コストダウンの技術
【H3ロケットの話題の受け止め方】
二度目のH3ロケットの打ち上げの「失敗」は、日本人のけっこう多くの人に衝撃を与えたように思うが、私の周りでは、あまり話題にしている人を見かけない。私の周囲はIT関係の技術者や研究者が多いから、というのもあるのかもしれないが、特に全く新しいものを創作する技術者や研究者であれば「そういうこともあるよなぁ」というのが大方の反応なんですよね。つまり「失敗してしまって恥ずかしい」とか、そういう「感情的反応」って全く無い。
【技術の現場の話】
「高い技術が」というけれども、実際の技術開発の現場では「コストダウン」ってのは、かなり高度な技術のうちなんですよね。もしも潤沢にお金があったら、そして開発に多大な時間をかける(それって開発技術者の人件費とか、実験の材料費とかだから、結局お金に換算できるんだけれども)のを許して貰えれば「高度なすごいこと」は、いくらでもできるわけで。SFに出てくるロボットなんかみたいにね。だけど、コストを真剣に気にする技術は、お金を使った派手な見世物にはならないけれども、非常に難しく、かつ技術的な力量もモノをいう、っていう分野なんだな。今回のH3ロケット開発は、商用衛星打ち上げのために(ビジネスにするために)、打ち上げにかかる費用をいかに抑えるか?が重要なミッションだから「コストダウン」は、必須の項目だったんだな。
【「コストダウン」には費用も時間もかかる】
「コストダウン」には、そのノウハウを獲得するまでに、実は大きなお金がかかるし、実は苦労も多いものなんだよ。派手に目の前に見えているものだけでしか技術が見られていない人(新規の技術開発に関わったことのないほとんどの人はそうだろうけれども)は、そういうところがわからない。そして「失敗だ」「成功だ」を言うんだよね。
【「技術」も、結局はお金で考える】
わかりやすく言えば「コストダウン」というのは、こういった地味で目に見えない、かつ難しい技術を開発しているわけなので、簡単に物事ができるわけがないから、何度も何度も失敗と改良を繰り返して、やっとコストダウンができる=ビジネスとして黒字になる目処を立てる。それが現在の宇宙開発ビジネスなんですね。つまり文字通り「失敗は成功の元」なので、何度もの失敗で発生するコストも大きいけど、それを上回る利益が予想されるから、こういうビジネスを推進する=宇宙開発を推進する、というわけですね。だから「感情」でこういったことを考えるのではなくて、損得勘定という「お金の理性」で考えるんだよ。「投資」と「リターン」で考えるわけだね。
技術も「お金」で考えればわかるでしょ?
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