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#新垣隆
TheBazaarExpress116、『ペテン師と天才、佐村河内事件の全貌』7章、貧しくても好きな道を歩む幸せ~N極・早熟な才能
・驚愕のフルオーケストラ・スコア
―――この子の才能はどうなっているんだ。小学校6年生でオーケストラのフルスコアを書いてくるとは。しかも独学で20分もの曲だ。尋常じゃないな。
1982年のとある日、東京目黒にあるヤマハ音楽振興会目黒センターで指導教官をしていた作曲家の南聡は、千葉県船橋市の教室から送られてきたある子どものスコアを見て信じられない思いだった。
この頃南は東京芸大の作曲家コースの
TheBazaarExpress113、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』、第二部、二つの三角形、転機、メディアの饗宴、5章、出会い、96年8月
・自分をアピールする男
その年は、例年に比べれば比較的凌ぎやすい夏だった。猛暑の日は少なかったがその代わり雨が少なく、秋の作物の収穫には不安が残った。
プロ野球界では、松井秀喜はまだジャイアンツでプレーしていた。夏場になって4番の落合博満の打撃に陰りが見え始め、ライオンズの清原和博のFAトレードの噂が出始めていた。
パリーグではオリックスのイチローが健在だった。右袖には前年に起きた「阪神淡路
TheBazaarExpress110、『ペテン師と天才~佐村河内事件の全貌』、第一部第一章・奇妙な出会い、二重人格、衝撃の告白
1章、 バランスの悪い会話
・日曜日の居酒屋
その日、私の目の前で展開されていたのは、とても奇妙でバランスの悪い、不可思議な光景だった。
「まず生ビールにしましょうか。4杯ね。子どもたちは何にするの?」
「オレンジジュース」「私はグレープフルーツジュース」
千葉県船橋市と習志野市に挟まれた、JR津田沼駅に隣接したビル内の大衆居酒屋。その個室には、二人の少女を含む4人家族と私、そしても
TheBazaarExpress84、ノンフィクション私論
ノンフィクション作品とは、あるいはその書き手とは、一つの運動体であるべきだと私は思っている。
物語を紡ぎながら、現実に生きる主人公たちと深くかかわり、新たなアクションを起こしながら新しい物語を再生産していく。その連鎖の中で、物語はいやまた豊穣さを増していく。
今回の佐村河内事件の一連の報道でいえば、取材の中で出会った新垣隆氏とのかかわりがそれにあたる。
彼は最も重要な証言者であると同時に、そ