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くちなしの花

昨年の五月の下旬
母と花を買いにゆく
父と祖父母の月命日に

その時に小さなくちなしの鉢植えを買う
純白のつぼみを持ったくちなし

母が欲しいと言うから

小さな庭に植える場所があるかな

オリーブの側にスペースを見つけて植える
根付くといいが

昨年は鉢植えについていたつぼみが咲いていた

今年は咲くか分からない
数日見ないうちに
白いくちなしの花が咲いていた

何故だろう、今年はいっぱいつぼみを持っている

母がいないのに
母がいないのに
何で花はいっぱい咲くの
どうして咲くの

花の好きな母
手入れは上手く出来ないけれど
鉢植えをいっぱい買って来るけれど
植え替えもしないで
ダメになり捨ててしまう

ただ蘭の植え替えだけは上手

今は少しわたしの罪悪感は
後悔は少なくなったけれど

花がいっぱい咲くと母を思い出す
かなしくなる、つらくなる
母の笑顔が浮かんでくる

何で死んでしまったの

もう少しだけ生きて欲しかった
わたしが母の手を放したから
あの世に還って行ったの

それでも母の身体は限界だった
仕方ない
人間はいつか必ず死ぬ
そのことをわたしは理解できていなかった
母は死なない

そう思いこんでいた

馬鹿だよね
わたしって

誰もいない孤独を感じ
切なくて、さみしくて、涙が出る

母は早く父の待つ肉体のない世界へ還りたかったはずなのに

母も「お父さん、迎えに来て」と
こころの中でいつも呟いていたにちがいない

父とはこころがつながっていた
ずっとずっと見えないこころでつながっていた
いい夫婦だったね

うらやましいよ

くちなしの花言葉は「しあわせです」

そうか母は今しあわせなのか
父と一緒にしあわせなのか

来年もまた咲くといい
くちなしの花

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ノリかな
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