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日本人、その生きづらさの研究 その④韓国が足りないから不幸。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:今度の日本人不幸説の探求の地は、新潟から隣国韓国へ。なぜ、韓国が足りない日本人は不幸になるのか。その答えはキムチと野菜料理にある。これも新潟同様、暴論に近いかも。
プロレスが結びつけた韓国との出会い
もうほぼ半世紀前の話です。
大学は、その当時韓国語を開講している大学は全国で2校しかなく、その一つが僕が所属していた大学でした。
少数派が大好きのへそ曲がりが、僕を韓国語履修に踏み切らせました。
もう一つの理由は、またかと言われると思いますが、「プロレス」です。
中高時代は勉強そっちのけで年中、プロレスの聖地・後楽園ホールに入り浸っており、その頃ハマっていたレスラーのひとりに韓国人レスラー・大木金太郎(おおき・きんたろう)がいました。
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僕は彼の数奇な運命にも興味を持ち、大学に入ったら、韓国語を勉強し、いつか大木金太郎本人にインタビューしたいと思っていました。
そんなことで韓国語の勉強が始まるのですが、4月に入学して、8月にもう、韓国人の先生が企画した「韓国研修旅行」に行くことになりました。
3週間かけて、現地の日本語学科がある女子大を中心に訪問する、というものです。
なぜ女子大だったか、聞いたところによると、当時日本語学科をおいている大学は圧倒的に女子大が多かったから、なんだそうです。
まあそのおかげで、一人の女子大生と手紙のやりとりができたのは、幸いでしたが。
日本人が幸せでない理由①キムチが足りないから
韓国語なんて、取らなきゃよかったんです。
韓国なんて、行かなきゃよかったんです。
プロレスなんて、好きじゃなきゃよかったんです。
別に韓国に行く前は、ことさら韓国料理が好きというわけではなかったんです。
でも、食べてみるとおいしい。
韓国料理の付け合せには、キムチを始め6-8品無料のお皿がつきます。
それも気に入りました。
でも、一番やばいのはキムチでした。
赤唐辛子の辛さと白菜の清冽さが、衝撃的なうまさとなって僕を襲ったのです。
それ以来、いまに至るまで不幸です。
なぜならば、日本には美味しいキムチがないからです。
「日本にあるソウル」新大久保に行っても、メジャーな韓国街・赤坂に行っても、カルトな上野の韓国人街に行っても、韓国の食材を扱う店で「本場のキムチ」を売ってはいますが、いまひとつ美味しくないのです。
あのレベルの店でさえ、本場のキムチと比べれば、はるかに及ばないのです。
やはり本場はまず水が違いますし、唐辛子が違いますし、キムチ名人たちのこだわりと技量が違います。
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こう言うと、読者の皆様は「ないものねだりはやめて、スーパーのキムチで我慢しなよ」と言われるに違いありません。
僕もわかっているんですよ、ないものねだりなのは。
しかし、一回あの本場の味を知ってしまうと、本物の美味しいキムチを食べられない毎日はつらいのです、ストレスフルです。
これだけ韓国文化が日本に浸透し、訪韓して、本場のキムチを食べたことがある人々が増えた日本。
僕のように本場の「キムチロス」に陥っている日本人はざっと10万人くらい、いるのではないでしょうか。
この人たちに笑顔がないのは、当然と言えるでしょう。
日本人が幸せでない理由②野菜が足りてないから
こういう珍説を言う人々がいるんですよ。
韓国の食事にハマり、ベジタリアンに近い人からの声なんです。
韓国は外食でオムライスを頼んでも、6皿くらい野菜の小皿料理が出てきますよね。
料理自体も肉や魚と野菜のバランスが取れており、結果、韓国人は日本人の2倍、野菜を摂取しているというデータが報告されています。
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ですから、「ちょっと野菜不足を補うために、1週間ソウルに行ってくるわ」、てな感じの健康オタクの日本女性が増えているというのです。
これだけ韓国ドラマや音楽が、日本女性に浸透してブームを巻き起こしているのですから、それ以外の韓国文化、とりわけ食文化にハマる人々がたくさん出てきてもおかしくないですよね。
ましてや健康ブームで、野菜中心食の韓国に注目が集まるのは、自然の成り行きです。
日本食より、韓国食の方が野菜と相性がよく、たくさん食べられる。
だからすぐ韓国に行きたいのだが、仕事が忙しくて行けない女性は、どうしても笑顔が少なくなるのです。
日本人が幸せでない理由③韓国エンタがないから
これは違うかな。
テレビの深夜放送は韓国ドラマだらけだし、歌番組はかならず、韓国の新進ダンスグループが出てくるし。
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しかし、韓国エンタ推し女性たちは、そんなことで満足しません。
韓国ツアーに出かける、韓国語を勉強する、韓国に留学する・・・。
こころの葛藤を克服するため、自己開発の行動に出たのです。
人間の幸せは、またあとで述べますけれども、結局は積極的な態度を持つことだと思うんです。
韓国エンタテイメントに憧れるがゆえに、満たされない思いの日本女性は不幸かもしれませんが、その逆境を逆手に取って積極的な行動を見せる方々は、幸せといえるのではないでしょうか。
日本人が幸せでない理由④韓国流デモの行動力がないから
韓国人はことあるごとにデモを行います。
大統領の不祥事はもとより、大統領夫人の品性に抗議、大学医学部の定員増加に反対、日本政府の決定に不服など、理由は様々ですが、近年韓国では市民レベルでのデモ参加が珍しくありません。
1987年の民主化以降、デモは市民の意思表明手段として一般化し、2017年のセウォル号の事故に対する政府の責任追求のデモは、ソウルに5万人の参加者が集まりました。
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デモがいいとか悪いとかではなく、合法的で社会に受け入れられる方法で、民衆が意思を表明する自由があり、それを実行するスピリットも韓国の市民文化ととらえると、それを十分に行使しないしない日本人は幸せを放棄しているように見えるのですが。
野呂 一郎
清和大学教授