もういつもいつも泣いているわけではありません
探しものをしていて
母がいつも手元に置いていた
手帳や本の入った籠の中を覗いてみました
その中には「吉野弘 詩集」という文庫本がありました
いつ買い求めたものかはわかりません
多分わたしが買って母の元に届けた本だと思います
ずっとずっと籠の中に入っていたはずなのに
わたしは手に取って読んだことはありません
今日初めて手に取って
その詩を声に出して
読んでみました
なんとなくあたたかく
母の心に触れたように思いました
母がどんな人間で
どんな思いで生きていたか
少しだけ、少しだけ
わかりました
やさしさのあふれた持ち主だと感じました
「夕焼け」
やさしい心の持ち主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故って
やさしい心の持ち主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまで行けるのだろう。
下唇を噛んで
つらい気持で
美しい夕焼けも見ないで。(抜粋)
一番最初のページに載っていた
「夕焼け」という詩を読んだ時
母の心を掴んだ気持ちになれました
声に出して詩を読むと涙があふれてきましたが
わたしの宝物がまた一つ増えました
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