君のクイズ 小川哲
人生はクイズ。
なんとなーく雰囲気でわかっていたようなこの言葉、
深く納得いたしました。
問題の途中でピンポンして正解する人を、いままでとんでもない記憶力!と思っていた。
そんな単純なもんじゃないんですね。
記憶の中から答えを拾い出すことには違いないけれど、
散らばったピースのような膨大な記憶の中から探し出すのではなく、
引っかかった記憶に経験を照らし合わせ、その経験からさらに記憶を引っ張り出していく感じなんだ。
そして「確定ポイント」。
前からやってくる問題と後ろに連なる記憶の中から、重なる一点を見きわめてボタンを押す。
今後クイズを見るワクワク感は今までの比じゃなくなると思います。
日々の生活でやたらと同じフレーズに何度も出会うことがある。
このひと月でロベルト バッジョの
「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持つ者だけだ」
を3回ほど聞いた。
1回目はちゃんと覚えていない。
2回目はワールドカップがらみで、日本がPKを外したときにこの言葉をあちこちで見聞きした。そのとき「あ、何かで最近聞いたな」と思ったのだった。
そして3回目がこの小説。
借金があるのに、パートを辞めることにした。
不安しかない。
上司に辞めたいと伝えてからも、やっぱり撤回しようかと迷う。
そこに3回出てきた、この言葉。
たとえ外したとしても、勇気がある方がカッコよくないか?
今までの人生で経験したことの中から、何かが引っかかって、それを思い出し、そこから繋げて広げて答えを出す。
確定ポイントはこの言葉。
で、私はボタンを押す。
やっぱり辞めます。
人生はクイズだ。