GRと散歩がてらにサマソニ大阪。そして感じたことを。
短い夏休みがありお出かけをいくつかしたので、それを振り返って色々と書こうと思いつつ、何から書こうか迷ったので、とりあえず日曜にGRを持って散歩がてらに夕方から雰囲気だけ楽しみに行ったサマソニのことを。
サマソニに20年通い続けている大阪市民歴40年以上の私は、正規のルートである有料のサマソニシャトルバスに乗らずに現地へ向かえる知る人ぞ知る快適なルートで、離れ孤島の舞洲に夕方から入った。
今年はまだ感染症対策の観点から、入場は避けることにし、チケットは買わず雰囲気だけを楽しむことにした。
ちなみに、サマソニ大阪はリストバンドをしていなくても入れるゾーンや見られるステージがあったりするので、散歩がてら舞洲に来れば音楽に触れることは可能なんだけど、あんまり広まると規制されちゃう可能性があるからここだけの話で。
例のアレが見えてきたら、舞洲に来たなというテンションになる。
大阪にずっと住んではいるが、舞洲に来るのはサマソニに来る時しかないので、つまりは、アレが見えたらサマソニの始まり。
例のアレこと、オーストリアの芸術家のフンデルトヴァッサーが作ったゴミ処理場のお目見え。
ウィーンを旅した時に立ち寄ったフンデルトヴァッサーについてはこちら。
夕方にのんびり舞洲入りし、いよいよサマソニ。
マウンテンステージを通りかかったら、ちょうどKen Yokoyamaが、Hi-standardのセルフカバーの「Stay gold」の前奏を弾き、曲が始まったので、タイミングがバッチリで非常にラッキーだった。
ケンよりも本当は難波の声で聴きたいところ。
夏だなー、青春だったなぁとやはりハイスタを聞くとそう思う。
これだけ聴いて満足したので、先に進むことにした。
しかし、今年のサマソニは3年ぶりだが、人が少ないしお店も少ない。
トイレも並ばずに入れて快適である。
それがいいのか悪いのか。
コロナ前からサマソニ大阪は東京と比べてかなりステージを減らし、呼ぶアーティストもむちゃくちゃ減らしていて、東京よりもチケット代を安くはしているものの、盛り下がりつつあった。
所詮大阪は地方都市なんだなぁと思ったりして。
でも、動員数がここまで少ないと、今後大阪での開催すら危ぶまれるだろうなぁと複雑なところ。
とにかく開催できたことに感謝である。
さて。
話題のMåneskin(マネスキン)を聴きに行こうと思い、オーシャンステージへ向かう。
ステージが見える場所まで着いたら、外から見えるスクリーンでヴィクトリアがニップレスで胸を放り出してベースを弾きまくっているのが映し出されていた。
最高。
マネスキンについては、興味がある方は下のリンクを読んでほしいが、ジェンダーレスな社会を訴えるために、ヴィクトリアは胸を出すし、不本意だという表明も込めて、ニップレスで乳首を隠す。とにかく4人とも格好良くて、グラムロックの寵児デヴィッド・ボウイに憧れて生きてきた私としては、綺麗な格好をしてロックをする人たちが基本的に好きだし、2020年代の超新星だなぁと感じる。全メンバーのルックスが強すぎる。ボーカルなんてほぼゴッドファーザー。
4人ともまだ20代前半というのにこのセンス、いかにもイタリア的というかなんというか、末恐ろしい。
マネスキンは、映画「エルヴィス」の挿入歌に使われていたことで初めて存在を知ったバンドである。
よくよく考えると、UK贔屓ではあったが、イタリアのロックを聴くのって初めてである。
最近私が聴く音楽はというと、過去によく聴いていたものを掘り出したり、何かで見聞きした曲など、色んなアーティストを混ぜて自分なりのプレイリストを作って聴くようなそんな聴き方をしてばかりで、知らないアーティストをまっさらな状態でちゃんとアルバムで聴くということからすっかり離れてしまっている。
新鮮な気持ちで聴いたマネスキンが、歌はもちろん、社会的なメッセージを込めたスタンス、ルックス、衣装諸々が格好良かったので、ちらっとでも生音を聴けて良かった。
美しいベーシストのヴィクトリアのinstagramを見たら、過去にちょっと訳ありの男、イタリアーノのニコラスが既にヴィクトリアをフォローしていて、思わず笑った。
彼は世界中のセクシーな女(私も含む笑)のインスタばかりをフォローしているからさすがである。
ニコちゃんにマネスキンが日本のフェスに出たことを報告したら、びっくりしていた。
私も日本のアニメがイタリアで放送されているのを知って驚かされることがあるからそんな感じかも知れない。ニコちゃんはヴィクトリアをVicと呼んでいたから私もならってそう呼ぶことにした。(Vicかわいい)
それから、サマソニでしかライブを見たことがないと言うべきか、サマソニで数えきれないくらい見てきたと言うべきか悩ましいバンドTHE OFFSPRINGも来日してくれており、懐かしかった。
今や夏に舞洲でしか聴かないアーティストだが、大好きではある。
また、KING GNUもついでに聴いたら、ギターボーカルがまるでジョニーデップのようなルックスであることに驚き、ボーカルがむちゃくちゃ高く美しい声を出すことにも驚いた。
ギターが、ある曲のイントロで、red hot chili peppersの「SNOW」のギターリフを弾いたのが私的には胸熱なタイミングであった。
このステージは3年前にレッチリを聴いた場所でもある。
若いアーティストがちょろっと遊び心でレッチリを弾いたことはとても感慨深かった。
なぜなら、かつて私も好きなアーティストのライブに行って、聴きなれない昔のロックアーティストのメロディーを自分たちの曲にアレンジして取り入れて演奏してくれたりするのを聴いて、「今のあれは誰の何の曲?」とざわざわし、近くにいる音楽に詳しい年上の人に聞いたり後で調べたりして、あれはクラッシュの何とかっていう曲だよとかラモーンズだよとか教えてもらって、クラッシュやラモーンズのアルバムを聴いてみたり、そうやって自分の好きなアーティストのルーツを辿っていったりしたものである。
今は、人気のある若いアーティストのルーツとなるアーティストが、レッチリだったりニルヴァーナだったりするんだなあと思うと、新しい音楽に疎くなり、ルーツとなっている古い方の音楽の方が詳しくなっている自分に対して、私も年を取ったもんだと思いつつ。
いい音楽がまた別の新しい音楽へと続いていく繋がりみたいなものを感じて、一人で少し感慨深い気持ちになったのである。
サマソニのメインステージのトリはTHE1975だったが、お腹が空いたのでそそくさと去り、誰も並んでいない店でステーキ丼を買って、周囲にほとんど人がいないスペースでゆっくりとTahiti80を聴きながら食べることができた。
信じられない。
これがサマソニなの?どこも並ばずに済んでいて快適。
コロナ禍でのフェスに関して、色々と議論が降って湧いて炎上して消えていく。
生の音楽を聴く素晴らしさとは関係のない分野でたくさんの話題や賛否ある問題が広がっている。
人種差別やヘイト、ポリコレ、感染対策などなど。
簡単にいくつか挙げるとこんな感じ。
・ある海外のバンドが「出演アーティストの男女比が同等のフェスにしか出ない」と表明してその姿勢が評価されている。
・あるアーティストがステージで、「日本はG7で唯一同性婚が認められていない国」だと言ってその勇気が賞賛されている。
・ある日本のバンドが、片言の日本語を話す外国人アーティストをまねたMCをし、そういう振る舞いは侮辱であり日本の恥だと言われている。
・ある日本のバンドの男性がマネスキンのVicの真似をして乳首にテープを貼って「マネスキンです」という冗談を言い、どういうメッセージで彼女がそれをしているのか分かっておらずにそれをまねるのは日本の恥だと言われている。
・マネスキンのVicのニップレスを剥がそうとした客がおり、性暴力だと言われている。
・ある海外のバンドが猿の被り物をして出たことを、アジア人への侮辱だと言われている。
・ある日本のバンドが「俺が謝る」「責任をとる」と言って、観客の声出しを煽り、その行動がダサいと言われている。
・海外では普通にスマホで撮影をしているが、日本では禁止されているものの、自分のスマホで動画を撮る人が相当いたこともルール違反だと言われている。
などなど。
ここでは私は議論する気もないし、自分の意見を書くつもりはないけど、それなりに賛否で思うことはあるし、それぞれにカッコいいなと思ったりダサいなと思ったりしている。
一方で音楽の素晴らしさ以外が語られ過ぎるのは少し興冷めする。
ジェンダーの問題も、感染症対策の点でも、今は時代の過渡期ではあると思う。
日本はどうしても世界的に置いてきぼりで遅れている部分があるので、遅れをとっていることをこういう場所で指摘してどんどん社会がいい方向に変わればいいと思うし、そういったメッセージをアーティストが世界に発信することはリスペクトしている。
そして、海外のアーティストを通して、海外の音楽や生き方の格好良さに触れる機会になるのもフェスの良さだったりする。
私はシンプルに人として格好良い人間が好きだし、格好良い音楽が好きだし、これまで私が好きだったロックやパンクは社会的なメッセージを掲げて歌ってきた歴史もあるし、音楽はやはり生で聴きたいし、フジロックにせよサマソニにせよ、色んなアーティストが一同に出るフェスという様々な文化がMIXする場所はこれからも続いていってほしいと勝手に願っているし、いつまでも少しでもその文化に触れていたいと思う。
ただ、舞洲で撮った写真を貼り付けるだけのはずのnoteのつもりが、想定外にもまた4000字という長文になってしまった。
散歩がてらにちょっと感じたサマソニなのに、こんなに語りたい人間なので困ったものである。
(追記として、来年私は日本にいないから参加できないけど、再来年は以前のようにちゃんとチケットを買って、フェスに貢献して参加したい。そして一万字くらい書ける情熱を持っていたいものである。)