親しき仲にも礼儀あり?~SATCからの学び~
社内恋愛の末の結婚の私。”5m恋愛”なんぞと呼ばれている。
恋愛の形は様々で、結婚の形も様々。形に囚われたり、枠にハマることが苦手な私が、あっさりと結婚をした。途中、色んな迷いや不安があったけど、結婚式の日取りは待ったなし!今でこそ少なくなったであろう仲人さんを部長にお願いし、結納まで来ると”もう、後には引けない”という目に見えない縛りが不安や迷いを私の身体から剥ぎ取っていった。
マリッジブルー・・・そんなような、そうでないような。好きな人と結婚をすることは幸せなことで、家庭を持つことは心の安定にも繋がる・・・本当にそうなのだろうか? 私にとって、違う環境で暮らしてきた者同士が同じ屋根の下でこれから生活を共にしていくことが漠然と不安でたまらなかった。
「新郎新婦は星の数ほどいる男女の中で、お互い選び選ばれ今日の日を迎えました・・・」部長のスピーチが静まった会場内に響く中、私は高砂で酩酊状態だった。新郎新婦の足元にはバケツが用意されている。どうやらお酌されたお酒を隠れてバケツに捨てるらしい。私のバケツはきれいなまま。
せっかくお酌してくださったお酒をバケツに葬るなんて!勿体ない!と有難く頂いた。
お酒は強いほうだと自負してるけど、疲労と睡眠不足が酩酊街道に私をお導きになった。
新婦は結婚が決まってからが忙しいのだ。衣装選び、列席者のリストアップ、席順、引き出物、テーブルの花選び、山野愛子美容室で顔や背中の産毛そり(笑)・・・やることありすぎ!が一層、私から不安や迷いを毛根脱毛していった。”暇だから余計なことを考えるのよ!”母がよく言っていた言葉の意味が理解できる。
結婚をゴールと呼ぶことに違和感を感じていたけど・・・
日取りが決まって、その日を迎える時までにありとあらゆるタスクが待ち構えている。正直、面倒だ。日取りを決めたとたん、新郎と新婦はマラソンランナーと化す。途中、給水所といえば二人だけのデートかもしれない。このデートさえも結婚が確定してからは趣が変わり、招待客の確認や余興は誰に頼むか?どっちの側の友達に頼むか?の確認の場になる。
以前のようなスイーティーな場ではなく、ファミレスで飲むドリンクバーが最高にスイーティーなお互いの給水所になる。
順調に進んできたマラソンランナーの二人にも、
「なんで!いっつも私ばかりが決めなきゃならないのよ!」
「俺は!仕事で忙しいんだ!それくらいで文句言うなよ!」
等々の理由で、途中コースアウトすることも大いにあり。コースアウトで済めば良いが、完全リタイヤするケースもあるのだから大会へのエントリーは慎重に。
危うい時期も潜り抜け、ここまで来ると平坦なマラソンコースではなく障害物競争。途中アンパンの甘い誘惑(男友達からの誘い)、粉だらけの大福探し(白無垢時の白塗りの化粧、明治座か?)、最終コーナーの両家のしきたりという名のハードルを越えて結婚式でゴールテープを切る。
結婚がゴールなんかじゃないくて、結婚式がゴールなのかもしれないと改めて思う。今と昔では結婚の形は違うとは思うけど、未来を共に創っていくことに変わりはないのだろう。
と・・・実はここからが本題の ”親しき中にも礼儀あり”
結婚式も終わり、さてさて新婚旅行とやら。彼から新郎へと変わり、夫となった彼は特段見違えるような変貌もなく、フツーの人。かく言う私も、花嫁感は二次会の席にそっと置いてきたフツーの人。
これから二人きりで過ごす9日間!海外の風がふたりの愛情を盛り上げ、異文化がふたりに新鮮な驚きを運び、長い時間ゆっくりとふたりで過ごせる甘い9日間・・・あっけなく二日目の朝に闇に葬られた。
長時間のフライトを経て、L.Aに来た。着いたその日は、二人とも疲労困憊で外に出ることなく、ホテルで夕飯を済ませた・・・が、この夕飯が驚くほど彼の口に合わなかったようで、夕食後重い脚を引きずりながら近くのコンビニに行き、なんと!彼はお店のホットドッグを10本近く大人買い。
「ね?そんなに食べられるの?そんなにお腹空いてるの?」
「今から食べる分と明日の朝食」
新婚旅行というものは、優雅なディナーとホテルのブレックファーストはセットで付いてくるもんだと思い込んでいた私の固定観念は見事に砕け散った。この時にセットでポテトもいかがですか?と彼に声をかけてくれる人がいれば私はまだ少しだけ救われたかもしれない。
明日の朝8時にホテルのロビー集合でディズニーランドツアー!
というわけで、甘い新婚さんいらっしゃいのYES・NO枕も全く必要ない早めの就寝。
♪新しい朝が来た 希望の朝だ♪ 夏休み朝のラジオ体操時に流れていた曲が
なんとなく頭の中をめぐった。
ディナーも期待せず、スクランブルエッグとカリカリのベーコンうwith オレンジジュースの朝食に別れを告げたけど、せめて朝の目覚めだけは演出したいとダーリンをかわいく起こすことに挑戦してみた。
「お♡き♡て」と寝相の悪い彼のお尻をツンツンとしてみた。その瞬間!
「旦那様に向かって、なんだ⁉その起こし方は!!!」
言葉がでない・・・しばらく、言われたことの意味を考えていた。
私がそんなに酷いことをしたのだろうか?
それとも普段温厚な彼の起爆ボタンはケツにあったのだろうか?
そうであれば、結婚前に取説を用意してほしいもんだ。
こんなシチュエーションのまま、夢の国ディズニーランドなんかには行けない・・・新婚邦人妻・シンデレラ城に籠城!と新聞一面トップだ。
あれこれと今まであった・・・結婚前にも。
マリッジブルーはアフター・マリッジブルーとなり、この一件でなんとなく
先が見えてきたような気がしてならなかった。涙がどんどん溢れてくる。
彼に拒絶された失望感、男性優位の発言・・・一番は、自分の気持ちを無視し続けた結果あっての自分への失望だったのかも。
「私、帰る」
そう言って、自分の荷物だけをスーツケースに詰め込んだ。これでいいんだ、帰ったら笑顔で「やっぱ無理だった」って言わなきゃ・・・いろんなことを考えていた。腹が据わったら女性は強いのだろう。
「ごめん・・・ごめんなさい。でも、あの起こし方はやめてほしい」
私はひとしきり、ふたしきり泣き、5重ほどに腫れあがった目で夢の国へと
彼と旅立った。ホーンデットマンションのキャストとしてスカウトされなかったことが不幸中の幸いだ。
親しき仲にも礼儀あり?
違った環境で育ってきた二人が結婚したとたん魔法のように諍いもない
平和な家庭を築けることは稀なことだろう。
離婚を経験した友人が言っていたひとことを思い出す。
”お付き合いをする時に私たちはどうしても彼ばかりを見る。
大切なのは彼が置かれてきた環境を知ること。生い立ちや彼のご両親の
考えがインプットされてるから。品定めをすることじゃなくて、バックグラウンドもね・・・まぁ、私はそれができていなかったんだと学んだわ。”
彼女の話を聞いて ”三つ子の魂百まで” が浮かんだ。
幼いころに形成された性格は年齢を重ねても変わらない・・・
親になった今、ふと思うことがある。うちの双子は大丈夫だろうか?
ケチなのは私の育て方がいけなかったのか?毛深いのは遺伝なのだろうか?
いろんな疑問が出てくるが、もう三歳はとっくの昔に過ぎてしまっているので、目を瞑ろう。
新婚旅行「お尻ツンツン事件」も夫婦という名の礼儀を超えてしまったケースかもしれない。彼が結婚と同時に「旦那様」になっていたとは思いもせず、私は町娘役だったのだろう。
得体のしれない者同士が選び選ばれ、一緒になる。バックグラウンドも三つ子の魂百までも大切だけど、その時その時起こった問題から学びを得るための結婚だとしたら、相手は貴重な有難い存在になるのだろう・・・
次回、私たちは皆、変態なのだろうか?をお届け致します。
必要な方に届きますように・・・愛と感謝をこめて♡
ノリーブラッドショー
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