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最好映画

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最も好きな映画を書いてみます。
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2020年7月の記事一覧

最好映画。 150 「ターミネーター2」 1991年。

ジェームズ・キャメロンが好きなのは、事前に想像していたスケールを超える何かを起こしてくれるところと、エンディングを3回は引き伸ばしてくれるところ。「ターミネーター」でファンになって「エイリアン2」でずっと観ていたい監督になって、「アビス」で観たことのない世界に連れて行ってくれて「タイタニック」で聞き慣れすぎた歴史に光を当てて「アバター」で想像しうるすべてをジャンプで飛び越えて。すでに映画というよりは映像産業の革新をずっとつづけている人にしか見えてないすごい方です。「ターミネー

最好映画。 149 「ア・ゴースト・ストーリー 」 2017年。

2018年のピカイチでした。監督のデヴィッド・ロウリーの地元であるダラスで作られた、お化けになってまで妻を見守る夫のお話。ポスタービジュアルが可愛かった以外はあまり情報ないまま観たこの映画。カットはやたら少ない、スタンダードのフィルムフレーム上映という、観るにはハードルが高いスペック。でも飽きません。一切脚を見せないお化けのエフェクト。クロースアップを排した画面作りが徐々に明確になって、今の時流から離れていて痛快です。成仏という観念が色濃いのもオドロキでしたし、最後の最後に膝

最好映画。 148 「バスターのバラード」 2018年。

Netflixオリジナル、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン監督。6つのエピソードからなる西部劇。2時間13分なので、1エピソード平均25分と短め。死にまつわるお話ばかり。笑えますけどw「ミラーズ・クロッシング」「ビッグ・リボウスキ」辺りから観始めたので、さすがコーエン兄弟、としか言いようがないです。キャストがものすごくて、一言くらいしか喋らないリーアム・ニーソン笑、ほぼ一瞬のクランシー・ブラウン、ジェームズ・フランコ。ただただ掘り続けるトム・ウェイツに歌わせたのはさすが

最好映画。 147 「月のひつじ」 2000年。

サム・ニール主演の豪州映画。アポロ11号からの生中継映像を受信中継する大役を担った、オーストラリアのパークスという田舎町。中継の始まるその瞬間まで、トラブルを解決しながら進みます。こう書くと手に汗握る話なんですけど、羊の数より人の方が少ない町に突然やってきた世紀の騒ぎに目を白黒させるじいちゃんばあちゃん、子どもたちの中ですから、微笑ましくてのんびりした雰囲気の映画です。奔走するサム・ニール以外はあんまり知ってる方が出ないんですけど、みんないい顔の役者さんが多くてほっこり。19

最好映画。 146 「ミラーズ・クロッシング」 1990年。

必ず奇跡のショットがある、コーエン兄弟映画。冒頭、森の中、タイトルショット。帽子が転がって行くだけ。タイトルが入るところまでワンカット。すごい映像です。フレームを外さず飛んでいく帽子は夢の一部なんですが、これが後で効いてきます。撮影はバリー・ソネンフェルド。「ブラッドシンプル」「赤ちゃん泥棒」初期コーエン兄弟作品には欠かせない人でしたが、「メン・イン・ブラック」で監督になって以降は撮影監督もやっていないようで残念。。重すぎず、軽すぎず、重厚な物語が淡々と進む、森のシーンが印象

最好映画。 145 「ゴッドファーザー」 1972年。

堂々たる映画というのは、この映画のことを指すと信じます。コルレオーネ家の三代記、第一弾。フランシス・フォード・コッポラのメジャー第二作。トップライトの室内照明は撮影のゴードン・ウィリス。冒頭の闇から現れる、鼻と額しかよくわからないヴィト・コルレオーネから、ピーター・クレメンザが銃の解説をするところ、シチリア島の惨劇、NYでの再会、印象的な画面ばかりでした。映画の幕開け、娘の結婚式が進む中で、裏社会のお話が紡がれる様子は本当に見事です。33歳でこれをものにしたコッポラ監督ってス

最好映画。 144 「ハードターゲット」 1993年。

ジョン・ウー翁のハリウッドデビュー作にして、すべてが詰まった映画。ジャン=クロード・ヴァン・ダムが乗りに乗っていた時期のアクションものなので、キレッキレです。人間狩りを行う輩は許さない!というだけのストーリーですが、悪役のランス・ヘンリクセンといい、ジャン=クロード・ヴァン・ダムのために全てがあるような映画で、むやみやたらと戦うw。鳩は飛びますし、弓矢の超アップもありますし、二丁拳銃はあるし、打てば必ず当たるし、火花が出ますよ。「男たちの挽歌」好きのために作られたとしか思えな

最好映画。 143 「ファーゴ」 1996年。

ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン脚本、監督作品。冒頭1カット目。道路の雪景色。1分以上。「この物語は真実である」(これユーモアなので、これを笑えないとコワイ映画です)。鳥が飛んでるなあ、と思ってるとはるかかなたから件のワゴン車のライトがほのかに見えて、近づき、カメラを通り過ぎます。鳥が車に巻き込まれないように飛び去るのですが、どうやって撮ったんだろう??雪の向こう側なので、合成ではないし・・。車ギリギリのタイミングで飛べるのかな??凄すぎです。フランシス・マクドーマンド

最好映画。 142 「デッドマン」 1996年。

ジム・ジャームッシュ脚本・監督、ロビー・ミュラー撮影、ニール・ヤング音楽、ジョニー・デップ出演。完成前から伝説のような布陣。ポスタービジュアルもハンパなし。冒頭の列車内に出てきた機関士のクリスピン・グローバー(ジョージ・マクフライ!)の不穏な言葉から、ラストの海辺まで、ダラーっとシビれる映像の嵐。ロビー・ミュラーの撮影がスゴくて、ポスタービジュアル並みのカットが、そこここにあります。同じモノクロでも「ダウン・バイ・ロー」とも違う、ヴィム・ヴェンダース映画とも違う、締まり方。速

最好映画。 141 「欲望の翼」 1990年。

ザビア・クガートのラテン音楽がたゆたうフィリピンの森と、暑くジメジメした香港の夏。「恋する惑星」にノックアウトされてひょいひょい観に行った映画でしたが、今では完全に「欲望の翼」の方が好きです。公開当時は香港トップスター競演の、という惹句が付いてるのにアクションじゃない映画の方が珍しくて、アフレコじゃない香港映画が日本で公開されているのもとても珍しい時期でした。ウォン・カーウァイの初期作品にして、最高峰ではないかと思います。ノーライトかと思うくらいのクリストファー・ドイルの撮影

最好映画。 140 「結婚の条件」 1988年。

1980年代の青春映画といえば、ジョン・ヒューズ。青春の終わりというか、自身の結婚と赤ちゃんが生まれるまでのてんやわんやを描いた、映画。「ブレックファストクラブ」「フェリスはある朝突然に」「大災難P.T.A」の直後で、ケビン・ベーコン、エリザベス・マクガバン主演でとてもワクワクして待っていたのですが、観た予告編が素晴らしすぎました笑。ペンギン・カフェ・オーケストラの「Music For A Found Harmonium」に乗せて、セリフもなくて、説明もほぼなくて、お話がすべ

最好映画。 139 「ウィズダム / 夢のかけら」 1986年。

Apple Musicで突然再発見したサントラ「ウィズダム」。ダニー・エルフマンが音楽で、木琴を主体とした優しい音楽のおかげで色々思い出しました。1986年制作、エミリオ・エステヴェス主演・脚本・監督作品。定職に就けない主人公がヤケを起こして恋人と銀行強盗。ローン証書を盗み出す彼らはなぜかヒーローに祭り上げられてまい・・という、あれ?それ聞いたぞ!?という筋書き。瑞々しい感じの青春映画はこのころとても多くて「ブレックファストクラブ」「ランブルフィッシュ」一連の映画を観た記憶が

最好映画。 138 「股旅」 1973年。

市川崑監督。1973年の映画なんですが、全くそんな感じをさせません。股旅の若者3人を暗く楽しくしつこく描く、青春映画。冒頭の仁義の切り方のくだりが、もう最高です。「おひかえなすって」を真面目にやるといかに面倒で長いかをきっちり描きます。一人目でも長いのに、省略せず二人目も。三人目、萩原健一の挨拶の段で、受け方の常田富士男さんが「以降の仁義、略させていただきとう存じます。どうでがんす?」爆笑です。尾藤イサオ・小椋一郎・萩原健一の3人がこれまた最高。早口すぎてよくわからないけど、

最好映画。 137 「荒鷲の要塞」 1968年。

戦争アクションが好きです。「戦略大作戦」「空軍大戦略」「特攻大作戦」「ワイルドアパッチ」「独立愚連隊」「大脱走」。「ナバロンの要塞」と「戦場にかける橋」と「遠すぎた橋」と「史上最大の作戦」は苦手笑。「荒鷲の要塞」はその大作感がとても好きです。リチャード・バートン演じるイギリス諜報員が捕虜になったアメリカ軍将校を助け出すためにドイツ語が堪能な特殊隊と共に敵地に赴きます。クリント・イーストウッドが、絶対ドイツ語喋れなそうなのに、寡黙で優秀なアメリカ軍兵士として加わってます。助演の