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拝啓、Y先生

ご無沙汰しております。高校卒業して以来ですので、もう20年以上経つのですね。お元気でお過ごしでしょうか?今でも女子高生相手に、日本史教えてはるんですか?先生が教壇に立ってはった日々、昨日のことのように思い出せますよ。

今日筆を取りましたのも、お伝えしたいことがあって…


あの当時、授業そっちのけでアツく語ったはった綺羅星のような香港スターに、ずぶずぶハマりつつあることをお伝えしたくて…



先生はアンディ・ラウ推しでしたっけ?


レスリー・チャンでしたっけ?(惜しい人を亡くしましたよね…)


全員纏めてでしたっけ?


うちは日本史だけの教え子でしたけど、担任をもってもらってた子に確認したら、「アンディ・ラウって言ってたのめっちゃ覚えてるわー!トニー・レオンもやったかなぁ?」ということなので、ウラは取れてますよ。笑
あなたが撒いた種がこんな形で花開くことになったと、お伝えしたくなったのです。



なんやかんやいろいろ作品も教えてもらった気がしていて、”Infernal Affairs”は絶対そうや!と確信をもっていたんですが。

(1:04辺り。アンディ・ラウとトニー・レオンが至近距離で対峙するところ。そのままチューしちまえと思うのは、うちが腐女子って証左でしょうか)


でも時系列が合わないんです。
あなたに教わっていたのはまだ20世紀でしたからね、この映画が公開されたの21世紀やし。はて?



そう言えば彼らのみならず香港があまりにもすきすぎて、通ってはるような話もされてましたよね。どのくらいの頻度やったんかは忘れてしまいましたけど…
「地図見なくても歩ける」みたいなことを言うてはって、当時は1ミリも、海外志向でもなければ海外旅行すらそれ程興味なかったうちには、めっちゃかっこよく映りました。自分で稼いだお金で自由に海外へ行って、すきなように過ごすあなたの姿が。



…それに、本業の日本史の授業もいまだに覚えてますもん。
幕末にかける情熱、アンディ・ラウや香港にかける情熱の如し。

さすがに「私の前世は、竜馬の恋人やと思ってる」としれっと言い出さはったときはは?何ゆーてんの?となりましたが…今でも覚えてるくらい衝撃やったんですよ?

でも、幕府、皇族、各藩、新選組、勤皇、尊王攘夷、佐幕、倒幕、開国、さまざまな思想をもったさまざまな立場の人たちが入り乱れたあの時代を、あんなにすっきりと整理して立て板に水の如く解説してゆくあなたの熱量に魅了されたのは、うちだけやないと思います。

確か当時、先生はまだ20代後半か30代なりたてとかでしたっけ?少し年の離れたお姉ちゃんて感じでしたね。なんていうか、自分がすきですきでたまらないことを、誰かに伝えるその嬉しさ楽しさを毎度の授業で感じてました。幕末にかける時間、長かったですもんねー。ご自分の興味ない時代は一瞬で終わるくせに。笑



今思い出しましたけど、大河ドラマからテストの問題出してませんでしたか?
忘れもしない、「毛利元就」ですよ。

確か長男だったか次男だったかの名前書け、って…
そんなん教科書にはたぶん載ってないやつ。


1995年、NHK放送70周年記念番組「大地の子」で鮮烈なテレビドラマデビューを果たしたばかりの上川隆也にベタ惚れだったうちは、彼が長男、隆元役で出てたので毎週欠かさず見てました。お茶の子さいさいで解答。
サービス問題、ありがとうございます。




「興味のない時代はあっさり飛ばす」とさっき言いましたけど、いたいけな女子高生だったうちらに、山岸凉子「日出処の天子」も教えたのはあなたですか?

厩戸皇子(うまやどのおうじ、聖徳太子)が天才でエスパーでゲイやったっていう。BLマンガの草分け、金字塔ですよ。
当時は文庫版で昔のマンガが再出版されまくってたので、誰かが買い込んだのをみんなで回し読みしたことを覚えてます。


2012年発行の完全版(もちろん大人買い!しましたよー)第5巻の帯で、作家・批評家の東浩紀が本作品をこう評しており全面同意なのですが、

聖徳太子がもし超能力者で同性愛者だとしたらー
本書に出会ってのち、僕は日本史を
普通に読めなくなってしまった。
歴史改変の頂点に位置する奇跡の傑作

それよりも、なんでもほしいままにできる力をもつのに(能力も権力も)、ノンケの男(蘇我蝦夷(毛人)、そがのえみし)を手に入れられないという、真にほしいものは与えられない厩戸王子がせつなすぎて泣けました。

いっときは毛人もこころを寄せてはいくものの結局は、以前、石上斎宮(いそのかみのさいぐう)で前の大王(おおきみ)の妃(みめ)だった布都姫(ふつひめ)を選び、王子と毛人、ふたりの道が決定的に分かたれてしまうラストも…
所謂”35億”、特に厩戸王子の場合は嫌悪する反対の性別の人たち、”女”がライバルになるのはキツいですね。




香港スターの話から授業(主に幕末)にかける情熱からはたまたBLまで、先生をきっかけに頭に浮かんだことを書き並べてしまいました。とりとめなさすぎて、失礼しました。

しかし、「10代の頃に見たこと、聞いたこと、考えたこと、感じたことがその後の人生の核である」ってどっかで最近耳にして、ホンマにそうやなと思いぞっとするやらびっくりするやら。


日本に戻ったら、また先生と直に、お話できればなと思ってます。

そのときまで息災でお過ごしくださいますよう。



かしこ



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