見出し画像

「将来のキャリア」に悩むことの危険性について

私が20代の頃、自分の悩みはすごく大きな、手に負えないものだと思っていました。どんな仕事を将来やっていきたいのか、今やっている仕事はそれにつながるのか、キャリアは正しい方向に進んでいるのか、など抽象的な悩みにいつも苛まれていました。そして、メディアに流れてくる世間で成功者とされる人の話を読みながら、自分との差に愕然としたりしていました。

また、日々の仕事がうまくいかなかったりした時も、自分は専門的知識や思考の深さが足りないからダメなんだ、本当に実力が足りないな。と考えて、ビジネス書を読み漁ったり、資格の勉強をはじめたりしていました。

でも、いくらこうやってあがいてみても、悩みは一向に解決しません。それどころか、理想像と比べてうまくいかない自分に苛立ち、さらに不安が増して、働く気力を失っていくことが本当に多くありました。

そして、30代になって認知行動療法のカウンセリングを受けて気づいたのは、「将来のキャリア」のような「抽象的で」「大きな」問題こそが、自分の悩みの原因だと勘違いしていた、ということです。

どういうことかというと、カウンセリングをはじめて、認知行動療法のモデルに沿って、自分が何にストレスを感じたかを毎日コツコツと記録してみると、そのほとんどが「同僚が自分をバカにしたような言葉遣いをしてきた」とか「上司から仕事が遅いと指摘された」といった「具体的で」「小さな」ものだったのです。

これは本当に目から鱗でした。自分はキャリアとか専門性みたいな大きなことに悩んでいると思っていたのに、実際は毎日のちょっとしたことが私の悩みのループを発動させるきっかけになっていたわけです。

ただ、この「ちょっとしたこと」というのは本当に厄介です。きっかけは同僚の「とくさん、そんなこともできないの?」という些細な一言だったとしても、そこから以下のようなループがはじまります。

「こんなこともできないなんて自分は本当にダメだ」⇒「こんな自分ではいまやってる仕事もきっと完成させられない」⇒「そうなったらもうキャリアは終わりだ」⇒「というか、そもそもこんな仕事を選んだことが間違ってるんだ」⇒「ああ、なんで2年前のあの時に内定を断らなかったんだろう」⇒「こうなったらキャリアを変えよう、資格を取ろうかな」

このように、同僚の些細な一言がいつのまにか大きく抽象的な悩みに「変形」していき、最後にはキャリア選択や資格取得の話になってしまっています。。。これが若い頃の私が、常に新しいキャリアを模索したり、次から次と資格の勉強に手を出していた構造だったわけです。

でも、お気づきのように、いくらキャリアについて考えても、同僚や上司から指摘された問題は具体的には解決しません。指摘されたことをきっちり受け止めてそれを具体的に改善していく必要があります。

さらに大切なのは、上司や同僚から言われたちょっと否定的な言葉なんて重く受け止めずに、軽く受け流してさっさと忘れてしまうことです。実際は言ってる本人すら忘れてしまってたりしますし、、

でも、こういうストレスに強い人からすれば何でもないことが、昔の私はできませんでした。そして、それが結果的に毎日の仕事や生活をうまくこなすことを阻害していました。

なので、自分が悩みやすいなと思っている人は、まずはストレスを感じたときの状況と感じたことを具体的にメモしてみることをおすすめします。意外にほんの些細なことに傷ついたり悩んだりしていたりするので。

と、ここまで書いてみて思うのは、「小さく」「具体的な」ところから問題を考える、って実際の仕事をうまくやるコツでもありますよね。いまなら「我社のデジタルトランスフォーメーション(DX)はどうあるべきか?」みたいなことから考えちゃう罠というか、、、

----------------

Twitterでも、「心をうまく使いこなす」情報を発信しています。よろしければぜひフォローしてみて下さい!
https://twitter.com/nori76

記事を楽しんでいただけたでしょうか。シェアいただけたらとても嬉しいです。