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僕が読んだ一番刺激的な本は「占いの本」。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:いい本など存在せず、ただいい読者が存在するだけなのかもしれない。万人に名著と呼べる本などなく、あなたが気に入った本は、天才のあなただから引き寄せた書物にすぎない。本がひとを選んでいるのだ、という暴論。

梅花心易とは何か

読者の方から、「どんな本を読んできたか」と質問をいただいたお話はしました。

これから折りに触れ、僕に影響を与えた書物について、書こうと思っています。

皆様におすすめするだとか、そんなだいそれたことではないのですが、本というのは読者を選び、読者が試されているのだとも思うのです。

つまり、それがどんな本であっても、問題意識や多様な観点を持っているものには、大きな福音をもたらしますが、特定の興味を満たすだけの目的の人には、本が期待外れだと10ページ読んでゴミ箱行き、となるのです。

今日、僕が紹介する本はおそらく多くの方にとって、「何だこんな本」と言われるものかもしれません。

でも、僕にとっては一生の宝と言えるものでした。

その本とは、これです。
「梅花心易精義(ばいかしんえき・せいぎ)」
 鎗田宗准(やりた・そうじゅん)著

何だぃ、占いの本か、と皆様は呆気にとられ、失望されたかもしれません。

梅花心易(ばいかしんえき)とは、易(えき)占いの一種ですが、とても面白く、占断の結果は、占う事物の現在、過去、未来を、卦(け)という独特の形を持って示されます。

占いとは何か

この占いの要諦はいかにこの「卦(け)」を読み解くかにあります。

https://x.gd/97nxh

この本は、たんなる占いの技術書ではありません。

哲学書とでも言えるもので、著者は本の中で繰り返し、次のようなことを主張しているのです。

「梅花心易という占いを本当に当てるのに必要なのは、占いの技術ではなく、占いを使う者の興味のありよう、知識、状況を把握する力、教養、そしてインスピレーションを感じる能力次第である」というものです。

前掲書より

この本が教えてくれたもの

この本の僕にとっての教訓は、まさにそういうことで、

「いくらいい情報やデータ、素晴らしい人物や機会に遭遇しても、自分の知識や教養、状況を把握する力、インスピレーションを感じる感性などがなければ、それが持つ本当の価値は得ることができない」ということを教えてもらった、のです。

この梅花心易という占いは、実践することによって、教養や知識をより蓄え、状況を把握し、インスピレーションにどう頼るかを教えてくれます。

そういう意味では、この本は単なる本でなくて、実践の書といえるかもしれません。

ブッダとウバカ

かつて悟りを得られたブッダは、伝道中にウバカという一人の行者に会い、自分が大覚者であることを伝え、その教えの要諦を説いたそうなのです。

https://x.gd/WSflF

ウバカは「そうかもしれませんね」と言って、去っていったと伝えられます。

ブッタの貧しい身なりを見て、誇大妄想狂だと断じ相手にしなかったのです。

「ウバカであってはならない」、僕は思うのです。

つまり、すぐれた書の価値がわからないようではいけない、ということです。

ただ、僕はまだまだウバカでありまして、ブッダを本物の名著とするならば、まだその縁すらいただけてないありさまなのです。

ただ、この梅花心易の本は、名著とは言えないかもしれませんが、知識と教養とカンを磨くことで、本物を見極める力を養えるかもしれないことを教えてくれました

そして何の変哲もない本からも、偉大なヒントを読み取れる、かもしれないいうことも。

野呂 一郎
清和大学教授




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