”じょっぱり”がなくなるのはもったいないけれど。リブランディングに想う
とある居酒屋での会話(再現イメージ)。
後輩A)日本酒、何にします?
わたし)...(ん?じょっぱりあるんだ。青森県民として、取りあえず頼んでおくかな)
わたし)じゃあ、じょっぱりで
後輩A)青森、好きですねー。
わたし)まあ、味はともあれ、まずはね。
後輩A)えっ?味で選ぶんじゃないんですか?
わたし)ああ、そういうのを「じょっぱり」っていうんだ。
...というような、青森県民に愛されてきた日本酒「じょっぱり」が、え!なくなっちゃうの!?今回は、そういうお話。
あ、じょっぱりっていうのは津軽弁で強情っぱりのことね。
新ブランド名は「杜來」/六花酒造(2023/8/28 東奥日報)
...へえ、そうなの、楽しみーと、ナナメ読みの人は肝心な部分を読み飛ばしそうになる。そう「じょっぱりに代わる新ブランド」の部分だ。
...え?...え?...え~っ!?
じょっぱりは昨年末で製造・販売を停止した。
そうだったの?
え?でも、じょっぱり、店で飲んだ記憶ある(←こういう時はほぼ酩酊)んだけど、それは在庫ってことだったのか。そうか、もう造ってないのか。
日本酒消費量は右肩下がり。でもでも活路もある!
ちなみに、日本酒ってこういう市場動向なんです(↓)
もう見事な右肩下がり。
一昔前は「若者の日本酒離れ」と言われてましたが、もはやビールも第三のビールも、なんならワインでさえも国内出荷量は減ってるわけです。
だってそりゃ日本の人口が減ってるんだから、若者うんぬんじゃなくて、そもそも仕方ないよなって、誰しも思うわけです。
そんな中でも、グラフにあるとおり、純米酒とか吟醸酒とか、食事に合うとか、吟醸香が心地よいとか、俗にいう「おいしいお酒」は健闘してるんですよね。どうせ飲むなら、そりゃ、おいしいお酒が飲みたいもの。
記事から伝わる、もどかしさ
当然、「じょっぱり」だってフルラインナップで、本醸造だけじゃなくて、純米、吟醸、純米吟醸、純米大吟醸の、出世魚とかファイナルファンタジー並みのクラスチェンジ商品があるわけなんですが。
記事に「旧社屋の老朽化に伴う社屋・酒蔵の移転」とあるから、「じょっぱり」というそれなりの生産量を担う設備で、しかも老朽化してるわけだから、自分たちの酒造りが思うようにできないというか、そういうもどかしさが伝わってきます。
でも。ふつふつと湧いてくる…じょっぱりやめる必要あったの?
こういうの、業界用語では「リブランディング」っていうんですよね。
リブランディングってのは、別にラベルを変えるとかパッケージを変えるとかそゆことだけじゃなくて、考え方を根本的に変えるってことです。
記事にもこうあるんですよ。
でもですよ、でもでもです。
これまで培ってきた「じょっぱり」ブランドまで捨てることなかったんじゃないかなって思うわけです。もったいないなと誰しも思うわけで。「じょっぱり」で売った方が絶対認知度あるじゃん、杜來ってなによ?と 言い過ぎ!
もったいないから取っとこう、は違う。
突然ですけど、THE BLUE HEARTS、知ってますよね?彼らが解散した時、私16歳で、あの時はカラオケボックスって高校生の遊び場で、よく歌ってたんです。
で、電撃解散だったわけですが、そのとき、ボーカルの甲本ヒロトさんはこう言ったんです。
「じょっぱり」って、もしかしたら、こういう存在なのかもなって思うわけです。
もし仮に万が一、「じょっぱり」が、冒頭の私と同じイメージが定着している酒だったら、大変失礼ながら、味というより故郷愛で選ぶ酒なんです(いや、おいしいじょっぱりもあるのよ?冷蔵庫でちゃんと冷やしてないだけってこともあるの!)。
つまり、これから純米とか吟醸で勝負しようとしてるのに、そもそもじょっぱりは味で選ばれてない、としたら、もったいないからと言ってじょっぱりブランドを使い続けたら、それってマイナスになるでしょう?
そういう経営判断をしたのかなって思うわけです。
※なんか、回りくどい言い方になってるけど、これはじょっぱりLOVEからくる想いなので、分かってくれ。
ROCKな日本酒、杜來(トライ/TRY)
ごめん、勝手に言った(笑)
でも、THE BLUE HEARTSくらいROCKな日本酒、杜來はトライ、つまりTRY。記事にはそう書いていないけれど、六花酒造さんの社運をかけたTRYなんだぜ、きっと。
さあ、そろそろ9月だ、買いに行かなきゃ!
そんなことを想って、スマホを閉じました。
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