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最好映画

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最も好きな映画を書いてみます。
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記事一覧

最好映画。229 「シビル・ウォー アメリカ最後の日」 2024年。

新しいルックとはこうやって作るのか、と感嘆した映画でした。画がとにかく壮絶で、市街戦のリアルな映像と浅い被写界深度の幻想的なシーンが混ざり合い、最近流行りのフィルム調とは一線を画する仕上がりです。使用されているカメラは、DJI Ronin 4D-6K、Red Weapon Dragon、Sony A7S III、Sony CineAlta VeniceとIMDbによれば多種多様。黒が浮かない落ち着いたトーンで、彩度も抑えめなのに、どこか緊張感を感じる映像。これをどう使い分けて

最好映画。228 「アメリカン・ビューティー」1999年

初めて観たときの衝撃は忘れられません。タイトルからして「アメリカ」の話かと思いきや、描かれるのは泥くさい家族の話。演劇界からのサム・メンデス監督が、いきなりアカデミー賞の作品賞と監督賞を持っていった、奇跡みたいなデビュー作です。25年前の映画とは思えないくらい、今でも鮮やかな印象を残してくれます。サム・メンデスといえば007シリーズの監督としても有名ですが、私は初期の「アメリカン・ビューティー」「ロード・トゥ・パーディション」「ジャーヘッド」が特に好きです。白い家と青い空、赤

最好映画。004 「恋しくて」1987年 再掲

ジョン・ヒューズの青春映画をリアルタイムで観ていた世代なんです(*゚∀゚*)「ブレックファストクラブ」「フェリスはある朝突然に」とか5本の映画が1986年から1988年に公開されました。アメリカの高校生ってこんなにきらびやかで自由なんだってことを体験できる貴重な時間だったんです。車に乗れる、桁の違う生活。ものすごい金持ちもいれば貧乏でバイトに明け暮れてるけど、金持ちをやっつける力を持っている子がいるとか、ジョン・ヒューズが監督した映画はオシャレでカッコ良い人物たちがいっぱい出

最好映画。227 「我が人生最悪の時」1994年。

製作 映像探偵社・フォーライフレコードによる、私立探偵 濱マイクシリーズの記念すべき第一弾。横浜 黄金町の日劇の2階にオフィスを構える、狂犬だけど人情に厚い、濱マイクの活躍する映画です。就職してすぐの頃、まだまだインディーズが目立っていた時代の、最好映画。スペックがもう良さを奏でてます。モノクロ・シネマスコープ・横浜日劇・林海象・永瀬正敏と並べられたら、絶対観に行くし!!ってなっていた頃です。テレビシリーズの方がお好きな方多いシリーズですが、ワタシは断然映画派です。第一弾の「

最好映画。226 「伝説巨神イデオン 接触篇/発動篇」1982年。

ガンプラが流行りまくった年です。あの!富野喜幸監督が、ガンダムに続く映画を公開する!と言う惹句に惹かれて観に行きました。テレビシリーズは前々年で、見てなかったんです。ガンダムがもう一度味わえるならと楽しみに出かけて行って、茫然自失のまま劇場を後にしました。小学生にはキョーレツでした・・影響というか、読後感が凄すぎて、富野喜幸という名前をこれ以上ないくらい覚えました。ロボットがすごいとか、キャラクターが愛らしいとか、物語よりも見た目を奪われがちでしたが、この読後感を産んだ人が監

最好映画。225 「アビス」1989年。

ゲイル・アン・ハードとジェームズ・キャメロン、最強のコンビの第3作。深海を舞台にしたスリラーかと思いきや、未知との遭遇を果たす、不思議な映画です。なにせ140分のうち、120分までは海中アドベンチャー映画なんです。減圧に8時間もかかるような深海で活動するチームに、沈没した原子力潜水艦救出の指令が下ります。乗り込んできたSEALと軍の思惑に振り回され、深海基地で追い込まれてしまうクルーとSEALが諍いの上に見たものは・・SF映画になっちゃう前まで、本当にすごい。発電所の設備に水

最好映画。224 「カムイの剣」1985年。

角川映画には、強烈な個性を放つアニメ映画がありました。「幻魔大戦」「少年ケニヤ」に続く第三弾「カムイの剣」。大好きな映画です。2時間12分、真田広之の主演、宇崎竜童の音楽、幕末の蝦夷を舞台にした大冒険活劇。幕末に暗躍した隠密が、キャプテンキッドの財宝を付け狙う幕府と新政府の戦いに発展する・・。えらく壮大なお話です。主人公が天海僧正の罠にハマる冒頭、クセのあるキャラクターが駆け回り、忍者の走りに合わせた鳴り響くケチャがキョーレツでした。和のテイスト満載のアニメなのに、太鼓とギタ

最好映画。223 「戦国野郎」1963年。

「戦国野郎」は「独立愚連隊西へ」の戦国時代版だと思ってます。 少尉とお坊さんと曹長がまた会話してる!ってだけでも楽しい(⌒▽⌒)。加山雄三=越智吉丹が武田忍軍の抜け忍。中谷一郎=銅子播磨が越智吉丹を追手なのについてくる不思議な輩。佐藤允=木下藤吉郎(!)。この3人の丁々発止が延々続く冒頭は可笑しくてしょうがない。 「木下藤吉郎、貴公、知らんのか?」 「しるかそんなもん」 「そんなもん!本人が聞いたらさぞがっかりするだろうなあ・・」 「越智吉丹、腕は立つが世間を知らぬ。ヤツ

最好映画。222 「その男、凶暴につき」 1989年。

Twitterで港南大橋を歩いてくる吾妻のワンショットを見かけて、34年前に観たこの映画の衝撃を思い出しました。通る船に向かって空き缶を投げるイタズラ小学生が走っていった先、小学生を怒るでもなく、機嫌が悪いんだかなんだかよくわからない表情でただひたすらに歩くシーン。ホントに衝撃的。当時の刑事物といえば、カッコよく登場して銃を取り出す仕草が流行っていた時期です。絶対何かやると思ってたのに、ビートたけしがただ歩いてくるのを1分近く観るという、意味があるのか、怖いのか、呆気ないのか

最好映画。221 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」2015年。

2015年。コミコンで発表された折りにも、あの写真が本当に撮影されたものか、どうせ合成バリバリの今のマッドマックスでしょ、くらいにしか思ってなかったんです。劇場に見に行ってぶっ飛ばされました。開巻して2分、インターセプターが横転する絵を見るまでは。なんてこった!ほんとにやってるよ!この人たち!!って爆上がりです(⌒▽⌒)あれを合成でできるわけがない。今の目で見ても狂ってるとしか思えない絵の連続です。「マッドマックス2」が「北斗の拳」のビジュアル的祖先という事実を幾度となく話し

最好映画。220 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」2022年。

観終わって、はて、とても楽しかったけど、これはいつまでも覚えている名画なんだろうか?って思ってたら、一緒に観ていた奥さんが「これはあれだね、贅沢なアトラクションだね!」って言い出して、ああなるほど!と膝を打ちました。3時間12分、全く暇な瞬間がないという濃密な映像。映像の隅から隅まで情報の嵐。目が忙しいな~と思うと、海中の美しい風景でホッとして、再び闘いに巻き込まれる頃には、映画の中を体験しているようです。全てが初めて観る世界の様子を見ているだけでも楽しいのに、さらにそれを4

最好映画。219 「ラストエンペラー」1987年。

1988年のアカデミー賞で作品賞・監督賞・撮影賞、脚色賞、編集賞、録音賞、衣裳デザイン賞、美術賞、作曲賞を受賞した、摩訶不思議な映画。清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の半生を描いた英語映画です。163分。長いんですが、飽きることはありません。歴史に翻弄された溥儀の人生をたっぷり魅せます。公開された当時は、中国の歴史を英語でなんて!とか高校生っぽい見方をしていたので、その凄さをイマイチ理解できていなかったんです。絢爛ではあったけど、嘘じゃんていう反発があったんだと思います。昨年たま

最好映画。218 「SHEROCK:ピンク色の研究」2010年。

2010年に放送された新生BBC「SHEROCK/シャーロック」の第一話。サー・アーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」の記念すべき第一作長編「緋色の研究」をドラマ化してます。「シャーロック・ホームズの冒険」をちゃんと読んだのは中学校くらいで、阿部知二訳の創元推理文庫の細かいいい文字を読み漁ってました。1984年に放送されていたグラナダテレビ版ジェレミー・ブレットの「シャーロックホームズの冒険」が大好きで、全41話、映像化はこれにとどめを指すと勝手に思い込んでいた

最好映画。217 「シコふんじゃった。」1992年。

周防正行監督の「ファンシイダンス」が大好き。続く「シコふんじゃった。」はもちろん観に行ったんですがもう30年も前の作品。ディズニープラスに現れたので、最後まで見てしまいました。いろんなギャップを相撲が埋めてゆく不思議な映画です。弱気だったり、自慢だったり、宗教感とか、男女差とか、今見るとスレスレの表現もあるんでしょうけど、大いに笑わせてもらいました。部員が1人しかいない弱小相撲部の再生。8年生の竹中直人さんが本当に可笑しい(⌒▽⌒)「まわし」をふんどしって呼ばないこととか、「