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まるで暗い洞窟の中へ入ってゆくような気持ち。

「日本経済新聞/春秋」の
コラム子が、
MCI(軽度認知障害)を発症した
義理の母の口からもれた
この言葉を紹介している。

「情けないね」と言うことが
多くなった私の母も
同じ心境だろうか。

■洞窟に入っていく認知症の第一人者

NHK のドキュメンタリー
「認知症の第一人者が認知症になった」を観た。

この「認知症の第一人者」とは、
1974(昭和49)年に
認知症の疑いを明らかにする検査
「長谷川式簡易知能評価スケール」を開発し、
2004(平成16)年には、厚生労働省の
検討会の委員として「痴ほう」という
病名を「認知症」に変更するのに尽力し、
デイサービスの制度設計にも関わった
経歴をもつ
長谷川和夫さんだ。

ドキュメンタリーでは、長谷川さんが
まさに洞窟に入ってゆくように
徐々に奇異な言動をとるようになる
プロセスを克明に描いた。

面白かったが笑えないエピソードは、
自らが制度に関わったデイサービスを
自分自身が利用し、
一度も笑わずに過ごして帰ってきて、
「もう行きたくない」と言い放った
場面だ。

■洞窟に入っていく自分

高齢になるほど我儘な性格が色濃く出る
場合があるが、
まさにそんな場面だった。

       

観ていて思う。
一昨年、父を、そしていま
母を、週2泊4日で介護している
私も、
同じような洞窟への道を
辿るのであろうか。
ただし、

私の父母世代と大きな違いが
一つある。

兄弟が多かった昭和初期生まれは
父母の介護を経験していないケースがあり、
私の父母もそうなのだ。
だから自分が介護される側に立つ
ということを理解していないし、
自立するということに関心が薄い。
これは、大きいな違いだ。


少なくとも私は、

常に洞窟の入口を確かめつつ、
視界が暗くなったら、
一度立ち止まりつつ、
介護制度の助けを借りつつ、

自らを失うことなく、
生きてゆきたい。


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