ゴルフを阻止せよ
▶︎スポーツよりもビジネス、運動神経よりも政治能力や接待が求められるもの。思いつくものと言ったら、「ゴルフ」以外の何者でもないだろう。新入社員なら一回は言われるであろう「ゴルフやってないの?」という上司からの問いは、経験する人が多いのではないだろうか。
▶︎「ゴルフはなんとしても阻止しなければならない」今年新入社員になった、友人の話である。コロナという悪き病が納まりつつあった、6月中旬だった。彼の入社祝いに、2人で昼から酒を飲んでいた時だ。「上司に誘われるゴルフは避けられぬぞ」私は苦しげに、社会人なら誰もが誘われたことがあるだろうゴルフの話をした。だいぶ酔っ払った友人はいきなり噛み付いてきた。
「ゴルフはなんとしても阻止する。そもそもなぜやりたくもないことをやらきゃならんのだ」
「上司に誘われるのだから、仕方がないだろう」
実際誘われたら断りにくいものだ。道具を持ってないといえば、買わされる始末である。しかし友人はさらに、捲し立ててきた。
「そもそもなぜ土日に上司のツラを見なきゃならん。上司の方もおれの顔なんぞ、見たくないだろう」
「君の顔なんぞ、誰も見たがらん。上司は話し相手が欲しいんだ」
「否!否!やりたくもないのに、そんなことで土日を無駄に使うなんてごめん被る」
ついには友人のゴルフ嫌悪が怒りに変わり、その場にあった日本酒をかたっぱしから飲み荒らす有様だった。
▶︎友人の言っていることは案外一般的なことである。そもそも休日はその名の通り、「休む日」である。そんな日にわざわざ上司と顔を合わせ、場合によっては客先の人ともコースを回る。たしかにそれが「楽しい」と思う人もいるだろう。しかし、私や友人のような「興味のない人」にとっては、やりたくもないのに芝生で鉄の棒を振りまわして、貴重な休みを空費しているだけである。要するに苦痛でしかない。
▶︎ゴルフというスポーツ自体は高貴で、非常にエキサイティングな競技だと思う。しかし古い文化としての、「ゴルフをやらせる」というのはいささか気が引く。興味のある人もいればない人もいる。それぞれの「休む日」がある。いろんな趣味の人がいる。その根底を忘れて、無理に誘い、人の休日を破壊する行為は、避けるべきではないだろうか。
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