遠回りやからこそ、見える景色がある。
とアンミカさんは、
自身の歩みを振り返りつつ言った
(先月の『Skyrocket Company』)。
モデル事務所のオーディションを20回受けてダメで、
ある事務所に「実物を見た方がおトクですよ」と、
意味不明の売り込みまでしても
無残に落とされてしまったという
過去について語った。
パリコレも初回はダメで、
トライを続けてついにランウェイを歩いた。
「あかん、何で私ばっかり」と思ってる人がいたら、
「いや、ちゃうで、他の人にできへん経験を
積ましてもらってる」
と思えと助言し、
「将来、(その経験が)絶対宝になるから」
と励ます
“アンミカ教”、強烈。
*
私は花王石鹸(当時)のコピーライター募集に応募して
最終の役員面接で落とされ、
「3年後に考えるから」という人事部の
言葉を信じて入社。
本社販売部での勤務を終えてから、
コピーライター養成講座に2か所通った。
結局、3年目の人事部面接で、
あっさり否定されたのを受けて、
一週間後に辞表を出し、
無給のコピーライターとして働き始めた。
コピーライターの見習い時は、
そんな“メーカー体験”が、
クライアントの動きを想像する糧になる、
と勝手に思っていたが、
実際にイメージはしやすかった。
それが「宝」だったかどうかは別にして、
このコスパ優先時代には恐らく毛嫌いされる
「遠回り」には、
「遠回り」なりの価値が確固としてある。
だから、多少の失敗で
ストレートに進めなくても、
気にするだけ、それこそ無駄だ。