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ただそこにいるだけで、グレートマザー


こちらの救急車事件の続きのお話です。


待合でしばらく待っていると、
かっこいい口腔外科の先生が颯爽と登場!

ずっと付き添ってくれていた救急隊員の方は
その先生に書類を渡して何かサインしてもらうと、
後はお願いします、と言った感じで帰って行った。
泣いている次男に「大丈夫だからね」と笑顔で優しく声をかけて。

救急隊員って本当にすごいお仕事
大変な現場だと思うけど、スーパーヒーローだ。

そして、こんな時の笑顔と優しさが胸に沁みるー
ありがとうございます!!!



さて、診察室に呼ばれ、口腔外科の先生に状況を説明。
その間も、次男は「何するの?何するの?」と相変わらず不安で泣いている。

若いけど、エリート出世コースです!!
みたいな、めっちゃ仕事できる雰囲気を醸し出している先生。

喉の奥を見るための道具をテキパキと準備しながら、
子どもとのコミュニケーションもぬかりない。


先生:「食べ物は何が好きなのー?」

次男:「しらたまだんご」 
   「さっき  おくちのなかから  あかい  しらたまだんごが でてきた」

先生:「あー、それは血で赤くなっちゃったんだね(笑)」


先生:「動物は好き?犬と猫はどっちが好き?」

次男:「ねこ」

先生:「猫が好きなんだねー。じゃぁ、猫と白玉団子はどっちが好き?」

次男:「しらたまだんご!」

先生:「ははは、白玉団子が大好きなんだねぇ(笑)。じゃぁ、お兄ちゃんと白玉団子はどっちが好き?」

次男:「しらたまだんご!!」

(母:そんなに白玉団子好きだったんかい(笑)!)

気持ちが未来に行ってしまい、
どんどん不安になっている次男に
ぴったりのマインドフルネスではないか!

私も思わず笑ってしまって『今ココ』に連れ戻された。
先生、さすがすぎる。


この後、口を開けて喉の奥の方まで見てもらうのにまた一苦労で、
診察はなかなか大変だったんだけど(もちろんギャン泣き)、
先生の事前のマインドフルネスコミュニケーションが素晴らしかったので、
次男は泣きながらも協力的だった。

ピカッとはまぶしすぎた3歳なのに、えらい。


とりあえず、傷は深くなくて、
特に処置はしなくても大丈夫とわかり、ホッとしていると、
泣き止んだ次男が、

「ばぁばの声がした」とポツリ。


母からタクシーで病院に向かっているというLINEをもらってはいたけれど、
私には全く声は聞こえなかったので、
空耳かな?と思って診察室のドアを開けると、私の母が座っていた。


病院に到着し、診察室から響き渡る次男の泣き声を聞いて、
ドアが開いていた隣の診察室から覗き込んで
名前を呼びかけていたんだそう(勝手に)。

もちろん看護師さんに注意されたから、待合に戻って座っていたのだと。

あんなにギャン泣きしていたのに、
ばぁばの声をちゃんと聞いていた次男、すごっ!!



私の母は、明るくて、太陽みたいな人。
その場の雰囲気がパッと明るくなる。

何が起きても大抵「なんとかなる」という考えで、
まさに安心感の塊。

娘の私から見ても、この人は本当にすごい・・・
って感じの人。

とても尊敬しているし、
未だに精神的にめちゃめちゃ頼っているところがある。
(だから近くに住んでいる)


そんなグレートマザーですが、
何しに来たかといえば、特に何にもしない。


診察室から出てきた私に、
特に何も聞いてこない。

次男がどういう状況で怪我をしたのかとか、
救急車に乗ってここへ至るまでにどうだったかとか、
診察でどうだったのかとか、
何ひとつ聞いてこない。

心配したのよ、とか
大丈夫だったの?とかも
特に何も言ってこない。

ただ、側にいてくれて
私が話せば聞いてくれて
次男が何か言えば相手をしてくれて
いつもの日常と何ら変わらず、そこにただいるだけ。


聞けば、今日は仕事から帰ってきて一息ついていたら、
いきなり私から緊急連絡があって、
駅まで行っても雨でタクシーが全然つかまらないから、
一駅先まで電車に乗って、
そこからタクシーに乗って30分かけて病院まで来たらしい。

きっとすごく心配してくれていただろうし、
母にとっても非日常だったはず。

それなのに、いつもとなんら変わらない。

この人、本当にすごいな・・・

ただそこにいるだけ。

改めて、この力のすごさを思い知った。


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そういえば、私は親から何かを指図されたり、強制された記憶もない。

日頃から、ああしなさい、こうしなさいとか、
勉強しなさいとか、これはやっておきなさいとかも、
一切言われなかった。

大学受験も、大学院への進学も、就職先を決める時も、
大抵の人が反対するような方向へ自分は進みたくて、
相談した担任や指導教授は頭を抱えていたけれど、
親は何も言わなかった。

「好きにしなさい」


どんな時も、別に味方でも敵でもなく、
応援するとか叱咤激励するとかでもなく、
ただそこにいてくれた。


思春期や、受験前のイライラも相当ひどかったと思う。

私は外の世界ではいわゆる「良い子」であり、
いつもニコニコしている「がんばりやさん」だったけれど、
その反動で家では大抵不機嫌だった。

そんな時期も、怒るでもなく、励ますでもなく、
何ら変わりなくそっとしておいてくれた。

おいしいご飯を用意してくれて、
身の回りの世話をしてくれて、
ただ私が好きなように生きていくのを見守ってくれていた。

ただそこにいるだけで、グレートマザー。

_______________________


さらに母のすごいところはまだあって、
病院へ来るまでに私の夫へのLINEを通して、
不安がっているだろう長男のフォローもばっちりだった。

「親子だからねぇ、こんなこともあるでしょう」
とLINEを送って、長男を笑わせておいたよ、と。


実は、私は実家に住んでいる間に、救急車に2回も乗っている。
救急外来に駆け込んで、顔や頭を縫ってもらった回数はもはや数知れず。

社会人になってからも、
スポーツ中の怪我でおでこがパックリ割れて6針縫い、
でも、その日に友人の結婚式の二次会にどうしても行きたいと言い張る娘を引き止めずに送り出した母です。

頭に包帯ぐるぐる巻きで参加し、
一人だけハロウィンパーティー状態になってしまい、
友人にも参加者にも大変申し訳なかった思い出。
(友人はびっくりしてたけど、とても喜んでくれた)


そんな親から生まれた子なのだから、
そんな怪我もあるでしょうよと。

さすが肝が据わってらっしゃる!!


「親子だからねぇ、こんなこともあるでしょう」

この非常時に、
何の評価も入っていないこの文章をさらっと打てるところがすごい。

未来の心配もなく、何かを責めたり、励ましたりもしない。
起きた出来事をありのままに受け止めている。

マインドフルネスの師匠、こんな近くにいるやん・・・



病院から帰る頃には
外は豪雨と前代未聞という程のすさまじい雷になっていて、
タクシーはアプリで呼んでも全然来てくれず、
まさか帰れない!?という状況になった。

行きは救急車に乗せられていた12kgの子どもを、
帰りは抱っこしたまま豪雷雨の中でバスを待ち、
バスとタクシーと併せて1時間以上かけて帰宅するという
身体に鞭打つフルコースがついてきたのだけれど、
それでも私の心はとても平穏だった。

グレートマザーがそこにいたから。感謝。



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