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波乱だらけの初DELEスペイン語検定試験【前編】

昨日は、初めてのスペイン語の試験の日だった。
私が受けたのは、DELEというスペイン語検定試験である。

昨年の世界多分一周旅の後半に、1ヶ月だけ、グアテマラで念願のスペイン語留学をした。

「私のスペイン語は、かつて、スペインの巡礼路で出会ったスペイン人の旅仲間たちが、毎日簡単な言い回しを教えてくれたことから始まったけれど、本当の意味で教えてくれたのはアウラ先生である。
だから、絶対に一生、どんな形でもスペイン語には触れていたい」

ここのnoteでも書いたとおり、スペイン語の勉強は続けたいと思っていた。
中南米の旅では全編スペイン語で生活をしていたから、ブラッシュアップしていけているような手応えがあった。しかし、旅を終えて、日本の生活に戻ると、一気にスペイン語の出番がなくなり、遠ざかっていく。せめてものスペイン語エッセンスを・・・と思って毎日ゲーム感覚でDuolingoで5分程度、ちびちび続けるだけの日々。

とはいえ、留学が終わった時点で私はDELEを受けようと決めていた。同じくアンティグアで留学していた日本人たちは、みなDELEの試験を受けるという方向性を持っていて、そんなんがあるのか、とその時は興味がなく聞き流していた。スペイン語圏の国で就職するためにはDELEのB1をパスしないといけないとか、各自そういう事情があるようで、試験のために日々スペイン語を勉強している様子だった。ただスペイン語を勉強したいという私の目的とは違うなあと感じていたから、DELEの話は右から左へ聞き流していた。
アウラ先生にも、「DELEならA2の範囲の内容を教え終わったから」等を時々口にしていて、なるほど、そうなのか位には思っていた。
アウラ先生に「次のDELEが11月にあるから、A2を受けてみたら?」と言われたが、旅の最中に試験を受けると旅を純粋に楽しめなくなると思い、旅を終えてから、DELEの試験を受けてみよう、と思ったのである。
日本に帰ってくると、どんなにやる気があっても、独学でスペイン語を勉強し続けるのは難しい。何かきっかけがないと・・・。今思えばDELEの試験合格を目指していた彼らも、スペイン語を話せるようになりたいという目的の通過点として、DELEを挟んでいるわけだ。
私も今更ながら、聞き流していた話を思い出して、DELEの試験の合格を目指すという目標を立ち上げることにした。
DELEの試験は、簡単なレベルから、A1,A2,B1,B2,C1,C2と並んでいる。
受験にあたり、アウラ先生には「A2なら大丈夫、さらに頑張ってB1に挑戦してみるのもいい」と言ってもらえていたが、帰国して全くスペイン語を話さなくなってから半年が経過した時点で、自分がA2レベルを維持できているとは思えなかった。頑張って復習して何とかA2を挑戦するのもありか、もしくは手堅く一番下のA1からいくべきか。
受験料は1万円を超える。
初回の受験でA2不合格だったら、スペイン語の勉強自体が好きじゃなくなるかもしれないし、自分のモチベーションが下がりそうな気もする。
1ヶ月間ほど悩んでいたが、結局、手堅くA1の一番下のレベルからのし上がる楽しみがあった方が、自分の性格的に攻略していく下克上的なゲームとして楽しめる気がしたので、A1を受験することにした。
友達のポン子さんもスペイン語を勉強している仲間として、DELEを共に受験することとなり、同じ会場で同じ日に受けることとなった。
長くなったけど、前置きはここまで。
さて本題。

試験まであと1ヶ月

過去問をインターネットでダウンロードして解いてみたら、Lectura(読解問題)が満点、Auditiva(リスニング)は1問間違えたのみだった。
試験の傾向がつかめたので、その後模擬試験を一気に2回分解いてみたら、全問ノーミスだった。
天才やん。
私は、自分の能力を低く見積もりすぎたかも知れない。私の特徴としては自信過剰になりがちな時があるが、時々、自分の能力を低く見積もりすぎて、その結果余裕でクリアしてしまい、「やっぱり天才かも」と自信過剰に繋がりそこで辞めてしまうか、もしくはある時大失敗をして、「私ってどうしようもないアホやな・・・」となる。そして能力をかなり低く見積もり振り出しに戻る。
このエンドレスリピートな気がする。
堅実にコツコツ生きていけない人間が陥る愚かなループだが、そのループも退屈しないから嫌いではない。
A1の読解とリスニングはもう勉強しなくていいやという尚早な結論に至った。
DELEは読解とリスニング以外に作文と口頭試験があるから、直前に作文と口頭試験の対策をして試験にのぞめばいいか、という結論。
そのまま問題集は開かれることがなかった。

試験1週間前~前日

試験までの最後の休日に、作文と口頭試験の傾向を見て対策をとろうと思っていたが、熱が出て寝込んだため、何もせず。
久しぶりに単語を押さえようと思い、単語アプリのQuizletを開いて、必須と言われている500語の単語カードを見直した。1ヶ月前には全部覚えていた単語も、忘れている単語がポツポツあったので、1週間はとりあえず単語を見直すことにした。
熱は下がったが、毎日やたらと眠くて、月~木まで20時には就寝してしまっていた。DELEの試験勉強から逃げていた。
試験前日の金曜日、やっと作文と口頭試験の対策をしようと思ったら、頭痛がきたので、先に寝て、5時頃起きてそれから勉強する高校時代の直前詰め込み式をすることにした。
ベッドに入ったが、寒気がして寝れたかと思ったら15分後に目が覚める。
ガタガタと震えが止まらない。
悪寒がヤバいレベルで、風邪のひきはじめを超えて、悪霊にとり憑かれているレベル。頭痛もヤバい。
とりあえず冬のパジャマを3着くらい重ね着をして、風邪薬と頭痛薬を飲んで寝なおすが、全然眠れない。
震えが止まらない。
眠れたと思ったら30分後に汗びっしょりで目覚めたり。
体がおかしくなったのか。
結局そんなことを繰り返し、眠るのを諦めて、毛布にくるまれながら作文問題がどういうものが出るのかをチラッと見たりして、6時にようやく眠ることに成功。
そして、8時前に起床。睡眠時間2時間弱。しんどい。
いつもよりかなり熱めの45度のお風呂に浸かって悪寒を無理やり沈み込ませて、試験会場の枚方へと出発した。

口頭試験

私の固定観念のせいか、筆記試験の後に口頭試験があるものだと思い込んでいたが、試験の1週間前に届いた受験票に、口頭試験が10:20~で、筆記試験が14:30~と書かれていて、おののいた。
ポン子さんは口頭試験が9:30~だったため、別々に試験会場に向かった。会場の大学に着いたが、どこにもDELEの会場はこちらといった案内がない。6号館でやると受験票には書いてあったし、学校内の校舎の配置はGoogleMapで確認していたが、それでも何階で行われるのかという情報はなく、2人くらいの警備員のおじさんがほぼ全員に道案内をする役割をしていて、非常に可哀想だった。試験を終えたポン子さんとばったり会い、会場の3階まで連れて行ってもらい、椅子に座って待つことにした。

そもそも待機場所はこちらです等の情報もない。部屋で待てるのかと思って、部屋に入ろうとしたら、中のスペイン人の女性から「No!!!」と注意された。ごめんなさいと縮こまってしまう。
口頭試験の流れもよく分かっていないまま、早口のスペイン語をまくし立てて説明するスペイン人のぽっちゃりお兄さんに呼ばれる。部屋に入り、試験の説明を受ける。
が、これも全てスペイン語。
口頭試験はTarea1,2,3とあって、「Tarea2のテーマを選んで」と言われる。
5個あるテーマのうち、自分で好きなテーマを1つ選べるのかと思っていたら、お兄さんが適当に「スポーツか食べ物、どっち?」「生活のルーティーンか食べ物どっち?」と聞いて回る。5択と思っていたら、お兄さんの適当なチョイスからの2択であった。
食べ物じゃなければいいな、ルーティーンなら得意なのになと思っていたら、お兄さんが私の前に来て、「職場の同僚についてか、食べ物、どっち?」と聞かれた。
同僚??
いや転職したばかりで同僚のことについて語れるほどの関係性がないし、仕事の内容が複雑でスペイン語で説明できる自信がないし、嘘の設定で話せるほどの心の余裕もない。
ポカンとしてしまったら、お兄さんに「ワ・カ・ラ・ナ・イ?」と日本語で聞かれた。この日初かつ唯一の日本語であった。
あわてて「食べ物で!」と答え、私の口頭試験のテーマは食べ物について語ることとなった。

メモ用紙が配られ、10分あげるから、話す内容のことを少しここにまとめて書いて持っていっていいよと言われる。
私は「日本の食べ物」というテーマでラーメンについて語りたいと思い、ラーメンのよさ、スープには野菜やとんこつなど味わい深いこと、海外にあるラーメン屋のラーメンはスープがぬるいが、日本のラーメン屋のスープはあつあつでそれがいいということ、あとは世界各地でたくさんのおいしくないカップ麺を食べてきた経験から、日清のインスタント麺のレベルの高さを伝えようと思い、それをメモ(と言ってもほぼ単語を並べただけ)し、口頭試験に挑むことにした。

「前の男の子が終わって出てきたら、呼ばれるからそれから部屋に入ってね」とぽっちゃりお兄さんに言われて椅子に座って待つ。
男の子が終わって部屋から出てきた。いよいよ次は私。ドキドキしながら待つ。

…。

なかなか呼ばれない。

緊張し続けながら待つこと10分以上。おかしいと思い、部屋をのぞきにいこうと思ったら、ガラスの向こうの部屋の中でスペイン人のお姉さんとお兄さんが談笑している。私に気付いたお姉さんが、「あ!入って入って~」という感じでドアを開けてくれる。

え。

忘れておしゃべりに夢中だったのだろうか。私の謎の緊張の10分間を返して。試験予定時間より40分以上送れて開始である。

最初に、まず自分から自己紹介をするという流れだったはずなのに、部屋に入ると(ちゃんと「Con permiso.(失礼します的な意味)」と言って入った。やるでしょ私、と自分で思ったがものすごく緊張していた)、面接官のスペイン人の女の人が、「どこでどうやってスペイン語を勉強しているの?」といきなり質問してきた。
え?
用意していない質問で固まってしまった。どこ?うーん。
「自分の家」というよく分からないそっけない答えを言い、お互いに「・・・」という変な沈黙が流れてしまった。
我に返り、「スペインに旅行して以来、スペインが好きになり、スペイン語を話せるようになりたいと思って、自分で家で勉強しています。」と付け足した。家でそんなに勉強をしていないくせにえらそうにそう宣言した。
面接官のスペイン人の女性は私の答えに気をよくしてくれて、和やかに話せる空気に持っていけた。それから、「すごく緊張してます」と言ったり、「暑いです」と余計なことを言ってみたりした。
この女性はスペイン人だと自ら名乗っていたが、それ以外のDELEに関わる外国人の人たちに、スペイン人かどうかを聞いたわけではないが、その女性もぽっちゃりのお兄さんも「バーレ、バーレ」と繰り返していたから、多分スペイン人だと思う。
自己紹介から始まったが、緊張が解けてくるのと調子に乗るのとが加速していく。
「年齢は46歳です、あ、2週間後には47。誕生日は○○。」と言ったら「おめでとう!」と言ってもらったり、面接官の反応も良くなっていくから、余計に調子に乗ってしまう。自己紹介はノリで何とかクリアし、次の食べ物のテーマに入った。
食べ物の話は簡単そうに思えて、意外と難しいと思っていて苦手である。好き嫌いが多いという説明が大変だし、理由を聞かれても理由がないし、作り方を聞かれると動詞が大変だし、話を広げにくいジャンルだと思う、私にとっては。
なので、食べ物の話をすると見せかけて、「朝ごはんは食べないです、なぜなら7時30分に起きて朝風呂に入って、8時には家を出るから、ギリギリまで寝たいし」という得意なルーティーンの話題に無理やり持っていった。「朝ごはんは食べた方がいいよ」と面接官に言われ、「朝一番はお腹が空かないし、ベッドにいたいから。でもその後お腹が空くから、職場に着いたらクッキーやチョコレートなどおやつを食べてます」と言い、「甘いもの、ケーキが好きで、チーズケーキ、特にスペインのサンセバスチャンで食べたバスクチーズケーキは世界で一番美味しいと思います。あと好きなものは、チョコレートケーキ、イチゴのケーキ、フルーツタルト、プリン・・・」等、長々とスイーツの名前を並べ立てた。
これは文法力も何も必要のない、名詞を並べただけだが時間だけは稼げるという苦し紛れの技。作戦勝ちかも、と寒気がしたり熱くてのぼせそうだったりする私の不安定な体のボルテージは上がり、ノリノリスイッチが入ってしまった。

こちらが、サンセバスチャンで食べた
元祖バスクチーズケーキでございます。


そして、「でも、最近ケーキはあまり食べないようにしています。なぜなら」と言ってから、1秒だけ止まった。
「ダイエット中やし」って言いたいが、スペイン語で言う術がない。体重が増えている、ダイエットをするってどう言うの?進行形?えーっと、えーっと。
「なぜなら、私は最近、私のズボンが入らない(履けない)からです。なぜかは分かりませんけどね。(ニュアンス)」と言ったら、「oh」と言われて、それからやたらとウケた。
わーい。
大阪人の性だろうか。スペイン語が上手く話せたかどうかよりも、笑っていただけたことの喜びに満ち溢れてほくそ笑んでしまった。
そして、面接官といくつか質問を互いに交わし合う時間に移った。
面接官に「ごはんは自分で炊くの?」と聞いたら、「四角いもの(サトウのご飯)を買って、電子レンジに入れるという調理をしている」と面接官が言って、私も「簡単で速い。あなたは天才ね。」と言い、「電子レンジがね」と返され、二人で笑ったりした。そして笑い終えてから、「はい、口頭試験は終了です。」と言われて、私の試験は終わった。
それから、「話すはずだったメモを置いて帰ってね」と言われて、メモを机の上に置いて退室した。
「Ra-men」とやたらと書かれていたメモだったが、ラーメンとは1度も口にしないまま口頭試験が終了していた。
何だったのかこのメモは。
よく分からないが、謎の手応えはある。悪寒は止まっていた。人体の不思議。

思わずスペイン語でLINEをするの図。


その後、図書館で待ってくれていたポン子さんにメッセージを送って合流し、大学のレストランでランチをとることにした。
お互いに興奮したまま試験の報告をしあい(ポン子さんの面接官は、お堅そうな日本人女性だったらしい)、ポン子さんは興奮のあまり白ごはんのお皿にお水をこぼし、ごはんが冷たいと嘆きながら、食べ終わってから二人そろって眠気に襲われ始めた。ポン子さんは7時に家を出ている。筆記試験は14時半から16時過ぎまで。先が長すぎる。

長すぎる一日(と、長すぎるnote)はまだまだ終わらないので、後編に続く・・・。

※DELE A1の口頭試験、私なりの攻略方法

(ここから先は有料にしようかと思ったけど、誰の参考にもならなさそうでガッカリさせるのが目に見えたので、無料にします。そもそも、採点がまだだから、攻略できているかすら分からない。)

  • 苦手な話題になったら、どうやって自分の得意な話題に自然にもっていくかが勝負だと思った。まさに良くも悪くも私という人間そのものである。自分が不利な局面で、相手に気付かれないようにそーっとそこから離れたり、自分の得意なことにすりかえがちな私のこざかしい性格が、ここで生かされた。自分のペースに強引にでも持ち込むのが、口頭試験の場合はプラスに進む気もした。

  • あと、英語でもそうだけど、こう言いたいけど単語が分からないとか、なんていったら言いか分からないときの言い換え。これも結局こざかしさに通ずる面である。言葉に詰まった時の軌道修正、自分の言えそうなことに路線変更する機転が利いて良かった。

  • 最後に、ラーメンについて何も伝えられなかったのが悔やまれる。スペインの人たちに知ってもらいたかった。日本のラーメンのスープの深み、麺のコシ(海外の麺はやわやわすぎる)、熱々をふうふうしてずるずるっと音を立ててすする日本文化。これを全世界に広めたい野望があるので、次のDELEの試験で伝えるチャンスを狙っていきたい。

  • 合否も口頭試験の採点もまだ分かっていない段階で、攻略法とか書いちゃうくらいの自信は持って挑む方がいいかも。あくまでA1の初級の試験の場合だけど。


(見出しの写真は、お気に入りのLINEのスタンプです。buen caminoってスタンプもある。でも使う出番は今のところない。)

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のりまき
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