雑踏のおじさんは何が通常の3倍だったのか
梅田の雑踏を歩いた。
通勤ラッシュ時間帯の、阪急電車の大阪梅田駅からJR北新地に続く地下通路。
久々の体験で、今もこんなたくさんの人が歩いてるんだと驚いた。
特に御堂筋線いちばん南側の改札前の通路。
阪神、阪急、JRたくさんの線を利用する人が交錯しながら歩いている。
みなさんがみたことのある光景で言えば、渋谷のスクランブル交差点の地下版といった感じ。
できるだけ直線でこのカオスを突き抜けたい。
斜め前方から迫ってくるたくさんの人の、角度と速度を計算する。
直線のコースは変えない。その代わり自分の歩く速度で対応する。
加速したり減速したり。ゲームみたいで面白い。
そうして歩いているうちに、前方に僕とほぼ同じコースで歩いているおじさんに気づいた。
おじさんの平均速度は僕よりもゆっくりだったので、気づいた数秒後には追いついた。
そして追い越す。
追い越すまぎわにおじさんをチラッと見ると本を読んでいた。
それでも、器用に速度調整をして人をかわしている。
本を読みながらこのカオスを突き切るなんて、
やるな、おぬし。
って心で呟いてからびっくりした。
そのおじさん、本を一冊広げて読みながら歩いていた。
その本の下にさらに二冊、本を器用に指に挟んでいた。
本は一度に一冊づつしか読めないのに、どうして同時に三冊持っていたのかは不明だ。
だけれども、緊張する雑踏の中で愉快な気分になった。
このおじさん、歩行速度は半分だけど、本の数は通常の3倍です!
そういえば、背負っていたリュック、赤色だったなぁ。
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