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日本の「哲学」を読み解く (田中 久文)

 明治以降、輸入ものの西洋思想が主流でしたが、1930年代、日本でも初めて独自の哲学が生み出されてきたと言います。
 そういった日本哲学の概要だけでもかじれるかと思い、手にした本です。

 本書は、日本哲学を代表する西田幾多郎・和辻哲郎九鬼周造・三木清という4氏の思想を分かりやすく解説した入門書ですが、やはり、私には荷が重過ぎました。
 哲学の素養のある人から見ると、それなりにポイントをおさえた概要書と見えるのだとは思いますが、私のような素人には、その要領のよさが故に、逆に基本を押さえた理解にまで至らなかったようです。

 たとえば、西田幾多郎氏の「絶対無」に関しての記述です。

(p62より引用) 「絶対無」とは、まずもっては「個物」も「一般者」もともに絶対的に否定する力である。しかし、同時に「絶対無」は否定を通してそれらを真に肯定し活かす力でもあるという。「個物」も「一般者」も「絶対無」に否定されることによって他と関係し、「絶対無」に肯定されることによってその独自性を発揮する。そうした「絶対無」の、同一でありながら矛盾した働きが「絶対矛盾的自己同一」の究極的な意味なのである。

 ???、正直、全く理解できませんでした。
 哲学の単語は、辞書的意味以上の「その哲学者の思考の文脈の中で定義」されます。その思想の理解なしに単語だけ追っても全く意味がないという典型例でしょう。

 ところどころに概念を説明した略図があり、それを見ると「言わんとするのはこういうことか・・・」とちょっと掴みかけたかなと思うこともありますが、

(p146より引用) 「偶然を成立せしめる二元的相対性は到るところに間主体性を開示することによって根源的社会性を構成する。間主体的社会性に於ける汝を実存する我の具体的同一性へ同化し内面化するところに、理論に於ける判断の意味もあったように、実践に於ける行為の意味も存するのでなければならない。」

といった風な説明が続いても、情けないことに私の理解力のなさを確認するだけです。

 何度挑戦しても哲学系の本は難敵です・・・。


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