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人間にはなぜ、悪魔が必要か?

ユダヤ人の哲学者レヴィナスは人間の中には人間を殺さない理由がない。だから外側から神がそれを与えなければならない。と考えました。

人はなぜ人を殺すのでしょう?

それは味方同士が深い信頼の絆で結ばれているからです。だから味方のために敵を殺します。でも本当に敵でしょうか?一体誰が敵だと決めたのでしょう。

多くのドイツ人にとってユダヤ人は別に敵ではありませんでした。ただヒトラーを信じていたから殺したのです。陥落し焦土と化したベルリンでヒトラーがすべてのドイツ人に自殺を命じて自殺したとき、多くのドイツ人がこれに従いました。信頼は最後までゆるがなかったのです。

これは味方への信頼が破滅となった多くの事例の一つに過ぎません。親を選べないように社会も選べません。私達は無理心中にあった子供のようにどうしてかわからないまま死んでゆくしかありません。

とはいえ民族や国家を超えて人類全体が味方であると考えることができたら、殺しあわずに済むとは誰しも思うことです。

そこでEUはヒトラーとナチスの亡霊を敵とすることで、民族と国家を越えようとしています。これはうまい方法です。亡霊ならいくら憎んでも実害はありません。悪魔を敵として多民族をまとめたカトリック教会に倣ったものです。敵の敵はみんな味方になれるから、人間にとって恐らくこれが最も現実的な方法でしょう。

神ではなく悪魔の力でしか私達には救いはないようです。

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