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問い続ければ人生まんざらでもない|29冊目『問いこそが答えだ!』
ハル・グレガーセン(2020, 光文社)
ドラッカーを読みはじめた頃のこと
昔、勤務していた小さな会社で組織改革をしようと思って、社長に掛けあって経営企画室をつくってもらい、自主的に経営企画室長になりました。
当時、カーネギーの『人を動かす』やスティーブン・コヴィーの『7つの習慣』とかキャプランとノートンの『戦略バランスト・スコアカード』とかを読みまくっていました。
ドラッカーをはじめて読んだのもこの頃で、『マネジメント』や『非営利組織の経営』にたどり着く前に、ドラッカーの名言集とも言える『プロフェッショナルの原点』という本を読みました。
ドラッカーの著書たちから、代表的な教えを抜き出したものなのですが、これが当時の私には刺さりまくったのです。
人は聞きたいことを聞き、読みたいことを読むものです。
会社の制度も文化もコンプライアンスもダメダメで、そのため売上が減少しつつあることを危惧して、改革して良い会社にしようと奮い立っていたので、自分が思っている「ダメな組織とは」「良い組織とは」をドラッカーが代弁してくれているように感じて、「やっぱりそうだ」「ほら、ドラッカーも言ってる!」と心の中で叫びながら付箋を貼りまくりました。
答えを持ったらそこで終わり
「答えを持ったらそこで終わり、問いを持ったらそこがはじまり」
という印象的なCMがあります。
学校では、正解を覚える詰め込み型の教育が長いこと行われてきましたが、最近は『探究』として、生徒たちが自ら問いを見つける学びが行われています。
私も「答え」ではなく、「問い」がとても重要であると思いながら、勤務する組織を含めた多くの組織で「決められた答え」をなぞることが推奨されていて、それは固定観念の中で作られた予定調和というか、柔軟性のない「答えらしきもの」であると感じています。
そして、
組織が成長し、市場での支配力を高めるにつれ、権力を追求するタイプを引きつけるようになり、やがて経営の上層部がそのような人物で占められる。いっぽう一般社員は、そのような上司のもとで働くことを厭わない者、つまり問わずにはいられない成長マインドを欠いた人間ばかりになった。その結果、かつて世界を変えた革新的企業は、胸の躍る新しい問いを生み出し、追い求める力を失ってしまった
「リーダーにとって致命的なのは、自分よりも年上の部下からの人望がないせいで、業績を高められないことです。なぜ人望がないかといえば、命令しかしないからです。そういうリーダーはああしろこうしろというだけで、質問をしません」
といったところに、つい付箋を貼ってしまいます。
気がつけば、やっぱり本は付箋だらけで、そこには、「自分はちゃんとわかっているけど経営層は何もわかっていない」という組織に対する抗議の心が潜んでいるような気がします。
問いを持つべきなのは誰?
いい問いはなんらかの成果につながっていることを社員に示すことだ。いい問いを発してもそれによって何も変わらなければ、その問いを発した社員の創造性は結局、尊重されなかったということになる。
様々な事例を学び、時代の流れを見てきて、「問い」が重要であるということはまったくその通りだと思います。
しかし、組織に対して影響力が小さい一構成員が「問うこと」を実践することにどんな意味があるのかと同時に考えてしまいます。
本当に「問う」べきなのは組織のトップや経営層であって、個人が問い続けたからといって、組織にとって何の意味ももたらさないのではと悲観するからです。
でも、きっとそれは違います。
意味をもたらさないというのは自分へのいいわけに過ぎないでしょう。
そもそも「問うことは意味がない」というのは「答え」であって「問い」ではありません。
だから、自分の「問い」によって組織にプラスの影響を与えるにはどうしたら良いか?と考えるべきです。
固定マインドセットとの戦い
誰かの「問い」に対して「答え」だけを考えているわけではないとしても、例えば自分で「問い」を立てることをしながらも、同時に無意識に「答え」を考えてしまっている場合が多くあります。
いつまでも青春で、いつまでも人生は続くと思っていたのに、いつの間にか私もあと何年かで還暦になります。
「私は、まだこの組織で役に立つことがあるのか?」
「次のステージで輝くために、今、私は何をすべきなのか?」
という「問い」に対して、短絡的で否定的な「答え」が常に頭の中にあります。
「自分はもはや組織に不要な存在である」
「自分を必要としてくれる組織は別のところにある」
「思い通りの組織で働くには自分が組織をつくるしかない」
「自分を助けてくれるのは組織ではなくて自分自身だ」
「問い」をつくるには、ときには快適な場所から外へ出ることが必要だといいます。
「不快な場」に自分の身を置くことにより、「驚くことができる」「ほかのことに注意をむけられる」「まちがうことができる」というメリットが生まれ、問いの質が高められるのだそうです。
しかし、不快な場で生じる問いは「固定マインドセット」サイドに陥りがちだとも思います。
そしてそれを「成長マインドセット」サイドに留めておくのはおそらくは自分次第であり、しかし、なかなかに困難なことだなあと思っています。
「本当にそれで良いのか?」
「他に良い方法はないか?」
と常に問い、努めて否定的にならないように、固定観念にとらわれないようにしようと思います。
私は悩んだり迷ったりしたら、とにかくアクションを起こすことにしています。
それは「答え」を定めることではなくて、「問い」を検証するためです。
今年もいろいろと忙しいです。
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参考書籍
デール・カーネギー , 1999『人を動かす』創元社
スティーブン・R・コヴィー , 1996『7つの習慣』キングベアー出版
ロバート・キャプラン&デビット・ノートン ,
2001『戦略バランスト・スコアカード』東洋経済新報社
ピーター・ドラッカー ,
2001『マネジメント』ダイヤモンド社、
2007『非営利組織の経営』ダイヤモンド社、
2000『プロフェッショナルの原点』ダイヤモンド社
最後までおつきあいいただきありがとうございました。
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