ちなみにおすすめのインド映画は「きっとうまくいく」です。
長いけど見る価値あり!
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