ヴィンテージ感とインダストリアル感でどっかにいったモロッカン。
青の壁紙を貼りながら、次の構想が浮かんでしまってワクワクしていた。
それは、壁面収納。
柱代わりに木材を立てて、その木に、棚をはめ込めるレールを打ち付けて、棚やハンガーレールをつけようじゃないかという壮大なプラン。
もともとここには右に30度ほど傾いたIKEAのパイプハンガーが鎮座していて、それを見て眠る私の気持ちも斜めにしていたし、これ以上ハンガーをかけると倒れてしまうような危なっかしいバランスを保っていた。
ちなみに、DIYにはiPhoneに入ってる「計測」のツールを使いまくった。平行かどうかすぐに分かるから便利。パイプハンガーの斜め具合もすぐ分かるから良い。
これで何もかも地面に平行か、直角か、調べて回りたくなる代物であった。
そんな斜めのパイプハンガーを撤去し、新たに大容量収納できる壁を作ろうという魂胆。
なぜ思いついたかというと、お部屋改造DIYにハマってから、人の家のDIYやインテリアなんかをインスタで検索してみたりするようになり、ええ感じの人んちを見つけてはそれがどうやって作られているかを研究したりしているうちに、出会ったのである。
ラブリコという愛らしい名前のヤツに。
ディアウォールとラブリコというパーツがどうやら壁面収納界では帝国を築いているらしく、私は色々比較してラブリコ国の民となることに決めた。
ラブリコ素人の方に向けて、また自分の備忘録として、ここで簡単な壁面収納の作り方をメモしておく。
①天井の高さ-9.5cmの長さの2×4材(柱になる木材ツーバイフォー。今回はシン柱と呼ぶことにする。シンゴジラ、シンエヴァンゲリオンみたいなニュアンスで)を買う。
②シン柱の両端にラブリコをはめ込み、天井と床で突っ張り棒のような感じにして本物のシン柱化する。
③シン柱に棚柱(ややこしい。チャンネルサポートというやつ)をネジで打ち込む。
④棚柱に合うパーツをはめて棚板を乗せたりハンガーを掛けれるポールを入れたりして自分の好きなような収納スペースを作る。
という流れになるらしい。
よく世の中を見渡すと、コンビニの陳列棚なんかは全部これでできている。私の知らないところでチャンネルサポートは収納陳列の世界征服をしているようだった。
さてと、壁面収納作りに取り掛かることにしたのだが、私は素人で初心者のくせに、こだわりの強い人間なので、シン柱はダークな色にしたいし、それに合わせて金属類も全部黒にしちゃいたいぞという余計な工程を自分で増やした。
これがあとあと厄介なことになるとは知らず、いそいそと、パーツそれぞれの色塗りから開始。
まずこれ。
左の丸穴があいているのはハンガーブラケットという部品で、丸の中にポールを通してハンガー掛けになる優れもの。ポールがスポッと抜けないようにネジでロックできるようになっている。
右は、棚板を置くブラケット。これにもちゃんとスライド式のロックがついている。地震がきても抜け落ちない仕様。
そして、こちらがロイヤルのチャンネルサポート。
これの長方形の穴に、先程のブラケットがピタッとはめ込むことができる仕組み。どうでもいいけど段ボールの開け広げ方に性格が出ている。ワイルドだぜ。
182cmの長さのが割高なので、90cmのやつを2本繋げることにした。シン柱は3本建てることにしたので、この棚柱を7本買った。そして右のがハンガーを吊るす予定のポール。
もれなく全てのパーツが銀色に輝いているので、ミルクペイントのアイアンブラックを塗り塗りして鉄っぽく変えることにした。
一手間増やしたと思っていたが、全然一手間ではなく、まずミッチャクロンというスプレーを全部に振りかけて一晩置く。
それからアイアンブラックを塗っていって一晩置く。なんなら重ね塗りする。ザラザラした鉄っぽい仕上がりになる。
更にトップコートを塗って一晩置く。
なんと、余計に三晩かかるのであった。
がしかし、全部のパーツを広げるスペースの問題や、全てAmazonで注文したものの、同じ日に到着せず何日かに分けてずらしてパーツが我が家にやってくるため、三晩では終わらずにずれ込んだ。
毎晩、仕事から帰ったら何かに何かを塗る日々。職人の仕事は夜に行う。
また別の工程として、シン柱も無垢な木のままではなく、上からオイルを染み染みさせてダークウォルナットカラーに育てていたため、恐ろしく時間と場所が必要となった。
DIYの道のりは果てしない。
遠回りしようと思えばいくらでも遠回りできてしまう。
一つ一つのパーツと向き合っていてもこれが何になるのかピンとこなかったりするのだろうが、私は明確なビジョンと落書き風の設計図を描いていたので、これは将来こうなるぞと想像しながら色塗り作業をやれた。
想像力は大切である。
鉄っぽくなってきているブラケット。
鉄っぽくなってきているハンガーブラケットとポール。
そして余ったアイアンブラックで、使ってなかった安っぽい壁掛け棚にも塗った。今回の壁面収納には全く関係してこない、ただずっと置き去りにしていた棚。
そして、2×4材だった木材を、シン柱に生まれ変わらせるためにワトコオイルとかいうやつでしみしみとダークウォルナット色に染めて寝かせている。
どれがブルーシートでどれが壁か分からなくなってきているが、進める。
寝かせていたシン柱に、アイアンブラックに塗ったチャンネルサポートを電動ドライバーを使ってネジをぶち込んだの図。これで棚の位置などを自由に変えられるという仕組み。
良い。
クールだ。
アイアンブラックに塗るのも後半やはり集中力が続かずいい加減になったが、ムラとかはヴィンテージ感ということで良しとした。
DIYの世界にやってきて、シャギーだのアンティークだのブラケットだの色んなワードと親しくなった。今回は何でもかんでも「ヴィンテージ感」というワードで逃げ切ることに決めたので積極的に使っていきたい。
そんな訳でヴィンテージ感漂う壁面収納がその姿を現してきたの図。
ポールと棚板の長さと、扉の開け閉めに干渉しないようにするために、左は90cm間隔、右は60cm間隔にシン柱を3本建てた。立てたと言うよりは建てただと思う。私の中ではもはや建築と言っていいかもしれない。
それから、家に余っていた白い突っ張り棒を右端に何となく立てた。これもアイアンブラックに塗れば良かったと後悔したが、詰めの甘さが私の味なので仕方ない。
しかし、アイアンブラックに塗りたくったパーツに思わぬ落とし穴があった。
厚めにこってり塗りすぎて予想以上に分厚くなってしまっており、チャンネルサポートの穴にカチャッとうまくはまらないのである。
ちょうどの大きさで出来ているものに、ハマる棚柱の方にもハメるブラケットの方にもアイアンブラックを塗りたくって厚くしたのは大失敗だった。
両方のアイアンブラックを一旦ギシギシと削ぎ落として差し込まないといけなくなってしまった。
あの三晩かけた一手間以上の手間を、更にもう一手間かけて削いで剥がした。何のこっちゃ。
目に見えるところだけ塗ればよかった。
ご丁寧に私はロックする部分にもこってり塗っており、抜けないようにするためのロックがちゃんと出来なくなったし、黒を削いだりしてるうちに見える部分も剥げたりして、最終的に雑な仕上がり。
ヴィンテージ感としか言いようのない汚さになった。
そのままで使うことを想定されている物をいじると色々不具合が出てくるということを知った。
予測が大事。予測できるには経験が必要。DIYは人生訓をたくさんくれる。
何事もまずは好奇心と思いつきでやってみて、失敗しないと分からない人である。
やれやれ。
さて。
気を取り直して先に進む。
扉の後ろ側になってしまう右端のシン柱と白の突っ張り棒の間が少しもったいない気がしたので、ホームセンターのコーナンをパトロールをした時に見つけた有孔ボードという穴だらけの板を買った。
ちなみに棚板類は全てコーナンで買ってチャリンコで小脇に板を挟んで片手運転の技で持ち帰っている。
チャリンコで運ぶのは90cmの長さの板が限界だと思うので、皆さんお気をつけください。
そして、8割完成した図。
吊るしているのは右端のストール1枚以外は全てパンツ(ズボンの方。しかもこれは一部である。)なのだが、壁面収納よりも先に洋服の断捨離をすべきだったと思う。
しかしまあ、足は2本しかないのに、同じような黒っぽいパンツの多いこと。
ピンクの水玉のパンツはもう何年も履いていないが一応捨てずに吊るした。
そして、コーナンで思いついた割には上手くいった有孔ボードで吊るす収納スペースがこちら。
バックパックのチャチャと大阪王将のチャーハンのコラボ。
アイ・ワナ・ダンス・トゥ・ユー・ラチャチャチャを歌いたくなる。私の愛する2つのコラボ。ばえておる。
棚は食卓にもなるという発見。
いいねぇ。うっとりする。
インダストリアル感がある。(何かで見て学んだ新たなワード)寝室の産業革命や!
茶色の穴あきボードもヴィンテージ感あるぅ。
棚板もヴィンテージ感。
がしかし!!
ネジに色塗りをしなかったのが痛恨のミス。
銀のネジがどうにも気に食わない。悪目立ちしてる気がする。
白の突っ張り棒も気に食わない。急にインダストリアル感から生活感が漂う。急にダサい。
ネジを40本打ち込んで筋肉が悲鳴を上げているので、今回はやり直しは却下する。
さすがの電動ドライバーでも、押し込む力がいるので40代の筋肉に相当のダメージがあるということも学び。
疲れたので、なんとなく遊び心で、私の愛する男を並べてみた。
デヴィッド・ボウイのTシャツありすぎ問題。
やはり私には断捨離が必要だと思われるが、自分が買った物を捨てるのが戦争の次に嫌いだ。捨てられるはずがない。
いい眺めだからボウイにしばらくうっとりしながら大阪王将のチャーハンを食べ終えた。うまかった。
余談だが、右上のタイで買った、赤い「LONELY TRAVELER」と書いたゾウが自撮りしているTシャツもお気に入り。このセンス、好きです。
外行きの服よりも部屋着が5倍くらいある私なので、この壁面収納の棚に、日替わりで部屋着のTシャツを並べて遊んでもいいなと思った。
私の場合、「見せる収納」とは、「本人に見せて元気にさせる収納」という意味だ。ご機嫌である。
なかなか良い壁になった。
青い空気の入った壁は、良くも悪くも目立たなくなった。
良いぞ、良いぞ。
最高の眺め。
最高の寝室の壁、自作オープンクローゼット。
そういえば、そもそも寝室をモロッコテイストにすると決めていたはずだったが、すっかりヴィンテージ感あるインダストリアルな装いになった。
モロッコはどうしたって?
青い街シャウエンの世界はどこへ行った?
いえ、ちゃんとモロッコのテイストはあるのです。
照明だけモロッカン。
電球はフィラメントに変えたので天井に星形の影が浮かび上がるのであります。
おしゃれや。
この統一感の無さこそが私のセンスということで。
さて次はどうしようか。
とりあえず、のりまき工務店はひと休み。
次の休みはIKEAに行って、バラバラのテイストの箱を統一感のあるものに揃えようと思う。
そしてその次の次の次の…いつかの休みに、多すぎるパンツを断捨離しようと思う。
DIYがうまくいく秘訣はもしかしたら、断捨離から始めることかも知れぬ…と、今更ながらに真理に近づく私であった。
私の寝室作りに使った物とか↓
(ツーバイフォー材はコーナンでも買えます)