![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132100632/rectangle_large_type_2_367b03a33b5694ffbf371ce7c515c2ce.png?width=1200)
【絵師向け】急に依頼を受けたけど、どうすればいいの?
【絵師向け】急に依頼を受けたけど、どうすればいいの?
絵描きとかイラストレーターは無資格でできますから、SNSでは個人間でも活発に絵の売り買いが行われます。
スケブやココナラといった趣味の延長でお金を得られるシステムもありますね。
これらのサイトも最終的には問題が起きたら原則当事者間で解決することが求められ、日々問題が多発していることは耳にします。
絵の商取引を普段から行っていないどころか、そもそも社会人経験ゼロの人同士の場合もあるから、問題が無い方があり得ないことです。
では、特に個人で絵の依頼を受けている、あるいは突然受けた場合、どうすればいいのか。またどういった危険があるのか。
そもそも受けられる内容なのか確認する
依頼を受けるということは、うれしいことです。
依頼の受付をしていなくても、SNSで活動していれば依頼される可能性もあるでしょう。
自分が求められているのだから、その期待に応えたい。
初めて頼まれたから、無理してでも断りたくない。
そもそも断るのが怖い。
などなど色々とあります。
ただ、受けられない内容のものを受けてしまったら、困るのは自分です。
よくあるのが「気軽に受けてしまったが、指示通りに描くのが乗り気せずツライ」という声です。
普段依頼を受けておらず、たまたま依頼を受けてしまった時、起こります。
よく考えたら到底無理な納期でOKしてしまった。
みたいなこともよくあります。
また、技術的に可能でも法律やその他環境でできない、あるいはグレーなこともあります。
例えば二次創作を依頼される場合です。依頼者の注文とはいえ、著作権を侵害するのはあなたになってしまいます。
まず依頼が来たら、立ち止まることが必要です。
むしろ断る前提で断る理由を探して、それでも断る理由が全然見つからない。という時に初めてOKするくらいでも良いでしょう。
概要や指示書を確認する
そういったものがあればよいですが、個人間ではこの指示書や仕様書といった書類でのやり取りはほとんど行われません。
依頼者側も初心者なのでふわっとしていることもあるでしょう。
お互い初心者だとここが後々の揉め事の発端となることはよくあります。
ではそれらがないとして、相手に何を聞けばいいのか。
【最低限決めること・聞くこと】
納期
金額(税抜き込みも含め)
金銭の収受方法(先なのか、後なのか、振り込みなのか、手数料はどっち持ちか等)
納品形式(ファイル形式)
依頼の絵の概要(サイズ、カラー形式、描写内容など)
リテイク可能な回数や条件
【本来は決めるべきこと】
著作権の帰属(相手に権利譲渡するかどうか)
責任の帰属(その絵で問題が起こった場合の責任の在り方)
使用条件
契約書をどうするか
支払いサイト(いわば支払いのサイクル・期日)
納品後の取り扱い(契約完了後にリテイクや返金要求不可など)
キャンセルの規定
etc
このうち、当然最も重要なのは依頼の絵の概要です。
何の絵をいつまでにどのくらいのクオリティでどういった内容で描けばいいのか。
これがないと作業は当然できません。
自分が作業できて、相手が納得する必要なことをお互いに話し合って決めねばなりません。
相手から出てくる情報が少なすぎるほど、依頼内容は曖昧になります。
例えば「列車の絵を描いてくれ」と依頼があったとしたらどうでしょう。
あなたがとりあえず機関車と客車を描いたら、依頼者から「いやいや、私が依頼したかったのは夜に走る新幹線だよ。まったく依頼を理解していない絵師だ!」なんて言われても困ります。
困りますが、相手も困ってしまい、あなたに価値無し。と一蹴されてお互い不満爆発です。
そんなアホなことはない。と思われるかもしれませんが、プロの現場でもふつうに多発しています。
というより無いほうが珍しいくらいです。
そのため、依頼の絵の内容は大まかに以下のどちらかの条件から設けます。
1、できるだけ細かく聞き取る
2、大まかな内容なら条件を取り付ける
まず「1」についてです。
相手の思っていることを現実にするために、できる限り細かく聞き出す必要があります。
そこで注意したいのが、相手に長文を出す機会を与えてはいけません。必要なことを聞き出します。
プロの現場でもこのあたりは地雷が多いです。
仮に絵師がプロでも依頼主が素人なことは多々あるからです。
◆こんな依頼は防ぐべき
・小説を読んでくれ
10万文字あるので読んで絵を描いてほしい。
あるいはブログ記事を10個読んで描いてほしい。といったものです。
確かに細かく指示があるようですが、実際には曖昧な指示にほかならず、労力も大きい、相手の期待も勝手に大きい。という最悪の事例になりかねません。
・世界観/想いをこちらに書きました
文章形式はなるべく避けるべきです。また雰囲気や世界観といった、本人しか分からないあるいは伝えにくい、具体的ではない内容で請け負うのは危険です。
・この音楽を聴いて表現してほしい
やはり具体的ではないので、思い違いは当然起こります。
・具体性に乏しい
「かっこいい男を描いてくれ」「3万円くらいの価値の絵を描いてくれ」
などは定義がなく、曖昧です。人によって内容が変わってしまうので危険です。
これらに共通することは、あまりに具体的でないことです。
簡単に言えば、お互いに思い浮かぶものが違う可能性が少しでもあれば、必ず打ち合わせるべきでしょう。
「速いクルマを描いてくれ」と言われたら、「具体的に速いとはどういうことでしょうか」「このような形のスポーツカーはいかがでしょうか」など、相手が出してこないならこちらから具体例を示して同意させるのも手でしょう。
次に「2」について
上記で「具体性に乏しいのは避けるべき」なんて言いながら、こちらでは「具体性に乏しくても受けていい」という真逆の内容です。
例えば、あなたの絵に惚れていて相手が「あなたの絵ならなんでもいい」という依頼ならどうでしょう。
あまりにも具体性はありませんが、あなたは自由に描いて相手は何でも納得してくれるかもしれません。
そうなれば、依頼内容が具体的じゃなくても、受けることはできそうです。
その場合「ただし、どのような内容であっても大幅なリテイクには応じられません」などの但し書きが必要になるでしょう。
それが「2」の意味です。
話し合いをしてもどうしても具体性が乏しいなら、相手に条件を迫ることで依頼を受けることもできます。
例えば「昼に走る黒い蒸気機関車を描いてくれ。それ以外に条件はない」という依頼があったとします。
その場合「昼に走る黒い蒸気機関車が達成していない場合はリテイクに応じますが」「それ以外の部分に関してはお任せとして、リテイクに応じられない場合がありますがよろしいですか」などとして、合意すれば安全です。
後から「いや、俺が言った黒い蒸気機関車は日本製のもので、アメリカ製のもの描いたのだから変えてくれ」と言われても「お任せ頂いた部分なのでリテイクに応じかねます」と返すこともできます。
具体性が無い部分に関しては、あらかじめ相手に条件を提示し、合意しておくことも大事です。
進めかたと条件を明示しておく
依頼を受ける際に、どのようなプロセス(やり取り)で完成するかを提示することは大事です。
一般的な例だと
契約(受発注)
ラフ(下書き、初稿以降、何度かやり取りすることもある)
完成(色を付けた段階で見せるなど、いくつか段階を作ることもある)
の工程で、それぞれで途中経過を出し、相手のOKを求めます。
ここで大事なのは不可逆性です。
難しい単語に聴こえますが、ようは「一度認めたことは後から覆せません」ということです。
例えばラフの時点でOKを貰ってそのまま進めたのに「やっぱりこの構図は気に入らないから、2人に増やして、キャラクターを男性から女性に変えてくれないか」と言われたら、ほとんど書き直しになるかもしれません。
それが何十回も続いたら採算も合いません。
そこでラフでOKした部分は、後から変更不可とするのが不可逆性です。いわば途中セーブポイントですね。
大事なのはこの条件を始めに相手に投げつけておくことです。
「絵完成までのプロセスはこうです。ラフの時点と完成時点でそれぞれ3回までのリテイクに応じることができます」などと、どのように進めるのか、いつ判定する機会があるのか、リテイクは何回、どの範囲でできるのか。
ということを事前に相手にお伝えするのです。
絵の依頼を受けると特に初期は喜ばしいことです。
しかし、舞い上がって
とにかくOKして後から細かいことは決めよう
どうせ1回しか受ける気は無い
相手は良さそうな人だからきっと悪いことはしてこない
プロではないからその辺は適当で
としておくとあらぬ嫌な思いをすることもあり得ます。
仮にあなたがプロではないとか、安い金額で受けているとか、あるいはボランティアだと思っていても、相手からすればお金を払って、それも高いと思っているかもしれません。
依頼主は絵を納得するまで詰めてくることがありますが、依頼を受ける側は契約時点で最も納得するまで詰めていくほうが安全です。
蛇足ですが、スケブというサービスはこういった諸問題を解決するために絵師ファーストで依頼を受けられるサービスです。
依頼者側はリテイク、注文などが出来ず、絵師から出てきた内容をそのまま受ける必要があります。
こういったサービスを利用することも、安全に進める手のひとつでしょう。