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お茶会デビュー
お師匠さんに誘われて、初めて行ったお茶会は都内の梅園で行われた
青い空にゆったりと薄い雲が流れている
まだまだ慣れないことばかりだが、とてもうれしいし楽しかった
このお茶会のためだけではないけれどお師匠さんの故郷からも参加される方もいる
皆さん綺麗に着物を着ていらっしゃる
私は初心者なので白いシャツに黒のジャンパースカート、白い靴下も忘れない
着物はもう何十年前に結婚した時に祖母の作ってくれた振袖を着たのが最初で最後
「かなちゃん、次は着物を着ましょう」
お師匠さんに言われるも内心はビクビクしてる
なるようになれるのか
皆さん、お師匠さんが大好きで、誰もが寄ってきて話し掛ける
いつでもどこでも人気者
お茶会のご亭主さんとも長年のお付き合いで、話しが弾んでいる
私はお師匠さんにくっついて薄茶、点心、濃茶とまわる
お点前をしているのはみなさん二十歳前後の若い子たち、幼い頃からお茶をされているのか…着物を着て、キリッとされているが緊張は隠せない
やはりお茶は男性のもの、薄茶では正客は男の方
お師匠さんは持ち上げ上手
ご亭主とのお道具談議で盛り上がる
「この茶碗は…どこそこの窯のもの」と説明をされて、みんな耳をダンボにして聞いている
お茶を習うと掛け軸や焼き物、お花に造形が深まるようだ
この歳になっても知識が増えて行くのはうれしいことワクワクする、知らないことにも理解が深まってゆく
お花の生け方も野の花をこじんまりと可愛らしく活けている
お昼のお弁当も盛り沢山でとても美味しいが、この後には濃茶が待っている
濃茶の席は身を屈めて、小さな戸口から入ると、そこには不思議な別世界が待っていた
薄茶の席では何が何やら分からぬうちにおまんじゅうを食べて、お茶を飲む
私の中ではあわだだしく
時が流れてゆく
けれど濃茶の席ではちょっと気持ちもゆっくりとしてくる
床に掛かる掛け軸と六郷の野の花と螺鈿の小物入れが飾られて
それらをまじまじと眺める余裕も出来て来たのである
柿の形の上生菓子を楊枝で割って口に運ぶ
この楊枝も母の置きみあげ
不思議なことに意識しないで持って来た荷物をまとめる風呂敷も母のもの
母は私について来る
お師匠さんの周りにはお弟子さん達が集まってきて、みんながお師匠さんにかまって欲しがっている
この方は人たらし
ご多分もれず
私もその中のひとり
楽しかったお茶会デビュー
来年もまたここに来たいと思う私がいる
お師匠さんには「(私の立ち振る舞いは)もうお茶を習っている人になっていた」とうれしい言葉を頂いた
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お師匠さんは人たらし
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