フランス料理とラーメンとAIと衛星インターネット
【質の良し悪しは】
「帰路にあるスーパーを素通りし3駅離れた豆腐屋へ寄り道する金と時間のある者がいまの我々のうちにどれだけあるだろう。」こちらのnoteから引用。
【「あんなもの」を侮るな】
現代の生成AIを「あんなもの」と、言うのは簡単だ。本当の問題は「あんなもの」の持つチカラだ。どんなに世の中をひっくり返して来たようなものも、できた当初は「あんなもの」だったんだな。
【フランス料理とラーメン】
ぼくはインターネット以前に「PC」など小さなコンピューターのハードウエア設計やソフトウエア開発の仕事をした。当時は同じ原理で動く大型コンピューター(メインフレーム)があった。その時代、メインフレームをやっていた大手企業の技術者はこう言っていた。
「料理に例えれば、メインフレームは高級なフランス料理。パソコンはラーメンみたいなもんだ」
その目には、明らかに、我々小型コンピューターのプログラムを組む仕事をしていた人間を蔑むものを見た。悔しいと思う気持ちはあったが、それよりも、ぼくは「哀れな没落が約束された貴族の頭の悪さと先の読めなさのようなもの」を見て、この国の最高と呼ばれる技術者や研究者のこの先の哀れを、その表情に読んだ。その人たちには悟られないように「そうですね。私たちがしている仕事って、その程度のものなんだと思います」と持ち上げ、ぼくの心の中は読めないように、哀しい負け犬の表情を作った。
【世の中は変わった】
やがて会社の事務と言えばインターネットに接続されたPCが必須になった。ぼくが思っていたとおりだ。しかも現在もあるメインフレームそのものさえ「オープンシステム」という小型のコンピューターから出てきた基本システムで動いている。
【個人が24時間コンピューターを持ち歩く】
そしてスマホができ、あらゆる人が世界中で横につながり、今や海外の通信社の記者はスマホ1台で現場に向かい、スマホで原稿を書きスマホで撮った写真を数分後に本社に送稿する。
【スマホ接続は宇宙へ】
既に2022年には米国SpaceX社が衛星インターネットサービス「Starlink」を開始。私も日本で使えるようになって、早速購入して使っている。現在Starlink衛星は7千基以上が上がっており、毎週40基ずつ増えている。2025年には、スマホの基地局が破壊された戦場でもスマホから直接上空の衛星経由で送稿する最初のインフラが稼働を始める。日本の大手の4つのキャリア(docomo/au/Softbank/Rakuten)もこの「D2C(Direct to Cellphone)」サービスを2026年には始めるという。国際間ローミング、基地局、電話局、海底ケーブル、それを支える労働力も、必要なくなる。日本の4つの携帯キャリアはSpaceXの回線の販売代理店になる未来がそこにあるのが見えなければ、バカと言われても仕方ないだろう。
【AIで音楽を作って自分のスマホにいっぱいにした】
そしてAIだ。既に規制が少ない音楽の作詞作曲演奏からパッケージまで、AIはかなり完璧にやる。自分の場合は、何か人生であると、それを題材に詩を書く前のシチュエーションのメモをAIに入力して、歌詞から作曲・編曲、演奏、歌、ミキシング、編集、など全てAIがやり、数分で出来た曲を聞くのが趣味になっている。自分のオリジナル曲は日記代わりだ。それがスマホに一杯入っている。最近はその曲を聴くほうが多くなった。既成の歌はもう聴けない。
【「芸」はAIが完璧に安く早くやる時代】
あらゆる人間が努力して「訓練」の後に身に付ける「芸」を、AIは完璧に、短期間で、身に付けるだろう。翻訳だってそうだ。
【これから人間がやること】
我々人間がやるべきことは、まだ開拓されていない新たな人間のフィールドを拓き、そこに手を出して人間のテリトリーとすることだけだ。そしてそうしたら、それをAIに入れるんだな。これを繰り返すのが、人の歴史になるだろう。かつて人間自身だけがやっていたことを、AIのちからも借りて行うことだ。いま人間社会にあるものはAIが完璧に素早く低いコストでやってくれる。
【人間は二軍になる】
最初にリンクした方の分野「翻訳」は、人間とAIと言う対立・紛争があるとすれば、人間は「陥落寸前」だ。チェス、将棋、囲碁は既に陥落した。これらの分野では人間は既にメインプレイヤーではなく、二軍に落ちた。
【AIに侵食されていく未来を明るく考えよう】
こうやって、人の世界は陥落していく。いつの間にか、人はAIに生かされる存在になるだろう。都市生活者の私たちが電気や水道、下水道と言った、生命を維持するためのインフラを、自分以外の人に頼って生きているみたいにね。今後は人間全部がAIに生かされる存在になるだろう。つまり、食うことを考えなくてもいいってことでもある。それ以上の世界を求め、ヒトの世界を拡げることに精を出そう。
【AIは文明を発展させ戦争をなくす】
私たちは、人間というこの不完全で厄介な自らに四苦八苦しながらここまで文明を紡いできた。そういう時代が終わるのは、戦争が本当に無くなることでもあり、人はゆったりと流れる命の時間の上で「人間とは何か」という哲学を全ての人が考える時代になるのだ。おそらく例外はない。
2025年、明けましておめでとうございます。