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【第66回岸田國士戯曲賞最終候補作を読む】その5

5作目は額田大志さんの『ぼんやりブルース』

候補者について

額田大志[ぬかた・まさし]
1992年生まれ。東京都出身。東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。ヌトミック主宰、劇作家、演出家、作曲家。初の最終候補。

 (写真撮影:コムラマイ / タカラマハヤ)

候補作について

昨年9月にヌトミックの公演として、豊岡演劇祭2021で初演された後、10月にこまばアゴラ劇場にて上演。戯曲は「悲劇喜劇」2021年11月号に掲載。

■時、場所
 
劇場 全8場(小文字のローマ数字で表記)

■登場人物
 1 友人・宮本くんからの手紙を読む
 2 友達と歩いていて猫を見かけた話をする
 3 地球は青いのか、裏側はブラジルなのかを疑う
 4 東京から数百キロ歩いた
 5 エレキギターを演奏
 6 ピアノを演奏
 

■物語
 世界で初めて録音されたブルースの歌はMamie Smithの”Crazy Blues”と言われている。朗らかなサウンドに乗せてブルース(≒憂鬱)が歌われる。詩の内容を検索すると、楽曲とのギャップに驚くだろう。一説によるとブルースには「日常」という意味もあるらしい。世界中が混乱している中で、確かな日常はどこにあるのか。「私たち」ではない私の言葉が、生活が、音楽がどこかにある。それを見つけるための上演。それが『ぼんやりブルース』です。【豊岡演劇祭2021公式サイトより】

総評

 実際の上演は未見。今まで読んできた候補作の中で一番楽しく、一番上演を観てみたいと思える戯曲だった。額田さんの演奏は先日、市原佐都子(Q)『妖精の問題デラックス』で聴いたばかりだが、この作品にもリズム感に溢れている。こまばアゴラ劇場の支援会員なのに本作を見逃したことが悔やまれる(もちろん気にはなっていたけどスケジュールの都合により…)。
 ただ、既製の曲(坂本慎太郎「いる」)が使われている点と「うる覚え」がマイナス。笑

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