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買いますマンション物語

「買うのかマンション物語」と称して、今賃貸で住んで10年になる築43年のマンションを買うかどうかの分かれ道が、急に目の前に舞い降りた私のどうしようかなあ話をマガジンにまとめて綴ってきた。



賃貸で住み続けている今の状況を続けつつ、DIYの力で、ボロい部屋をどこまで素敵に改造していけるか自分の力を試してみて、これなら買ってもいいかもと自分で思える日が来たらマンションを買おうかなと思い始めたのがきっかけで、DIYの話題を中心に綴ってきた「買うのかマンション物語」なのだが、本日、こう宣言します。
買っちゃう決心がつきました。
ワオ。

ほぼほぼ決心していたのだが、迷いながら、DIYに打ち込んで気持ちを整理してきたというのが本当のところかもしれない。
誰かと一緒に暮らす人生設計はしてきていない、もしもパートナーと2人暮らしをしようとなったらここでは少し狭い、子供は欲しくない、親の介護問題が出てきたらどうする…。将来の漠然とした不安は尽きない。

これまで、私はあくまで賃貸マンションにこだわって生きてきた。
そこに住み続けないといけないという縛りがしんどいからである。
縛られるのが嫌い、手離せないものは1つでも少ない方がいい、身軽でいたい。そういう思いで「結婚」というものも嫌って生きてきた。
変な話だが、いつでも自由に引っ越せる家じゃないと安心して住めない。

20代の頃に一人暮らしをしていた家はなかなか曲者続きだった。
最初のアパートは、私が昼寝をしている時に隣の部屋に強盗が入ったり、その次のマンションは新築のANAの社員寮になぜか数名だけANA以外の人が普通に借りられるマンションで、安くて良かったのだが、ベランダに鳩が引っ越してきて、巣を作り、卵まで産み、不眠状態の私が7階のベランダで一人で取りつかれたように夜に鳩ネットを張ろうとして転落しかけたり、水鉄砲に熱湯を入れて鳩を射撃したり、精神をギリギリまで追い詰められた結果、我が家を鳩に譲り、引っ越した。自分の残虐性に気づいた夏。悲劇だった。
これがもしも買ったマンションだったら本当に立ち直れない。
賃貸で良かったと今でもそう思っている。

しかし、どのみち住む家は必要だし、今のマンションは気に入って10年住んでいる。今のマンションに払ってきた家賃は800万円近い。一人暮らしを始めてからの消えていった家賃の総額は、計算しないでおく…。
それは一円も資産になっていないし戻ってこないお金である。
これまでは、自由のために払ってきたお金で納得していたが、そのお金に少し足せば、10年前にこのマンションを買えていたという真実。そう言われると、損した気分にもなる。
家なんか買ったら仕事を辞めにくくなるなあ、とぼんやり思う。
いつでも辞めたるぞ精神で頑張って働いている私にとって、辞めにくくなるということは働きにくくなるということ。
うーん。弱った。
そして、以前にも書いたが、マンションが今築43年ということは、私が61歳で築60年、私が81歳で築80年の重要文化財レベルになっていくということ。築43年でもボロボロなのに、私が高齢者になった時にこのマンションに住めているとは到底思えなかった。
しかし、時を同じくして、マンションが管理費を使っての大規模外壁工事を始めた。自分が余分にお金を出さなくても(正確には毎月の管理費を支払っているから自分でもお金を出しているのだが)マンションは直してもらえるのだと知った。
そして、水回りの次に古さの目立つ窓のサッシ(台風の時は窓が取れそうだし、カビはとれない)を年内に全部無償(マンションの管理費を使う)で交換してくれるという。これはかなり嬉しいニュースだった。

そんなタイミングで、マンション購入のローンなどの説明だけ聞こうと思い、いろいろと聞いているうちに、これ、やっぱり買いじゃないか、と確信するようになった。
大阪で相当メジャーな大きめの我が最寄り駅がつぶれて遠方に移転したりしない限り、急に太陽の方角が変わらない限り、この駅近南向き物件の価値は今後それほど下がらないこと、貸したり売ったりも思ったより低いハードルで行えることを知った。
ローンの返済も、私の生命保険は60代を過ぎるとかなりまとまったお金が返ってくるタイプにしていたこと、「団信」という住宅ローン専用の保険があり、途中でガンになったりするとローンをもう払わなくても良くなる種類のものがあること、60代でローンは払い終えること、月々の返済額が今の家賃よりだいぶ安くなることなど、具体的な金銭面の数字が見えてくると、不安はどんどん薄れていった。
霧が晴れていき青空の隙間が見えた。
壁や床やベランダが生まれ変わって、インターホンまで無料で交換してもらい、心は決まった。

これからは「買いますマンション物語」だ!!

まだ澄み渡る青空が広がっているわけではなく、青空の隙間が見えた程度なのだが、大学の奨学金をやっと数年前に返済し終えた私だが、またもローンを抱えて生きることに決めた。
借金なら慣れている。
と言っても大した額ではないと高をくくっており(もろもろ900万円台)、銀行さんの金利の説明の時に、金利の仕組みが意味不明過ぎてパンフレットにドラえもんの落書きをしながら聞き流すという、相当な油断が見られる私。
大丈夫なのか。
もう一人の自分が非常に心配している。
だが、20代から40代まで、無職の時代や、インド放浪時代でさえも、何とか賃貸の家賃を払い続けて生きてこれたのだから、まあやってみるか、というくらいのフランクな気持ちになっている。
フランクな気持ちでボロいマンションを買う庶民、44歳。

今まで払ってきた毎月の家賃よりも、毎月のローンの返済額が2万円程安くなるという現実に、「家賃が2万円下がるってことですよね、それって給料が2万円増えたと勘違いして調子に乗りそうで怖いです」「手元に残っているお金をすべて使う才能が私にはあるのですがどうしましょう」と不動産会社の担当者に言うと、とても親身になって貯金のコツを教えてくれた。
そのコツとは、給料日にすぐに、別の口座や定期預金でお金をそこから引いてしまうべき、という、それはそれはもういろんな人から100回以上聞いてきたコツだった。
「貯金というものをこの44年間、できたことがないのですが…」「貯金って、ボーナスが入った日からクレジットカードのボーナス払いの分が引き落とされるまでの数日間の状態のことだと私は思って生きてましたが、それで合ってます?」と聞いてみたが苦笑いしか返ってこなかった。
何とか貯めてみて、20万でも30万でも毎年、繰り上げ返済をすれば良いですよと提案されたが、できるわけない、と最初から私は白目で諦めている。
そして、月々のローンの返済額が今の家賃よりも2万円安いということは、仕事をより辞めやすくなったのではないか、という逆転発想が私の頭に生まれている。
インド放浪後に帰国し、無職で電気を消してうどんばかり食べていたあの時代ですら6万円以上の家賃は何とか払えていたのだから何とかなりそうな気しかしない。
運良くいけば、老後はマンションを売ったお金と生命保険のお金を足してサービス付き高齢者住宅に入居するか、インドの北部に住み着くかはできる気がする。
運が悪ければ地震や災害などで家をなくすかもしれないが、命さえあれば何とかなる。
妄想が広がる。
サ高住か北インドか、どちらにせよ、このマンションで私の人生を終えるつもりはないが、決して縛られずに、素敵に改造して、心地よい住まいに変えていきながらこれまで通り、「いつでも辞めたるぞ」精神で仕事を続けていく。
そんな感じのフランクでポップでカジュアルな(ボロい)マンション購入である。
我ながらつくづくふざけた態度だなと思っているが、金利についての説明は次回、もう少し真面目に聞こうと思っている。説明を聞きながら手持無沙汰だからと言ってドラえもんはもう二度と描かない。

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壁ドンドラえもん。byのりまき





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のりまき
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