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汽笛

ポーッ
この音で思い出す
取り戻せない出来事

田舎へ帰る
父さんを見送る時も
空高く聞いていた

だが
やるせない木霊は
生きられない悲鳴にも聞こえる

汽笛は万感の思いを乗せて
霊に響き渡る
気高く

ポーッ
この音で悲しむ
過ぎ去った日々の心

ポーッ
泣いている

単純な音だが
この音は持っている
忘れ去られた何かを


 手元にデータが無く思い違いがあるかもしれませんが、オリジナルは中学生の頃(1968年?)の旧作です。
 元ネタは確か1966年(昭和41年)祖父の葬儀のために故郷の九州へ向かう父の姿(当時40歳代)です。
 見送った私はまだ小学生でした。
 一度も会わないうちに亡くなってしまった祖父、小学生からしたら遠く見たこともない土地、ルーツ。
 当時は夜行列車で一日がかりが一般的で関東から九州はまだまだ遠かったのです。
 切なさとほんの少しの憧れのような気持ちが入り混じっていたことを覚えています。
 その父も亡くなって15年目となります。
 久しぶりに我が家に戻りゆったりしていることでしょう。
                      2020年8月15日

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