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やるだけのことはやって、後のことは心の中で、そっと心配しておれば・・・後編

やるだけのことはやって、後のことは心の中で、そっと心配しておれば良いではないか。どうせなるようにしかならないよ。 勝海舟

前回までのあらすじはこちら ↓↓

というわけで、伯母が施設に入居したことで、
叔母は独り暮らしとなった。

◆注意◆
山崎育三郎が妻帯者と知ってショックを受けた叔母とは別の叔母です。

余談だが、学生や若者がひとりで暮らすときは、
「一人暮らし」と書き、
老人がひとりで暮らすときは、
「独り暮らし」と書く(気がする)。
「一人」は人数を表し、
「独り」は、単独を表すので、
「部屋に一人」だと感じないが、
「部屋に独り」だと他に誰もいない意となり、
寂しさを感じる。

さて、叔母たちはいわゆる「お嬢さん育ち」。
戦前生まれだが、長女は音楽が好きで、
ピアノを与えられ、次女、三女と東京女学館に通い、
次女三女は、当時はめずらしく女子大まで卒業している。
(父も私立の男子校に通い、理系の大学を卒業している)
末っ子の叔母は、上の二人の姉に反発して、地元の公立高校に通い、
琴演奏者になり、叔母たちはお見合いで結婚したが、
好きな人を見つけてきて、
さっさと家を出て結婚をしてしまったという、
当時では「時代の最先端」を行くようなオンナだった。

本人は、姉たちにコンプレックスがあったようで何かにつけて
反対のことをやっていたといい、
姉たち(叔母)は、「末っ子だから、甘やかされて育った」という。
私は、当時そこには存在していなかったので、どちらが本当かわからないが、主観なんてそんなもんだ。それぞれの言い分がある。

姉である叔母二人は「華麗なる一族」に出てきそうだし、
二人セットな感じだったので、常に2対1だったのだろう。
なんとなく末の叔母の言い分がわかるような気がする。

さて、そんな叔母なので、当時から良くも悪くもアグレッシブだった。
行動力もあり、勝手に結婚したかと思うと、今度は離婚。
その後は、さっさとロンドンに留学をしてしまった。
「たまちゃんも一緒にいきましょうよ~」って誘われたっけ。
行かなかったけど。(行けばよかった。いや、どうだろか)
帰国後は、祖父の持っていた会社跡に一人で住み始めた。
そのうち、そこを引き払って、実家に戻ってきた。

で、今回の伯母施設入居。
アグレッシブな叔母、大きな実家で独り暮らしとなる。

実家は日本家屋で平屋。
廊下に押し入れがあるような作りで、
冷蔵庫しか置いていない4畳半の板の間は「女中さんの部屋」
だったらしい(ひえ~いつの話だよ)。

一人で行動する人ではあるけど、
そんな性格なもんだから、他人と付き合うような生活は送っていないらしい。ほどなく外出もしないで、家で過ごすことが多くなった。
でもアグレッシブなことは変わらない。

ここで私の姉が登場する。
姉は、結婚して実家の近くに家を建てて、住んで20年以上経つ。
私は、両親のいない実家に興味はなく、
さっさと実家から離れてしまったが、なぜか姉は実家近くを選んだ。
これが、姉曰く「後悔先に立たず」。

実家に住む叔母から、何かと連絡が入る。
そのたびに実家に足を運ぶが、結局はイヤな思いをして帰るらしい。
最近は同じことを繰り返すので、どうしたらいいか私に相談をしてくる。
私は、
「気になるなら「地域包括センター」へ行って、相談してきたら?」
と話すが、
「そのまま世話をすることになるのは困る!」という。
「じゃあそのままにしておけば?」というと、
「でも何かあって私に連絡来ても困る~」という。
そして決まって聞かれるのが、
「たまだったらどうする?」

「その質問は意味がないわよ、私はおねえちゃまじゃないし」
といつも答える。
でも姉は食い下がる。
「でも~ね~たまちゃんならどうする?」(しつこい)
仕方なく答える。
「私だったらなにもしない。」
驚く姉。
「え??だって・・・」
私は続ける。
「おばちゃまが心配だったら、私は地域包括センターへ相談に行く。
でもたぶん何もできない、実子じゃないし。だから何もしない。
万が一のときは、
花子(仮名・件の叔母の姉)おばちゃまに連絡がいくと思う。実姉だからね。姪への連絡はそのあとじゃない?」
*法定相続の順でそう考えたんであって、ホントのところはわからない。

考え込んでる様子の姉は、こうも言った。
「そうか~でも近くに住んでいるから私に連絡来るかな、面倒見なくちゃいけないのかな‥どうしたらいいと思う・・?」

姉は、叔母の心配ではなく、自分の心配をしているのだ。

だから言ったでしょ。
私の意見なんて聞いたところで、自分の思いと違っていたら、
余計に悩むだけ。

関わるか、関わらないか、自分で決めないと。

「近くに住んでくれたら、何かあったら一緒にやろうよ~」

何を聞いていたんだ!


まだ起きてもいないことにネガティブになりすぎている。
話しているとこっちまで暗くなるから、もう電話切ってもいい?

と半分キレて姉に言い放つと、

ムスメにも言われるんだよね~ネガティブ過ぎてイヤになるって。

ったく、自覚があるんだか、ないんだか。
姉ってこんなに心配性だったっけ?って思ったけど、
姉は昔から、人のことより自分のことが気になる人だった。
なんだ、昔と変わってないじゃないか。ちょっと安心(か?)。

ま、メソメソすんなよ、
そのときは、全力で挑みますから。
と、結局励ますジブン。
直後に「独身・子なしの親族の介護」で調べまくって姉に報告をする、
健気な妹の私であった。

やるだけのことはやって、後のことは心の中で、そっと心配しておれば良いではないか。どうせなるようにしかならないよ。

んじゃまた!


いただけるなら喜んでいただきます。