米最新事情にみる「高卒労働者の時代が来た」
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:アメリカ最新労働事情。コロナが経済を変えたのか、変えてないのかの理解。経済、供給側の変化。なぜ、アメリカの労働界で高卒者が求められているのかの理解。
昨日報じた、ケンタッキー州・ルイビル市の商工会議所は最近、求人広告の戦略を大きく変更しました。
今までは全米の大学に出向いて「ルイビルで働こう」、とPRしていたのですが、それをやめました。
新しいターゲットは高校生です。高校生たちに呼びかけるようにしたのです。
会頭のサラ・デバッシャー・ウィズダム(Sarah Davasher-Wisdom)氏は「大学の学位がなくても、ここではいい生活ができますよ」とアピールします。
これを高卒労働者の時代が来た、サインととらえていいのでしょうか。
僕はいいと思います。
バイデン大統領は「今のサプライチェーンの不調は一時的なものだ。ガソリンもその他の物価も、じきにもとに戻る」と言ってますが、僕はそうは思いません。
高卒労働者の時代、その根拠
高卒労働者の時代が来る、その根拠をあげてみましょう。
特に申し上げたいのは、コロナがおわってもECビジネスは拡大を続け、関連業界である物流、配送、倉庫業界はその性格が程度の差こそあれ、3K(きつい、汚い、危険)でもあるため、永遠に労働力不足が予想されるということです。
また、これらの業種の労働はわれわれの生活になくてはならず、飲食業も含めてすでに”エッセンシャルワーカー”とみなされていることです。
① アメリカ経済ははサービス産業が7割以上を占め、そこで働くのは高卒者
② AIは役に立たない。特にサービス業では
③ 大学4年間学費が爆上がりしている。年間300万もザラ
④ コロナで人々がオンラインショッピングの便利さに気がつき、需要が爆発しているのに、供給側は決定的に人が足りない
⑤ 自動運転車なんてウソだった。ドライバー不足は今後も深刻
⑥ コロナ収束が見えず、人々はコロナ後も接触のリスクを負いたくないから、オンラインショッピングがますます増え、物流関連職も増える→その他の仕事も増
⑦ コロナ給付金の大盤振る舞いで、ルイビル市など一部の地域では貯金で生活を工面できる人々が増えた。つまり働かない。労働力不足で供給がますます滞る
⑧ 配送、倉庫関係労働者の時給、賃金が上がっており、他業界にも波及している。高卒の賃金は間違いなく上がる
⑨ コロナ給付金で当面の生活ができるため、働かない人々が増えた
⑩ 託児所など子供のケア施設不足で、働きたくても働けない人々がいる
⑪ ドラッグ、犯罪に手を染めるものが増えて、労働人口が減っている
⑫ 配送センターの拡充がレストラン、スーパー、クルマ販売などのビジネスニーズを起こし、労働者がどんどん足りなくなっている
労働力に関する変化は経済の変化に他なりません。
だからついでに来年の経済も予言、いや「今後の変化」くらいにしておきましょう😁。
今後の変化
1. オンラインショッピングの拡大は止まらない
2. 配送ビジネスはますます拡大する
3. ルイビル市のような条件のいい物流拠点は、“ビジネス新城下町”として発展する
4. コロナ給付金の支給戦略が変わる。あまりに大盤振る舞いだったことと、金銭的余裕のある人々にも行き渡っていたことが改善される
5. 労働者の職業選別が始まる。典型的な高卒者の選択肢は、アマゾン、マクドナルド、コールズ(Kohl’s全米スーパーチェーン)、UPSから選べる
7. 夜間シフト、週末勤務といったハードな勤務形態はますますニーズが高まるが、ますます人が集まらない
8. ワークライフバランスを考えない企業には人が集まらず、市場からの撤退を余儀なくされる
9. 今まで社会に冷遇されていたアメリカの非大卒者が、安定した職業を得て、安定した生活を送れるようになる
今日も最後まで読んでくれてありがとうございます。
ではまたあしたお目にかかりましょう。
野呂一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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