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リライト論[第二章]リライトの定義(1)トーンを変える

広告制作におけるリライトとは本来、「元となる一つの文章を(1)内容は変えずにトーンを変える。(2)内容は変えずに字数を変える(増減する)。(3)内容は変えずに文章を整える。(4)内容は変えずに一定の情報を削除あるいは追加して文章を変える。」。

以上であると考える。ここで重要なのは「元となる一つの文章」という点だ。複数の文章ではない。ある別の人物(あるいは自身の場合もある)が書いた、元となる一つの文章を上記の(1)~(4)の形式で書き直す作業こそが「リライト」である 。ただし、(4)は本質的にリライトの域を超える場合もある。その理由は後述する。
次は、実際にこの「リライト」を行いながら、その作業内容を明らかにしていきたい。

リライト(1)を行ってみよう

前述の「(1)内容は変えずにトーンを変える」について説明していきたい。この「トーン」には微妙な意味合いがある。「新明解国語辞典(第三版)」に よれば「音・色などの微妙な調子」とあるが、もちろん文章のトーンもこの「微妙な調子」そのものだ。
さて、それでは、次の文章を基点に「リライト」の方法を例示していきたい。

★基本文(元となる一つの文章)
日本の風土と時代に適した住まいをつくり続けてきたXY住宅の技術を、
日本社会がいま直面する超高齢化という課題のために広く役立てていきたい。 ゴールド住宅「PLENTI」は、私達のそんな思いから出発しました。
高齢者の皆様が心身共に健やかに暮らせる住まいへ。「PLENTI」という
ブランドには“豊かさ”あふれる人生という希望を込めています。

私が以前書いたあるコピーを脚色したものである。もちろんネーミングなどは架空のものに変えた(「Plenty」=豊かさ から作成)。これは、 ある住宅メーカーのマニュアル向けに書かれたコピーが下敷きになっているため、文章の「トーン」としてはやや硬めである。定義(1) の事例として、このコピーを「もっとやわらかくしてほしい」というオーダーがあった場合、文章は次のように変わる。

                                                                  ↓          
【リライト後のコピー】
日本の自然や人の暮らしにふさわしい住まいをお届けしてきたXY住宅の
技術を、社会が向き合う超高齢化というテーマに活かしていきたい。
 ゴールド住宅「PLENTI」は私たちのそんな願いからスタートしました。
高齢者の皆さまが、すこやかな心とカラダで暮らせる住まいへ。
「PLENTI」という名には“豊かさ”あふれる人生という願いをこめています。

漢字をひらがなに変え、「心身」などの熟語や「日本社会が直面する」のように硬い表現をやわらかく変えた。定義(1)の「トーン」を変えるとは、このような ケースのことを言う。ちなみに文字数はどちらも166文字だ。

次回は、定義(2)「内容を変えずに字数を変える(増減する)」リライトを実際に行ってみたい。

※よろしければ、[第一章]「リライト」について もお読みください。

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