日本人にインタビューした本が世界の賢人にインタビューした本よりも優れている点
前回書いた書評は世界の賢人16人に世界の未来をインタビューした【あたらしい世界:世界の賢人16人が語る未来】。
続けて日本の教養人11人にインタビューした本を読んだ。
【これからの教養:激変する世界を生き抜くための胝の11講】
比べると一見、後者の方が小粒に感じるかもしれない。
でも僕にとって読後の満足感は世界の賢人16人に匹敵した。その本はこちら。
正直、世界の賢人たちに比べて、知っている名前も著作を読んだ人の人数も少なかった。
おそらく一般の知名度も、世界の賢人に比べて低いと思う。
でもここで答えられている日本の教養人11人の知恵は、世界の賢人16人に引けを取らない。
僕がそう感じた理由は、国と言葉にあると考える。
【これからの教養】のインタビュアーは一人の日本人の男性。答えている教養人も全員日本人。
だから全てが日本文化のもとで日本語で会話されて日本語で書かれている。
外国語を翻訳した【あたらしい世界】によりも言葉が肌理細かい。
一言一言のディテールが浮き上がってくるのだ。
その言葉たちは日本文化の上に乗っかっている。あらためて共通言語の大切さに気づくことができた。
もうひとつ違う点は、教養人たちのジャンルだ。
【あたらしい世界】では哲学・経済・ジャーナリズムが中心。
【これからの教養】ではデザイン・文学・アートが目立つ。
新感染症前の2017年に発行された本書。
だけれども2021年現在に読んでも全く違和感がない。
サブタイトルにもある『激変する世界』を前提としてインタビューがなされているからだ。
【あたらしい世界】を読まれた方はぜひ【これからの教養】と読み比べてほしい。
ひとつだけ共通する欠点があった。
教養人11人中女性が1人だけ。女性が2人だけだった【あたらしい世界】と割合がほとんど変わらない。
【これからの教養】オマエもか!
この偏ったチョイスが現代社会の一番の課題なんじゃないか。
本を楽しむと同時に危惧を抱いた。
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![和田のりあき/マジックパパ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8509417/profile_a3da741320d91171eff3e8c2fdcd0417.jpg?width=600&crop=1:1,smart)